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第24章 三毛猫クイーンの推理

猫の役割は、そこに座って賞賛されることだ。


ジョルジーナ・ストリックランド・ゲイツ

十月二十七日 午後五時三十分


 クイーンは、久しぶりに帰ってきた我が家を満喫していた。

 理真(りま)と、彼女の友人であり、やはりよくこの家に顔を出す、由宇(ゆう)の二人が慌ただしく家を出てから、数時間が経過した。それから今までクイーンは、用意されていたご飯を食べては寝て、居間のソファのお気に入りの場所で丸くなっては寝て、窓から外界の様子をチェックしては寝て、狭い庭先に降り立ったスズメに狩猟本能を掻き立てられ、「キャッ、キャッ」と奇妙な声を出しては寝て、久しぶりに自宅のトイレで用を足しては寝て、と、安堂家での変わらない日常を満喫していた。そんな中、常に頭に浮かんでくるのは、大好きな〈お母さん〉のことだった。


(お母さんは、まだ帰ってこないのか)


 玄関の方向から物音がするたびにクイーンは耳を立てるが、それらは全て、家の前を通過する自動車や歩行者の音ばかりだった。

 クイーンは窓ガラス越しに外を見ていた。こうして庭を眺めていると、数日間をともに過ごした、高宮明日奈(たかみやあすな)大林美緒(おおばやしみお)の二人のことを思い出す。

 数年ぶりの外出。出かけた先の大きな公園。そこで出会った明日奈。彼女に連れて行かれた先の、また別の公園に、もうひとりの少女、美緒が姿を見せた。やりとりを見るに、明らかに初対面であったはずの二人の少女は、しかし、すぐに友達になった。そして、二人の少女の他に、もうひとり。


(ランタ……)


 尻尾の先端だけが白くなっている黒猫のランタ。人間の手より、強制的に生涯を終えさせられた同胞。明日奈と美緒は、彼の亡骸を葬ってくれた。明日奈の家の、安堂家とは比較にならないほど広い庭、その片隅に生える木の根元に。涙を流しながら……。

 人間というものは、何て理解の及ばない生き物なんだろう、とクイーンは思う。明日奈や美緒たちのように自分たちを慈しんでくれるものがいるかと思えば、ランタがそうされたように、何の必要性も見いだせないのに猫の命を奪うものがいる。


(人間になど関わらないようにして生きるほうが、楽で安全なのだろうか?)


 クイーンが、かつて外に出ていた時代、猫の集会で、人間との関わりを一切拒絶していることを公言している同胞と会ったことがある。

(あいつらだけは、分からん。明確な外敵――カラスなどの俺たちを狙う捕食者――であれば、とにかく逃げて隠れればいい。だが、人間は面倒くさい。見た目が全く同じでも、俺たちの頭を撫でておやつをくれるものもいれば、目にするなり大声を張り上げて排斥しようとするものもいる。それならまだいいほうで、中には、かわいがるふりをして、俺たちを傷つけようとするもの、命を奪おうとするものまでいる。その見極めが厄介なことこの上ない。だから俺は、全ての人間はカラスと同じ外敵だと思うようにしている。そのほうが楽だし、この人間はいいやつか? という見極めに神経を使うなんて馬鹿馬鹿しいことをする必要もなくなる)

 当時、人間といえば安堂家と由宇しか知らなかったクイーンは、そんなものかね、と、どこか他人事でその同胞の言葉を聞いていた。


(難しいことを考えるのはやめよう)


 クイーンは、ひとつあくびをした。特にやることもないので、お母さんが帰ってくるまで寝ていようと、猫ハウスまで、とことこと歩く。そこへ、車のエンジン音が聞こえ、家の前で止まった。


(この感覚は!)


