表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

7-どきどき。

 まだ封を切れてない紙袋をちらりと見て、わたしの胸の中は熱くて、痛いくらいにバクバクと心臓が動いている。

 明日は星花のクリスマスイベントの日で、由佳里おねぇちゃんがわたしの家に泊まりに来てくれる日。泊まりに来てくれるときも、逆に泊まりに行くときも結構あるけれど、こんなに胸の奥がドキドキして、眠れなくなったことは初めて。

 そうなる理由なんて、もう分かってる。明日がクリスマスイブっていう特別な日で、おねぇちゃんに『特別』な気持ちを抱いているって気づいた後だと初めてのお泊まりだから。

 由佳里おねぇちゃんのほうがよっぽど緊張してるはずなのに普通に寝てるんだから、こんなんじゃ子供みたいって笑われちゃうよ。

 わたしだって、もうオトナなんだから。おねぇちゃんが『特別』だから、悩んでるんだから。


 時計を見ると、もう日付は二十四日になっちゃっていた。こんな時間だと、もうおねぇちゃんは寝ちゃってるよね。コンクールとか発表会とかの前の日は、早く寝るって言ってたし。

 ……そういえば。

 わたしがお店のお手伝いをしてから、駅前のショッピングモールで買い物をしてたとき、……わたしが行こうとしたお店から、由佳里おねぇちゃんがちょうど出てくるとこだった。わたしが今持ってるのと同じ紙袋を、左手に持って、なぜか、顔が赤くなってるように見えた。店の中にいたから、寒かったわけでもないはずなのに。

 もしかして、おねぇちゃんもおんなじ理由で……?なんて、考えすぎだよね。あんなに背も高くて、まるでモデルさんみたいだから、そういうオトナな下着だって、普通に似合いそうだし、普通にたまたま同じタイミングだったとかでもおかしくないわけだし。

 こんなの考えたって、答えなんて分からないし、答えを訊く勇気もない。だけど、知りたくなっちゃうって、おかしいのかな。

 もう、これ以上考えても、何も浮かばないや。早く寝なきゃなって、布団を頭からかぶって無理やり寝かせようとするけど、……体は、心は、そんなに簡単に切り替わってくれない。

 由佳里おねぇちゃんのことも、クリスマスイベントのことも。気になって、気になってどうしようもなくなっている。遠足の前の小学生だって、こんなにはならないんじゃないかって思うくらい。

 楽しみだけど、それと同じくらい不安で、……もやもやとドキドキが入り混じって、頭の中がぐるぐるする。

 わたし、どうなっちゃってるんだろう。由佳里おねぇちゃんなら、わかってもらえるのかな。

 もやもやに引っ張られた心は、いつの間にかあの大きな体と優しい声を思い浮かべてる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