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一度も負けない男  作者: 木村智
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第一話、君の名は

男は二匹のコボルトに向かって走り出した。

その様はあまりにも早く魔物ヒエラルキーの最下層に近いコボルトでは微動だに反応出来なかった。


「グェッ!」


男は何故か?右手のサンダーアクス(自称)ではなく左の素手でコボルトの顔面を殴る。

殴られた方のコボルトは首の骨が折れ絶命するが男の猛攻は止まらない!?

今度は右足ですでに死んでいるコボルトの脇腹を蹴り飛ばし、前のめりになった体制の首(すでに折れている)に左足で踵落としを決める。

呆然とその光景を見つめる残された方のコボルト。


「アクメスの手下になった事を地獄で後悔するんだな四天王さんよぉ」


男はサンダーアクスを構え直しつつ決め台詞とばかりに、まだ生きている方のコボルトに最高のドヤ顔で良い放つ。


当然、言いがかりである・・・


あわれなコボルト二匹は四天王でも何でもない。

ただの魔物ヒエラルキー最下層付近の雑魚、ましてアクメスと言う悪い魔女じたいが実在しないのである。


「ふんっ!コイツは四天王の中では最弱と言われていたから楽勝だったが、四天王最強のお前は少しは楽しませてくれるんだろうな!」


何故悪役っぽい台詞?そして残りの二人は?男の妄想は止まらない。


「四天王最強の称号に対して敬意をはらい最大の必殺技で挑む!」


どこまでも男は自分の世界観に入ってるようだ・・・


「記憶喪失パーンチ、そしてキック」


男は四天王最強のコボルトをなぶり殺した。

頑なに斧は使わないようである。


「ちゃらららんらんらんらーんっ!おっ!?レベルアップか!さすがに四天王は経験値が多いようだ」


そんな音は鳴っていない、レベルという概念は存在する世界だが、あくまで今のは男の妄想である。


「ハッ!殺気?」


男はおもむろに後ろを振り返る。

そこには三人の冒険者が男に手を振りながら歩いて来ていた。


「アクスじゃない、何で薬草取りに行った万年見習い冒険者がこんな森の深い所にいるのよ」


三人の内のひとり、露出の多い赤い鎧を装備した剣士の女が男に声をかける。


「アクス?それが俺の名か?」


男は露出狂の女剣士に聞く


「おいアクス!見習い冒険者のくせにローシュにタメ口か?殺すぞ!」


「モロヌス、同じ冒険者だ、タメ口は良い」


モロヌスと呼ばれた痩せて目付きの悪い男が女剣士ローシュにたしなめられる。


「アクスさ~ん、こんな森の深い所まで来ちゃ危ないですよぉ」


三人の内の最後、杖を持った魔法使いの女が男に声をかけた。


「クレリスの言う通りだ、見習い冒険者が来て良い場所じゃない」


魔法使いの女はクレリスという名のようだ。


「いや、気づいたらここに立っていたんだ、前後の記憶が無い、俺は誰なんだ!」


「何言ってんだ?お前はどう見ても万年見習い冒険者アクスじゃねぇか、悪ふざけすんな殺すぞ!」


「待てモロヌス、確かにアクスの様子が変だ、いつものオドオドしたアクスじゃない、本当に記憶喪失じゃないのか?」


「そうだね~臆病なアクスがこんな所まで来るわけ無いよ~」


「俺の名はアクスなんだな、閃光のアクスで間違いないんだな!」


「閃光は知らんが貴様がアクスなのは間違いない」


「まぁ何があったにせよ記憶喪失なんて一時的なものだろう。ここにいても事態が良くなるとは思えん、メルキドまで連れて帰ってやる」


「何でだよ!アクスなんてほっとけよ、こっちはオークの討伐に来てるんだ足手まといだ」


「一度メルキドに帰って出直す、リーダーは私だ、アクスを放っては置けない」


正義感が強いローシュはアクスをメルキドの町まで送り届ける決断をした。


「助かる、俺は城塞都市の場所を知らない」


「ん?メルキドは城塞都市ではないぞ、それにアクスはメルキドで生まれ育ったんだ、まぁ記憶ないのなら分からないのも当然か」


「アクスさん大変だね~記憶戻るまでクレリスが面倒みてあげるぅ」


と言ってクレリスは男、いやアクスと腕を組んだ。


「クレリスと俺とはそういう関係なのか?」


「ち、違うわよ、クレリス!どさくさ紛れで誘惑しない!」


「あれ~ローシュもアクスに気があるの~、協力なライバルだなぁ・・・」


「ば、ばかな事を、私は、私は・・・・」


「クソッ、アクス死ね」


青春な3人、疎外感しかないモロヌス。


「グギギァアー!!!」


平和な時間は突然壊された、森の奥から巨大な魔物が現れたのだ!


「バカな!ランドドラゴンだと・・・」


「冗談じゃねぇ!なんで災害級が?報告は無かったぞ」


ドラゴンである、最弱とはいえドラゴンの名を冠にする事を許された存在である。

体長は約5メートル、ドラゴンにしては小ぶりだが4トントラックを遥かに上回る存在感は同じ生物とは認めたく無い程の恐怖である。


「逃げきれない!私が囮になる、その間に逃げろ!私も足止めしたあと逃げる」


ローシュが剣を構えながら叫びにも近い声で言う。


「馬鹿言うな!女を囮に逃げる?ふざけるな!初対面だけどアンタみたいな美人で魅力的な人は滅多にいない、世界遺産だ!!」


「アクス?何言ってるの?初対面じゃないし・・・でもありがとう、嬉しいから頑張れる、私も死なない、だから逃げて!」


「なんで逃げるんだよ、世界遺産は守るために認定するんだ、俺はローシュを世界遺産に認定する、だから俺に守られろ!!」


一度も負けない男アクス、強さの秘密が明らかになる。



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