 クイーンは(きびす)を返し、猫ハウスから玄関へと進路を変えた。廊下を走るクイーンが玄関に到着するのと、玄関ドアが開けられたのは同時だった。


「あらー、クイーン――こらこら」


 理真のお母さんが靴も脱がないうちに、クイーンは彼女の胸目がけて跳び上がった。


 それからすぐに、理真の弟、(そう)も帰ってきた。クイーンは宗のもとに猫じゃらしを咥えていき、遊びに誘った。宗はそれに応え、猫じゃらしを振ってクイーンの相手をする。宗の猫じゃらしの扱いは天下一品だ。あるときは地を這う虫のごとく、あるときは飛び立つ寸前の小鳥のごとく、あるときは頭上に飛び回る羽虫のごとく、宗は一本の猫じゃらしを使い、あらゆる〈獲物〉をクイーンの前に作り出す。それはまさに千変万化と形容するに相応しかった。「猫じゃらしマスター」なる称号がこの世にあるとするならば、宗にこそ冠されるべきなのではないかとクイーンは思う。


「いてー!」


 宗の悲鳴が居間にこだました。勢い余ったクイーンが、爪を宗の腕に突き立ててしまったのだ。


(あっ、悪い)


 クイーンは宗の目を見て、「にゃー」と鳴く。たまに起こりうるアクシデントだ。だが、宗は怒るどころか、「元気がいいなー、クイーン」と笑ってクイーンの頭を撫でてくれる。これもいつものことだった。


「宗、ご飯運ぶの手伝って」

「おう」


 理真のお母さんに呼ばれた宗は、最後にクイーンのあごをひと撫でしてから流しに向かった。クイーンにも夕ご飯が用意された。いつものカリカリ。


(何だか、これを食べるのも久しぶりだな)


 クイーンは、お気に入りキャットフードの香りと喉ごしを存分に味わった。


(でも、明日奈や美緒の家で食べたご飯もおいしかったな。特に、美緒が作ってくれたご飯は、匂いといい喉ごしといい、最高だった)


 食事を中断してクイーンは顔を上げた。座卓では、いつものようにお母さんと宗が一緒にご飯を食べている。ときにはここに、理真と由宇も加わることもある。食事のとき、安堂家の面々は、どの顔もじつに楽しそうにしている。


(明日奈や美緒が、お母さんやお父さんと一緒に食事をしているところは見られなかったけれど、安堂家の人たちのように、やっぱり楽しそうにしているのだろうか)


 その夜、クイーンは久しぶりに猫ハウスではなく、お母さんの布団に入り込んで眠った。見た夢は、明日奈と美緒のものだった。



 翌日、朝早くにお母さんはパートに出た。宗はまだ寝ている。土曜日はいつもこうだ。クイーンも、独り占めした居間で気持ちよく眠っていたが、その安眠は、居間に駆け込んできた二人によって破られた。


「クイーン、一緒に来て」


 理真と由宇だった。クイーンは、由宇が棚の上から猫用バスケットを取り上げるのを見て、警戒態勢を取った。が、


「美緒ちゃんと明日奈ちゃんを、助けて」


 理真のその言葉を聞くと、大人しく由宇に抱えられてバスケットに収まった。


 クイーンの入ったバスケットを助手席の由宇が膝の上で抱え、運転席では理真がハンドルを握る。二人と一匹が乗る車は、安堂家を出て朝の町中を走っていた。


「ランタの血の鑑定結果は、今日中に分かるんだよね」


 由宇が理真に訊いた。ランタの名前が出ると、クイーンはバスケットの中で耳をぴくりと動かした。


「そう。冬科(ふゆしな)さんの衣服に付いていた猫の血のどれかと一致したら、強力な証拠になるわ。明日奈ちゃんの証言と合わせて、もう言い逃れは出来なくなるでしょうね」

