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冒涜的な感じ

 その流動する原形質の黒い生物、恐らくそうであろう。それは異様だった。

 それは死骸から流れでていたはずだ。それなのに、その体積は死骸のそれより明らかに大きい。


 液体とも、固体ともつかない身体を蠢かせて、這いずる。その姿には嫌悪感を感じずにはいられない。

 沸騰したように、何かを溶かしているかのように、泡が体表で弾けている様子に、私はおのずと危機意識を高めてしまう。


 それはおよそ、畏怖すべきものだろう。

 決して見てはいけないものだ。

 決して居てはいけないものだ。


 それには、どんな形容詞も当てはまらない、どんな表現でも示せない、どんな言葉でも象れない。

 強いて言うならば、名状し難い。


 異形の怪物が、私の目の前に姿を現した。


 ……うん。SAN値めっちゃ減った。

 なんか、このドロドロやばい。

 私の精神をガリガリと削っていった。



〈ステータス〉

 妖魔Lv:62

 フェイスライム

 ENE:1/1

 STA:2/2



 えーっと、本当にこのステータスだよな? ステータスを誤魔化すスキルとかもってないよな?

 いろいろ信じられん。


 こんなやつがスライムなんて……。全スライム協会から訴えられる気がする。

 そんなもん、あるかどうか知らんが。


 後ろから気配がする。

 あっ、くそっ。

 バッタまだいたんだ。

 忘れてたじゃないか。


 【搾取】を使いバッタどもを倒す。

 もう数は増えないからか、減らせていると実感することができた。


 突然、ヌメリとした感触が私を襲う。

 バッタの相手をしているうちにこちらに迫ってきていたのだ。


 上等だ。私は当然こいつからエネルギーやスタミナを奪おうとする。が、できない。

 いや、できなかったというわけではない。現に僅かずつだが吸い取れている。けれど、それ以上の勢いで、こいつに吸われているのだ。


 こいつは私にまとわりついてくる。

 エネルギーやスタミナの吸収の他にも、全力で身体を動かすことにより、振り払おうとするが駄目だった。


 私の身体を這い上ってくる。

 あっ……そこは……っ!

 こいつが私の傷口に触れた。あのバッタにかじられた場所だ。


 それからなにをしてくるのか……。

 私には見当づけることができた。


 こいつは傷口から私の体内に進入してきたのだ。ゆっくりと、着実に。


 いやだっ! 気持ち悪い……。いやだ、やめろ、いやだ。

 なにか解決策。そうだ、御館様が私に使ったあのスキルなら……。

 早速、龍種権限で――


 その一瞬。私の頭の中は真っ白になった。


 黒いドロドロは私の中に完全に入りきった。大した違和感はなく、身体は無事に動く。


 ……もう別にいいか。

 実害があったわけじゃないんだし、無理して排除する理由はないはずだ。

 むしろ、宿主の利益になることをしてくれるやつもいるんだ。何かが起こってからでもおそくないはずだ。


 うん、じゃあまず、バッタを倒そう。

 なにか私への攻撃を止めてバラバラに逃げ出そうとしている。

 なんでだろう?


 深く考えることもなく、干からびさせていく。簡単な作業だ。

 駄目だ、一匹たりとも逃さない。

 【搾取】を使って吸い尽くしていくのが、心地良く感じるのだ。


 ふふ、はは、私は逃げ惑うバッタたちを蹂躙していく。

 全て私の糧となるのだ!


〔一定の経験を得たことにより、レベルアップしました〕


 そうだよね。けっこう倒したもんね。

 おおかた倒し切ったと言えるはずだ。それでも生き残りはいるはずだ。

 私はそいつらを探し続ける。


 これで全部かな?

 干からびたバッタの死骸が地面を埋め尽くしている。

 私は達成感を味わい、余韻に浸りながら、その死骸を潰していく。


 なんで潰すか?

 なにか習慣づいてしまった。

 こうしないと勝った気にならないのだ。

 ある意味で死体蹴りな気がする。まあ、足使ってるのは事実だし。


 ふう、終わった。

 疲れたあー。

 ようやく一息つける。


 そうだ、上がったステータスを確認しよう。



〈ステータス〉

 龍種Lv:29

 パラサイト・アンデットドラゴン

 ENE:116/116

 STA:105/105

 SAN:041/225

 MAG:67/67

 DRA:153/153

 KAR:092/100



 普通に上がってるだけだ。

 特に劇的になにかあったわけでもない……って、カルマどうした!?


 もうすぐで百。かなり目前ではないか。

 一体なにがそんなに数値をあげたんだ?

 皆目、見当がつかない。


 まあ、いいか。

 これなら、五つ集めるのに時間がかからないんじゃないかと思う。

 次はどんなスキルが手に入るのかなあ。


 あれ? そういえば、バッタに入れられた毒っぽいものが消えている気がする。

 意識は明瞭だし、エネルギーも減っていないみたいだし。

 自然に消えたのだろうか。不思議なこともあるものだ。


 あっ……!

 エネルギーが減った。

 理不尽な感じに減った。

 きっとあの詐欺みたいなやつだ。

 仕方ないな。


 別にいいんだ。

 私、『不死身』だし。

 エネルギーくらいなら、いくら吸われたって構わないさ。

 ただしスタミナは駄目だ。

 どうせ私のエネルギーでスタミナを賄えるんだろ?


 うーん、それにしても。あいつはどんな感じで私の体内に住み着いているのだろう。

 というか、あの質量全てが私の体内にどうやって収まってるって言うんだ。

 いや、心当たりが一つだけあった。

 それは私も持っているスキルだ。


 スキル『体内寄生』。

 このスキルの効果は、実際よくわからなかった。

 けれど、今になって考えてみれば、一つだけ心当たりがあった。


 御館様の体内にいたとき、私は今よりも小さかった気がするのだ。

 御館様はかなり大きかったが、考えても見てほしい。私はその腸内でけっこう自由に動けていたんだ。

 冷静に思えば、サイズ的におかしかった。


 きっとこの、暫定スライムも私の体内ですごすために最適な大きさになっているに違いない。


 なんで暫定かって? 

 私はあいつをスライムだとは認めない。

 もし本当にそうだったら、名前を決めたやつを訴えてやる。徹底抗戦だ!


 さて、そろそろ出発しよう。

 充分に休憩はとった。

 別にとらなくても動けるんだけど。


 なんで休憩をとったか?

 正気度と相談した結果だ。回復はしないみたいだけど。

 生まれたときから思っていたんだが、減っていく一方で回復しない。

 唯一の救いはレベルアップで上限とともに上がるところだ。


 あれ? これって、レベルアップしたらスタミナのときみたいになって、正気に戻るのだろうか?

 私は狂ったら生き物をひたすら殺し続ける気がするからなくなっても大丈夫な気がする。

 ん? 生き物を殺し続けているのは今も同じか。じゃあ狂っても大して変わらない……?


 まあ、いいか。出口探しの続きだ。

 ……えっと、私って、どっちからきたっけ?

 2015が買いたい……! あっ、これはわかる人にしかわかりませんね。すみません……。


 最近、かなり迷走してきた気がします。プロットとかありませんから……。頑張ります。

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