無傷の流血
僕は、彼女と別れた。
「友達にも戻ろう?」っていわれて。僕には理解ができなかった。僕は彼女に何も嫌われることをした記憶がない。だからこそ理由が知りたい。改善したらもとに戻れると思うから、まだ手もつないでいない。一緒に出掛けてもいない。まだ友達だったころと何も変わっていないのに。
冷静に考えれば考えるほど、混乱していった。
この時の僕は別れた彼女を殺した加害者の気持ちも分かった。どうしようもない怒りのようなものが僕の頭に絡みつく。
だけど、理性はしっかりあった。いやなことをまだなにもしていない男が引き留めても仕方ないとむりやり考えた。
明日からは友達として、この胸の流血を抑えながら「トモダチ」を演じよう。