「あのトロフィーのことは? 確認できたの?」

「うん。読書感想文コンクールを主催している、日本読書推進機構連盟っていうところに訊いた。やっぱりだった。あのトロフィーは、今回の賞からデザインを一新したもので、外観は特に事前に公表とかはしていなかったって。ホームページにも現物の写真やデザインを載せたりしたことはないそうよ。加えて、あの段ボール箱、あれも連盟がトロフィーを各学校に送るのに使ったものに間違いはなかった。本来なら賞状を一緒に入れて送るものだったから、トロフィーひとつを入れるにしては大きすぎたの。表に残っていた送り状も連盟が使っているのと同じものだった。二十三日の夕方に、送られてきた段ボール箱に梱包された状態のまま、形塚先生の机の上に置いてあったことも、複数の先生の証言で分かってる。で、死後の遺品整理のときに、それはなくなっていた」

「血痕のほうは?」

「そっちは絵留(える)ちゃんがすぐに調べてくれた。思った通りだった。マットに書かれた血文字と、冬科さんの部屋の前にあった血痕から、微量だけど炭酸ソーダが検出された。DNA鑑定にばっかり目が行ってたから、血液中に不純物が含まれていたことは見過ごされちゃってたんだよ」

「そうか。じゃあ、これで」

「そう。明日奈ちゃんも今朝早くに、輝子(てるこ)さんと一緒に県警本部に移動してもらったから、美緒ちゃんと二人一緒にいるわ。そこで……私の推理を話して聞かせる」

「本当は、美緒ちゃんと明日奈ちゃんが、自分たちから全部喋ってくれたら、一番いいんだけどね……」

「由宇」と理真は表情を引き締めて、「それは無理よ。あの二人は、まだ中学二年生で、明日奈ちゃんに至っては刑法で罪に問えない十三歳という年齢だけれど、彼女たちなりに超犯罪者としての矜持があるはず。説得や泣き落としで、不可能犯罪を犯した超犯罪者の口を割らせることは不可能よ。彼女たちの築き上げた牙城を崩すことが出来るのは、推理、それだけなの。何が起きて、何をしたのか、それを推理で暴かないと駄目なの。私は、彼女たちも、今まで戦ってきた大人の犯罪者と同等に扱うわよ。それが、二人に対する礼儀でもあるから」

「……そうだね」


 由宇はバスケットを撫でた。クイーンは、理真と由宇の二人から、ただならぬ緊張感と覚悟を感じ取った。


(これが、理真。いつもは、家に来てご飯をたくさん食べて帰るだけの人かと思ってたけれど、この雰囲気は何なんだろう。この人たちは、普段何をしているというのだろう。そして、明日奈と美緒に対して、何をしようというのだろう……?)


 クイーンはバスケットの中で毛繕いを始めた。


「だから、クイーン」と由宇がバスケットを覗き込んで、「お前に同席願うんだぞ」

「クイーンも、今回の事件の関係者だからね……関係猫、か」


 理真もバスケットの中のクイーンを見て、少し笑みを浮かべた。



 県警本部に到着した理真と由宇とクイーンは、丸柴(まるしば)刑事に案内され、来客用の一室に通された。そこには、


「安堂さんに、江嶋(えじま)さん……ミケも」


 並んで座る明日奈と美緒が待っていた。美緒のほうは無言で俯いていたが、明日奈が「ミケ」と口にすると顔を上げた。丸柴刑事は、「あと、よろしく」と言い残して部屋を出た。


「さて」と理真は空いているソファのひとつに座り、由宇もその隣に腰を下ろした。


「由宇、クイーン、出しちゃおうよ」

「いいの?」

「いいって」

「じゃあ」


 由宇が蓋を開けると、待ってましたとクイーンはバスケットから跳び出て、明日奈と美緒の間に体を潜り込ませた。明日奈が頭を美緒があごを、それぞれ左右から撫でる。クイーンは満足げにごろごろと喉を鳴らした。その様子を微笑みながら見ていた理真だったが、


