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切迫する

 地に足を降ろす。

 周りの様子を見渡してしまうのならば、それはもう凄まじい有り様だった。


 建物と呼べるものなんて何一つとしてない。

 あるのは瓦礫。

 それも原形を感じとれるものが一切ないまでに、見ようによっては悪意さえ感じとれるほどまでに破壊されていた。


 しばらく歩けば、黒い水たまりが出来ていることに気がついた。

 そっと近づいてみる。


 静寂が支配した世界。

 私の足音が、奇妙なように、不気味ほどに響いた。

 それ以外の音はない。

 それはまるで、この世界に私しかいないようだった。


 しゃがみ込み、黒い水たまりへと手を伸ばす。

 人差し指が水面へと触れる。

 粘性のある液体のネットリとしたような感覚――。


「――っ!?」


 不意に虚脱感に襲われ、咄嗟に手を引いた。

 手を地面に向けて振り、滴を落とす。

 服の裾に指を擦り付けた後にため息をつき、ようやく安堵感を得る。


 どうやらあの液体に触った場合、エネルギーが吸われてしまうよう。

 この黒い水たまりには気をつけなくてはいけない。


 この周辺は、少なくともこの黒い水たまりがなくなるまでは食物が育ちそうもない。

 私の想像よりも酷い状況だ。

 いつになったら黒い水たまりがなくなるかもわからない。

 この町を復興させることは難しいだろう。


 更に――


「貴女ほどのお方が何故こんなところに?」


 耳から入ってきたのはただの鳴き声。そのはずなのだが、頭が勝手にそれの意味を翻訳する。させられる。


 私の後ろには日の光を受け、銀色に毛並みを輝かせた一体の獣が佇んでいた。

 私を見定めるように、ギラリと目を光らせ、全てが見透かされているように思える。いや、見透かされている。


 この獣の前には、どんなに巧みな詐称であっても、真実を織り交ぜた虚偽だとしても、美しく見立てる装飾をしてさえも、意味をなすことはない。

 その眼は、ただ一点。

 変わらない本質のみを見つめている。


 その姿はまさに聖なると言うべきだろうか。


 そう、森を守る聖獣が常に目を光らせているのである。

 この聖獣も、最初は町ができようと大したことではないと思っていたのだろう。

 けれど、先の一戦で考えを変えているはず。


「龍の襲撃を受けたって聞いたから、少し来てみただけよ?」


 その鋭い眼が私の心を見通すように覗き込んでくる。

 緊張から、首筋から背筋にかけて汗が伝う。


「すまない。邪魔をした」


 そう言うや否や、聖獣は私の目の前から姿を消した。

 音もなく、僅かな時間で、気配ももう周囲に紛れてどれがあの聖獣なのかわからない。


 心臓に悪い。

 戦ったら負けない自信はある。

 だけど、流石の私もただじゃ済まない。

 不意打ちなんかされたりしたら、全力で戦う必要だって出てくる。

 穏便に済んで本当に良かった。


 あの聖獣がいる限り、もうこの町は絶対に復興したりできない。

 これは私が保証しよう。


 ようやく一息つけると思ったんだけど。

 この町を壊した龍。流石に放って置くわけにはいかない。

 けれど、どうするべきだろう。

 私の感知範囲には龍らしき反応などはない。

 今回は厄介かもしれない。


 ***


 飛べない。

 飛べない……。

 飛べないぃいいーっ!!


 私じゃダメなのか?

 なんで……? なんでっ……!?

 全然上昇できないぃ……っ!!


 さらに、地面に着かずに前進できる距離は約百メートルだ。

 ちなみに翼を広げずに走り幅跳びをすると三十メートルくらいは跳べる。


 ひたすらに特訓してるんだけど、全く進歩はない。

 くっ……かくなる上は!!


〔現在、スキル『空中浮遊』には龍種権限を使用できません〕


 わかってたよ! そんなの……。

 くそっ、飛べない龍はただの龍だ!

 ……ただの龍でもいんじゃね?

 逆にただの龍じゃなきゃなによ?


 龍ver2.0……?

 龍Mk-Ⅱとか?


 いやいや、私は妖龍だよ。

 妖しげな龍。

 私って怪しいかな?


 そもそも、なんで妖なんだろう。

 黒いのは最初、確か妖魔みたいな種族だったはずだよな。

 私が妖って言って真っ先に思いつくもの……妖怪?


 なんかなあ。

 甲とか鱗とかなのに私は妖ってねえ。

 これから会いにいくのは獣だし。

 うんんと……穢龍なんてのもいたはずだよな?

 結局、龍種って何匹いるんだろ?


〔龍種権限発動。現在生存中の上位龍種――穢龍、械龍、軟龍、霊龍、祖龍〕


 ……はっ!?

 おい、ちょっと待つんだ!

 こんなことが龍種権限でできたのは、意外だった。

 意外だったが、一つだけ言わせてもらいたいことがある。

 獣龍はどこいったんだ!?


 狼ちゃんが嘘をついていた?

 いや、そんなはずないよな。

 あの発狂っぷりは演技ではないはずだ。

 演技だったら私は倒しに行くとか考えずに、狼ちゃんとは常に三キロメートルくらいは距離をとって過ごしたい。


 まてよ……。

 生存中の、だよな?

 獣龍、死んじゃった?

 そして倒したやつが山脈にいると。

 それを狼ちゃんが獣龍と勘違いしているのかな。


 これで一応辻褄は合う、かな?

 龍纏なんてものがあるんだ。

 これは倒した龍の力を使うようなものだろうから、勘違いしたって仕方ないよな?


 というか、私は妖龍になるまではシンプルに龍種だったんだけど?

 そのときは上位龍種に名を連ねてなかったのかな。

 平氏のやつを倒したのは大金星だった?


 これからの方針としては、これ全部倒せばいいわけだな。

 いや、全部は倒したらいけないか。

 龍種権限に干渉してきたやつの思惑に乗ってしまうことになる。

 ……上位に行ってない龍種ってまだいるかなあ?


〔他、生存は確認できません〕


 あっ、はい。

 今回は思いの外、龍種権限が親切だった。

 答えてはくれないと思っていたのよ。

 他っていうのは、なんか酷い扱いな気もするけど、もういないのか。

 それか私みたいに格上げされたかな?


 あっ……面白いこと思いついちゃった。

 うーむ。でも、やったら龍が増えて面倒になるだけか……犠牲も必要だし、上手くいくとも限らないし、自粛しよう。


 それにしても、飛ぶ練習をしていてあんまり進めていない。

 山脈が遠い。

 ここら辺で飛ぶ練習は止めといたほうがいいか。


 正直、山脈にいるやつの信憑性がかなり薄くなってきている。

 一回、狼ちゃんのところに戻ろうかな?


 でもなあ。

 せっかくここまで来たんだし、一回山脈に着いて調査してからでもいいか。

 そうと決まれば、全力で疾走だあ!!

 とっとと行って、事の真相を確かめてみようではないか。

 INT7の探索者ができてしまう事実に驚いた今日この頃。

 ええ、遂に買いましたよ。

 現代宗拝も同時に買って現代日本は制覇してやりました。


 オールタイムでは断章。

 あと日本で買ってないのは明治の次の時代くらいですかね?

 トワイライト・エンジェル?

 知りませんよそんなもの。


 なんか、知らない人、本当にすみません。


 追記、なんかINTの振る数を間違えてたので修正しました。

 最近キャラ作りやってないんですよね。

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