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暑さも寒さも彼岸まで  作者: ミスタ〜forest
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嘘から出た真琴 後編

 暫くの間、重たい空気が真琴の双肩にのし掛かる。

 息苦しい程の沈黙が、部屋中を包んでいた。

 否、もしかしたら、そう感じているのは真琴だけかも知れない。

 秋原と棗が、自分を助けてくれた。

 四百人もの署名を集めて、部長に退部を要求した。

 どれもが、自分にとって驚くべき事だ。

 自分の知らないところで、一体何が起こっていたのだろうか。

 きっとそれは、一時期自分が苦痛を隠していた様に、隠されていたのだろう。

 そんな真琴とは対照的に、部長は冷静だった。

 流石に眉一つ動かさない訳にはいかないが、彼女の置かれた状況を考えれば、余りにも冷静だった。

 まるで、初めからこうなる事を知っていたかの様な振る舞いだ。

「……訊いても良いかしら?」

 ようやく発せられた言葉は、やはり冷静なものだった。

 沈黙を肯定と解釈したらしく、彼女は話を続ける。

「何故、新谷さんの肩を持つの? 詳しい話を聞かせてくれない?」

「ふむ……『肩を持つ』は少々語弊があるかも知れんな」

 呟く様な秋原の言葉に、真琴と部長は怪訝な表情を浮かべた。

 それに答える様に、棗が続ける。

「最近の新聞部の横暴には、多くの者が不満を抱いていました。

誰かが如何にかしなければならない、とも。

……ま、こういう役割は、大抵私達が担うのですがね。

私も、若し巻き込まれたら面倒だと思ってましたし」

「だが、武力行使はなるべく避けたかった。欲を言えば、新聞部の良識派に自浄して貰いたかった」

「其の所為で、こんなに長引いてしまったんですけどね……」

 棗は、溜め息混じりに呟いた。

 当の秋原は、もちろん悪びれる気配が無い。

「新聞部内でも、裏新聞には賛否両論の様でしたから、先ずは反対派を煽る事にしました。

しかし、如何しても上手くいきませんでした」

「大きな出来事には、先駆けとなる存在が必要だ。

……もちろん、その様な存在がなかなか出て来ないからこそ『大きな出来事』になるのだが」

 そう言って、秋原は真琴の頭にポンと手を置く。

 真琴は一瞬驚いたが、特に嫌悪感を露にしない。

「で、俺の目に留まったのが真琴嬢だった、という訳だ。

溢れんばかりの正義感、力に屈さぬ若さ、慈愛の心、萌え戦闘値、全てにおいて彼女は完璧だった」

 明らかに無関係な言葉が混じっていたが、この空気では誰も気に留めない。

 この場に藤原が居れば、そうでもないかも知れないが。

「新谷さんを支え、煽り、新聞部の現状を砕く先駆けに仕立て上げる。

其れが、秋原さんの計画でした。正直、私は乗り気に成れませんでしたけどね。

真っ直ぐな人は、下手に曲がると矯正出来ませんから。私独自で彼女を試して、どうにか認めてあげましたが」

 棗の言葉で、真琴は少しずつ事の次第を飲み込み始めた。

 つまり、自分は、初対面の時には既に、彼らの意のままに動かされる事が決まっていたのだ。

 確かに、それなら『肩を持つ』は語弊がある。

 無論、自分の行動は自分で決めた事で、それに不満は無い。

 そう思う事すらも彼らの計算の内かも知れないが、今は置いておこう。

 それよりも何よりも、真琴が気になる事は……。

「秋原さんがだらし無い所為で、少々計算違いな事も起きてしまいましたがね」

「まあ、人間のやる事だからな。だが、それも怪我の功名となった。

過ちを己が力に出来る人間は、意外と少ないがな」

 二人の会話で、以前の過ちが頭を過り、真琴は胸が少し痛む。

 それすらも『計算』として話された事に、尚更。

