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始まりの日に

 この世界に龍はいた。


 強大な存在であり、その寿命はないに等しいと言われるほどだ。

 絶対的な上位者。食物連鎖から外れた生物。

 彼らにとってみれば、人間たちなど虫けら、雑草、いいや、塵芥にも満たない。


 だからだろう。彼ら自身は矮小な人間を襲うことはない。それどころか、人間に襲われようと、反撃をすることさえないのだ。

 だがそうだろうと、人間たちは彼らを温厚と呼ぶことはない。


 なぜなら、龍同士が出会ったならば、必ず戦いが始まるからだ。

 その戦いは凄まじく、余波だけで町が一つ簡単に滅ぶほど。

 無力なものたちにはなす術がなく、それはまさに天災だ。


 確か、一番大規模なやつは、国一つが滅んだんだったかな?

 まあいいや。つまるところ、人間にとっては、ただ単純に傍迷惑な存在だってわけだね。


 話を戻そう。そんな龍たちの中で、今度も戦いが起こったようだ。

 だけどどうだ、今回の戦いは格が違う。

 方や始祖とも呼ばれる、原初の時代から遠く生き永らえた龍。

 方や多くの同族を殺し、高く頂きにまで辿り着こうとする龍。


 戦いは今までにないほどに苛烈を極めた。


 それは、理を歪めるほど。それは、次元を捻じ曲げるほど。世界中で、天災が相次いだほどだった。


 そして、偶然か。あるいは、作為的なものか。戦いによって開いてしまった次元の穴から一つの魂が紛れ込んだ。


 魂が次元を超える。普通ならあり得ない話だ。だが、不可能ではない。今回は特別だったのだ。これは天文学的数字の確率である。


 この魂は高い強度を持っていたからだと推測できる。そうとはいえ、所詮は魂のであり、肉体に入っていればたいした差はなかっただろう。


 本来、魂は肉体に付随するものであり、肉体が滅んでしまえば、自ずと消滅するものだ。

 この魂は、肉体が死して間もないものだったのだろう。


 故に、いくら強度が高いとはいえ、この魂も自然の理により消える寸前だったのだ。


 だが、その迷える魂は、偶然にも、いや、これは必然か――一つの器に入ることになる。

 ここまでが、誰かの予定調和だったのだろうか。


 これは、そんな一つの物語だよ。


 ******************


 私は誰だろう?

 始めに浮かんだのはそんな疑問。

 なんの他愛もない。人間、生きていれば何度かそんな疑問を抱き、自分に問いかけるのではないだろうか。


 これに答えよう。

 私はただの社会の歯車だ。それも、いくらでも変えのきく。

 どうしようもないほどの一般人というわけか。


 最近、生きることがただただ不毛で虚しかった。何度か突発的に死のうとも思ったが、やはり相応の覚悟もなく、生き続けることしかしなかった。


 私は一応、底辺ではないつもりだ。それは周りには恵まれていたと思うからである。

 運が良かっただけ。他人には申し訳ないとも思うが、何もしてあげることはない。

 同情しても金はやらん。


 こんな自分は底辺ではない、だけど最低な人間だと思う。

 世の中のためにも、こんな人間は死んだほうが良かった。


 たけどどうだろう。私は死んだ。理由は単純。交通事故だ。

 交通事故では毎年、何人もの人間が亡くなっている。


 どんな交通事故だったかというと、トラックに轢かれてしまった。


 あれは突然だった。一人の女の子が道路に飛び出したのだ。

 その子が何を思って飛び出したのかはわからない。だが、それに釣られて、自殺願望が表に出たのか、私も飛び出してしまったのだ。

 所詮、私は独りで踏み出すことのできない臆病者だというわけだ。


 そのときの私は、何故か女の子に死んでほしくはないと思ってしまった。そこからは身体が勝手に動き、女の子を突き飛ばした。

 良心が残っていたのか、今でも何を考えていたのか定かではない。


 けれども、あのときの女の子の「なんで?」と問いかけるような表情は、何が起こっても忘れないだろう。


 本当に滑稽な話だ。私は何をしたのだろう? 人の覚悟を踏みにじっただけだ。

 死にゆくことへの覚悟なら、私は存分と言っていいほどに知っているはずなのに。


 そうして私は死んだ。最後まで最低な生き方だった。


 混濁した意識が覚醒していく。


 私は死んだのではないのか?

 一つの疑問が纏わりつくが、今は思うように考えられない。


 私は何かに押し縮めて入れられているようだった。

 不意に身体の節々を伸ばしたい衝動に駆られる。だというのに、硬い壁のようなものが遮って、それを許してはくれない。


 もう諦めようかとも思ったが、唐突にピキピキという殻を破るような音が聞こえた。

 どうやら、壁の方が壊れてくれたようだ。


 一度壊れれば脆いものだった。今では壁は完全に取り払われ、全身を思う存分、伸ばすことができる。

 快晴の空の中、降り注ぐ日光が心地よい。


 改めて思う。

 私、死んだよな?


 状況がわからない。ふと、私を閉じこめていた壁、だったものが目に入る。

 どこからどう見ても卵の殻です。


 こういうのをなんて言うのだったか……。

 人外転生。

 そんな言葉が私の脳裏に浮かんだ。

 こんな小説があふれていたサイトがあったものだ。


 さあ、となるとここはどこだろう。

 私の住んでいた世界と同じか? はたまたどこかの異世界か。


 せっかく得た二度目の生だ。柵の多い人間ではない。今度こそ、楽しんだって罰は当たらないんじゃないか?

 今、連載している作品が終わっていないのにやってしまいました。

 ただの気晴らしなので文章が適当な部分が多いと思います。

 読み流していただければ幸いです。

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