「美緒ちゃん、明日奈ちゃん」と表情を引き締め、「私の話を、聞いてもらえる?」


 二人の女子中学生も表情を一転させる。美緒は不安そうな顔で俯き、明日奈は鋭い顔で理真を見返した。


「まずは、警察が現場検証や司法解剖から得た、一般には公開されていない情報も含めた、事件の状況を二人に聞かせるわ。

 十月二十四日の朝、(みなみ)中学校のグラウンド隅にある体育用具室で、死亡していると思われる男性が俯せに倒れていると通報があった。駆けつけた警察が調べると、倒れていたのは同校の国語教師、形塚武生(たけお)さんと判明。頭部を殴られたことによる脳挫傷で、すでに死亡していることが確認された。死亡推定時刻は……前日、二十三日の午後六時半から七時半の間。凶器は用具室にあった砲丸の球だった」

「――えっ?」


 明日奈が目を見張り、美緒も驚いた様子で顔を上げた。


「安堂さん……」と明日奈が、「どういうことなの? 何かの間違いじゃないの?」

「私の話に、どこかおかしなところがありましたか」

「だ、だって……」


 明日奈はそこで、美緒と顔を見合わせる。二人が自分に目を向けると、理真は、


「そうです。事件発覚時の状況は、明日奈ちゃんと美緒ちゃんの二人が知っていたものとは、少し様相が違っていました。違っている点は二点、ひとつは死亡推定時刻。そしてもうひとつは、形塚さんが殴られた凶器です。二人が信じていたものは、こうでしょう。死亡推定時刻は午後五時から六時。そして凶器は不明。でも、この不明とされる凶器が何か、二人には分かっていた。それは、ブロンズ像のトロフィーです」

「――どうして?」


 明日奈が大きな声を上げた。


「二十三日に何があったのか、私の推理を言うわ。事実と違っているところがあったら、教えて」


 理真は話し出した。


「十月二十三日の午後五時半前、美緒ちゃんは、形塚先生に体育用具室まで呼び出されます。要件は、朝礼の表彰に間に合わなかったトロフィーを渡すためです。どうして体育用具室なんていう、国語教師である形塚先生が使わないところを指定したのか。形塚先生は、何かの用事があってそこにいるから、と場所と時間を指定してきたのではありませんか。普段から形塚先生と親しくしていた美緒ちゃんは、何の疑いもなく用具室へ行きました。その日、運動部は全て五時前には活動を終えており、用具室はもとより、グラウンドにも生徒、教師の姿はなかった。形塚先生はトロフィーを、賞の主催団体から送られてきた、段ボールで梱包がされた状態のまま持ち込みました。職員室で梱包を開けてトロフィーだけで持ち歩くのでは、誰かに見られた際に、これから美緒ちゃんに渡しに行くのだな、と知られてしまうためでしょう。トロフィーは高さが二十センチもあり結構かさばるため、鞄に入れて持ち歩くのにも難儀をしますからね。時間通り、美緒ちゃんは用具室を訪れ、形塚先生は梱包を解き、トロフィーを渡します。そこで……」


 理真は一度言葉を切った。美緒は見るからに顔が青くなっており、明日奈に手を握りしめられていた。クイーンは二人の間で、ソファの上に伏せた姿勢で喉を鳴らしていた。


「そこで、美緒ちゃんは、形塚先生をトロフィーで殴ってしまいます」


 理真が言葉を継ぐと、美緒は固く目を閉じた。明日奈の手にも力がこもる。


「その場で、どんなやりとりの末、そうなってしまったのかは、ここで私の考えは言いません。美緒ちゃんが形塚先生を殴ってしまったという事実が確認できれば、それで十分です。そんなことをしなければならないほどの何かがあった、正確には、形塚先生のほうからの何かがあったんだと、私はそう思っています」

「美緒は何も悪くないわ!」


 明日奈の強い声が部屋に響いた。美緒の肩に手を回して抱き寄せる。二人に挟まれて押し出される格好になったクイーンは、美緒の膝の上に自分の居場所を移した。美緒は、明日奈に握られている反対の手でクイーンを撫でる。力なく震えるその小さな手を、クイーンは舐めた。