「じゃあ、新谷さんが今日した事も、計算の内なのかしら?」

 部長が、更に二人に尋ねる。

 言われてみれば、今日の行動については誰にも口外していない。

 なのに、どうして助けに来られたのだろうか。

「否、予想より早く行動されたから焦ったな。だが、準備は殆ど整っていた。

真琴嬢が裏新聞への荷担を拒んでいたお陰で、署名も早く集まったしな」

 そんな二人に、秋原はあっさりと述べる。

 最後の一言は、真琴の方を向いて言った。

 その表情は、部長に向けるそれとは違う、優しいものだった。

 そして、すぐに部長の方を向き直す。

「さて、もう良かろう。その椅子から立て。もう座る権利は無いのだからな。

これ以上の抵抗は無意味だ。あと十分連絡しなければ、将棋部や現美研から数多の援軍が来る。

……その前に、なっちゃんが貴様を撃つだろうがな」

 それは、真琴に向けたものとは真逆の表情だ。

 棗は、小さな声で「なっちゃん云うな」と呟く。

 暫くの沈黙の後、部長は大きく溜め息を吐いた。

 銃を突き付けられた時の様に両手を挙げ、席を立つ。

「……私の負けね」

 溜め息混じりに、部長は呟いた。

 余りにも呆気なく降伏され、逆に戸惑っている三人を尻目に、彼女は彼らの側を横切り、出口へと歩いていく。

「十分に稼がせて貰ったし、そろそろ潮時が来ると思っていたから。

この娘みたいに信念が有る訳でもないし、もう未練は無いわ」

 あっさりと述べ、彼女はドアを開け放った。

 だが、その足は外へと踏み出さない。

 部室と廊下の境目を前にして、彼女は一歩も動かない。

 怪訝な表情を浮かべ、真琴が声を掛けようとした時、

「……あれは、私が小学生の頃だったかしら……」

 部長が、誰にでもなく呟いた。

 三人に背を向けたまま、彼女は続ける。

「私が異変に気付いたのは、夕食の時間になっても父が帰って来なかったからだった。

学校から帰ってから殆ど何も話さない母に、私は勇気を出して尋ねたわ。

母は暫く黙ってたけど、『今日は忙しいから帰れない』って答えた。

そんな訳無い事は子供ながらに判ってたけど、それ以上言及出来なかった。

でも、次の日も、その次の日も、更に次の日も、父は帰らなかった。

だから、未だに会話に積極的にならない母に、私は問い質した。

ずいぶん躊躇したけど、とうとう母は答えたわ」

 それから、部長は少し間を置いた。

 もしかしたら、躊躇っていたのかも知れない。

 だとすれば、彼女の母も、これぐらい躊躇ったのだろうか。

「……冤罪。朝の満員電車で濡れ衣を着せられて、そのまま留置所行きですって。

訊きたい事はまだまだ有ったけど、母はそれ以上何も言わなかった」

 淡々と述べたその表情は、彼女以外には知る由も無い。

 あくまで『冤罪』としか言わなかったが、朝の満員電車で掛けられる容疑は……恐らくそうなのだろう。

 濡れ衣の名前など、口にもしたくない筈だ。

 彼女の母も、同じ様に思っていたのかも知れない。

「あの頃の私には、『えんざい』の意味なんて解らなかった。

母も、それを承知で、敢えてそう言ったのかも知れない。

でも、『えんざい』の弊害が影を落とし始めた事は、すぐに判った。

……まず、近所を歩いていると、周囲の人がひそひそと話をする様になった。

私には内容が良く解らなかったけど、それでも胸を突かれる様な痛みを覚えたわ。

それから間も無く、学校にも影響が及んだ。

皆が少しずつ私から離れていって、友達も私を避ける様になった。

最初はそれだけだったけど、日を追うにつれて酷くなっていったわ。

ノートや鉛筆がいつの間にか使い物にならなくなっていたり、当番でもないのに掃除させられたり、

置き傘が無くなっていたり、上靴が片方だけゴミ箱に在ったり……」

 声に、怒気は無かった。

 だが、拳は確かに怒りを握り締めていた。

「そんな生活が、ずいぶんと長く続いたわ。母も似た様な目に遭ってたらしいし。

死んでやりたいとも、本気で何度か思った事がある。

それでも生きていたのは、『えんざい』に尾を振る様な真似だけは出来ないと思い直したからでしょうね。

父が『えんざい』から解き放たれた時には、私の学年も変わっていた。最後に見た父とは、少し違う人に見えた。

でも、ようやく誤解が解ける。安穏な生活を、家族全員で過ごせる。

帰って来た父に抱き付きながら、私はそう確信していたわ」

 そこまで言って、部長は少し黙る。

 文脈から考えて、辛い展開が待っているのだろう。

 居た堪れなくなって何か言おうとした真琴を、秋原と棗が片手で制した。

「……けど、私達の平穏は戻らなかった。父の無罪は証明された筈なのに。

根拠の無い誤った情報はすぐに広まったのに、正しい情報は全く浸透しなかった。

父は職を追われたし、生活は一向に元に戻らないから、仕方無くこの萌月市に引っ越したの。

生活は苦しくなったし、父も再就職には苦労したそうよ。

……だから、私は悟ったの。人が知りたいのは、正しい情報なんかじゃない。

正誤や善し悪しなんて関係無く、退屈で枯渇した心を潤してくれる情報なんだって」

 その言葉は、淡々と放つには余りにも悲壮に満ちていた。

 負の感情を纏った何かに信念を揺さぶられる感覚を覚え、真琴は胸が苦しくなる。

「この高校に入学した時に、裏新聞の存在を知ったわ。

生徒や先生に関する至極どうでも良い情報を、プライバシー犯して掲載しているって。

正直、落胆したわ。どこにでも、どの世代でも、そんな事に興味を持つ馬鹿は沢山居るんだって。

……その時に、ふと頭を過ぎったの。これを利用しない手は無いって。

情報の善し悪しを選べないろくでなし共の所為で、私の家庭は崩壊寸前に陥った。

だから、今度は私がそいつらを使って、『割の良いバイト』でも始めよう。

新聞部に入部したのは、それが切っ掛けよ。半分は気まぐれかしら。

すぐに裏新聞への助力を申し出て、下積みをしながらその恩恵を貰っていたの。

若い連中は抜きん出て馬鹿だから、情報の正誤や善し悪しに関わらず、面白そうな記事には食いついてくれた。

何回か部を潰されかけた時も、そいつらのお陰で何度でも復活したし、収入も安定した。

わざわざ高いお金を出して、価値の無い情報を買ってくれるんだから、本当に購読者様々よね。

そして、私は部長にまでのし上がり、大きな収入と権力を手にしたって訳。……今日まで、ね」

 一通りの話を終えて、部長は大きく息を吐いた。

 色々な感情が混ざって、真琴は目が潤んでいる。

 秋原と棗は特に変わり無いが、その心中までは察し兼ねる。

「……これで解ったでしょ、新谷さん。貴女が望んでいる事が、皆の望みって訳じゃないのよ。

私に反感を抱く人は大勢居るけど、私を支持してくれる人も、それに劣らないくらい居るの。

……ストレートに尋ねるわ。貴女の信じている『正義』は、本当に『正義』なの? 本当は只の独り善がりじゃないの?」

「そ、それは……」

 部長に尋ねられ、真琴は言葉に詰った。

 彼女の話を聞いた後では、自分の言葉に説得力を感じない。

 今、自分が主張しているのは、本当に『正義』なのだろうか。

 彼女が抱えていた闇も知らなかったのに、自分に『正義』を主張する権利は有るのだろうか。

 一度感化された信念は、瞬く間に崩れていく。

「確かに、『正しい事』なんて物は無いのかも知れん。善悪も、所詮は人が決めた価値観だからな」

 そんな真琴に代わるかの様に秋原が話を始め、真琴は彼の方を向く。

「人間、誰にも憎まれずに行動する事など出来ん。

今回、貴様が部を追われたのも、その人数が通常よりも少し多かったからだけかも知れん。