「さて」と理真は、「頭を殴られた形塚先生は、その場に倒れます。美緒ちゃんはトロフィーを現場に投げ捨てて逃げだし、明日奈ちゃんと会いました。二人は、前からの友達だったのですか? 通っている学校は違いますが。もしかしたら、そこで偶然、初めて出会ったのではありませんか?」

「そんなこと、どうでもいいでしょ」


 明日奈に言われ、理真は、「そうですね」と言ってから話を続ける。


「これも、何がきっかけでそうなったのかは分かりませんが、美緒ちゃんは、明日奈ちゃんに自分のしたことを告白します。話を聞いた明日奈ちゃんは、ある計画を立てます。その計画とは、美緒ちゃんの罪を冬科さんに被せてしまおうというものです」

「――えっ?」


 顔を上げた美緒が明日奈を見た。明日奈は、ちらと美緒と一瞬目を合わせただけで、すぐに理真に顔を戻した。


「やっぱり、美緒ちゃんは何も聞かされていなかったのですね。全ては、明日奈ちゃん単独の行動だった。形塚さんを殴ったことは、絶対に誰にも話すなと固く口止めをされただけだった」

「明日奈……どういうことなの? 何を……したの?」

「いいから」と明日奈は美緒の肩を握る手に力を入れて、「安堂さんの話を、聞いてて……」

「……分かった」


 納得したのか、それとも、今はそうするしかないと悟ったのか、美緒も明日奈と同じように理真に顔を向けた。二人の少女の視線を受けて、理真は、


「明日奈ちゃんは、冬科さんが最近市内で起きている小動物殺傷犯だと知っていた。そのまま告発するのは容易いですが、動物を殺した罪だけで裁かれるのでは納得がいかなかった。何の罪もない、人間に抵抗することさえおぼつかない小さな命を、面白半分に傷つけ、殺して回っている冬科さんには、もっと思い罰が必要だと考えた。明日奈ちゃんの計画は、美緒ちゃんの罪をなかったことにして、冬科さんに殺人という重い罪を着せる一石二鳥の妙案でした。

 明日奈ちゃんはまず、友達数人に電話をしました。もし警察から何か訊かれるようなことがあれば、二十三日の午後五時から六時までの間、美緒ちゃんと一緒に誰かの家で遊んでいたということにしてほしいという、アリバイ証言をしてくれるよう頼んだのです。そして、美緒ちゃんは家に帰しました。ここからは自分ひとりで行動するためです。二人は、この時点でクイーンと一緒でしたね。そして、クイーンは明日奈ちゃんが連れていくことにした。美緒ちゃんの家がペット禁止で、恐らく、その日はお母様も在宅していたためでしょう。美緒ちゃんのお母様は、動物は……」

「はい、好きじゃありません」


 美緒は寂しげに答えた。


「私が、クイーンが明日奈ちゃんと一緒だったと思ったのは、目撃証言があったからです。明日奈ちゃん自身は、恐らく目撃されたことに気付いていなかったでしょうが、二十三日の午後八時頃、南中学の近くで紺色の制服を着た女子生徒が目撃されています。その生徒は、鞄のようなものを提げていたそうです。この鞄とは、クイーンを入れたバスケットですね。明日奈ちゃんは美緒ちゃんと別れてからすぐに現場に向かいましたが、猫をそのまま連れて歩くのは面倒なため、途中で猫用バスケットを購入した。目撃されたのは、クイーンを入れたバスケットを持っているところだったのです。時間からいって、現場から帰るときのことでしょう。ここまでは、いいですか。何か訂正することはありますか?」


 美緒も明日奈も、何も口を挟まなかった。


「では、次に、明日奈ちゃんが現場で何をしたかです」

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