……だが、俺は真琴嬢を信じる。この署名に名を連ねる者達も、同じであろうな。

だから、少なくとも独り善がりではない。彼女を支持する者が一人でも居る限りはな。

……さて、これ以上真琴嬢を無闇に惑わせるのなら……」

 秋原の言葉に応える様に、棗がエアガンを部長に構えた。

 部長は振り向く事無く、溜め息を吐く。

 それには、嘲笑が含まれていない様に感じた。

 少なくとも、真琴は。

「もう、貴方達の正義ごっこには付き合ってられないわ。後は勝手にしなさい。

……良かったわね、新谷さん。貴女を支持する綺麗事好きが沢山居て。

ま、貴女がこれからどうするのか、適当に傍観させて貰うわ。精々期待に応えてあげなさい。

間違っても、私の様な方向に向かわないようにね」

 部長は淡々と述べ、境目を踏み越える。

 彼女の言葉が被った仮面の裏側が垣間見えた真琴は、彼女を追い掛けようとするが、片手で制された。

「さっきまで敵対していた側に付く気?

……本当、貴女って人は愚直ね。それとも、無垢って言えばいいのかしら?

そんな真面目な事ばっかりしてないで、もっと快楽に走れば良いのに。

……もし、世の中が貴女みたいな世間知らずばっかりだったら……私は……」

 そこから先の声は、余りにも小さすぎて聞こえなかった。

 真琴が止めようとするよりも早く、部長はその場を去っていく。



 土曜日の夕方。

 夕日に染められた三人が、帰路に着いていた。

 真琴は、自分の主張が通った筈なのに、少し沈んだ表情をしている。

 遣る瀬無い感情で満たされた心は、自然と溜め息を吐き出した。

「部長……あんな過去が有ったんスね……」

 誰にでもなく、真琴は呟く。

 自分は、情報の持つ正義を信じている。

 だが、部長は情報によって傷付き、情報でその報復を果たそうとした。

 本当の正義とは、何なのだろうか。

 自分がすべき事は、何なのだろうか。

「ま、今に始まった事ではありませんよ。昨今の凡庸な連中は、情報を撰んだりはしませんから。

その癖、勝手に堕とした評判を訂正するのは難しいと云う……勝手な話です」

 そんな真琴に、棗は淡々と述べた。

 初対面で言われた言葉が、今になって再びのし掛かってくる。

 与える側と受け取る側。片方でも好い加減なら、情報は意味を成さないのだ。

「それを変える為の一歩が、今日の一件であろう。

まだまだすべき事は沢山有る。彼女を気遣うのはその後だ」

「……え? どういう事っスか?」

 秋原の一言に、真琴は怪訝な表情を浮かべた。

「そうか……真琴嬢は、裏新聞への荷担を拒否したいだけだったな。

だが、事実として、部長は退部した。これは大きな事だ。

次の部長を考えねばならんし、部の方針も考えねばならん。

二度と、裏新聞などという過ちを繰り返さぬ様、最大の努力をせねばな」

 そう答え、秋原は腕を組んだ。

 真琴は、改めて改めて事の大きさを自覚する。

 自分は、こんな事を望んではいなかった。

 裏新聞への荷担さえ拒否出来れば、それで良かった。

 だが、それは、秋原や棗に守って貰えたからこそ言えるのだろう。

 この二人とは言え、全員を守るなんて出来なかった筈だ。

 だからこそ、部長を退部に追い込んだのだろうが。

「ま、少なくとも一段落はしたでしょう。これで一息吐けますね」

「まあ、な。今のところ、俺の計画も順調だ。このまま、怪我人が出ぬ内に済ませたい」

 秋原の答えを聞きながら、棗は両腕を上に伸ばした。

 ふと、真琴が一人立ち止まる。

「……あの、先輩」

「どうした、真琴嬢?」

 数歩先で二人が立ち止まり、振り返って尋ねた。

 呼び止めたのは良いが、次の言葉がなかなか出て来ない。

 何度も躊躇して、深呼吸をして、

「お二人にとって、私は何なんですか? 計画の為の駒っスか? 計算の一部っスか?

新聞部の建て直しが済んだら、私はお払い箱っスか?」

 一息で言い切った。

 部室に居た時から、ずっと気に掛かっていた事だ。

 果たして、自分は二人にとっての何なのだろうか。

 計画を円滑に進める為の、都合の良い人形なのだろうか。

 将棋部で藤原やアリスと一緒に、取材を通り越して談笑した事も、

文芸部で、冷たい対応とは裏腹に、いつも温かいココアを振る舞ってくれた事も、

全て、自分を思い通りに動かす為の行為だったのだろうか。

 少なくとも自分は、仕事の相手以上の関係だと思っていたのに。

 秋原となら、ロリータの話も気兼ね無く出来たのに。

 冷徹な棗の裏側が、少しずつ見えてきた気がしていたのに。

 そんな真琴に、秋原は小さく笑った。

「ふん……何を言い出すかと思えば。秋原さんに駒として遣われる丈でも有り難」

 棗の台詞が唐突に切れる。

 それに真琴が気付いた時には、棗はその場に横たわっていた。

 何故か、鳩尾と股間を押さえて悶えている。

 真琴が心配を掛けるよりも早く、

「なっちゃんはこう見えてツンデレだからな。先程の言動は気にしないで貰いたい」

「は、はい……」

 秋原がフォローを入れた。

 更に秋原は続ける。

「確かに、真琴嬢を駒として利用したのは事実だ。最も平和的で民主的な手段として期待していたからな。

そして予想通り、隠れ反対派を煽動してくれた訳だ。利用してしまって済まなかったな。

だが、この計画は全て俺の独断だ。なっちゃんやその他は責めないでやってくれ」

 そう言って、秋原は頭を下げた。

「しかし、それは切っ掛けの一つに過ぎん。

俺も、棗も、その他の連中も、真琴嬢の実直さに惹かれたのだ。

紛れも無く、真琴嬢は大切な存在だ。駒としてでなく……仲間としてな」

「先輩……!」

 秋原の言葉に、真琴は胸の奥が熱くなる。

 どうやら、只の考え過ぎだった様だ。

 自分は、ちゃんと必要とされている。自分の信念が、支持されている。

 自分の側に付いてくれた人が、何百人も居る。

 そして、身を挺して自分を守ってくれる二人が居る。

 もし、今、正義を貫く理由を尋ねられたら、答えは――

「そうであろう、なっちゃん?」

「だ、誰が……仲間だなんて……」

 悶えながらも、棗は秋原の問いを否定する。

 秋原は一瞬冷たい笑みを浮かべ、真琴の方を向いた。

「実はな、真琴嬢。なっちゃんは昔、駅前の」

「わかりましたそうですねええはいあなたはだいじなだいじななかまですよ」

 秋原の言葉を覆う様に、棗は棒読みで述べる。

 判れば良いのだ、と言わんばかりに、秋原は頷いた。

 棗は舌打ちをして、鳩尾をさすりながら立ち上がる。

 そんな遣り取りを知らない真琴は、心底嬉しそうな表情だ。

「恐らく、部の構造が安定するまでは、裏新聞肯定派の抵抗が続くであろうな。

真琴嬢も、例に漏れず狙われるであろう。だが、決して相手に屈してはならん。

真琴嬢さえ挫けなければ、俺や棗が、誰が何人相手であろうが、必ずや守り抜こう」

「はい! 正義は決して屈しないっス!」

 真琴は、いつも通りの汚れ一つ無い笑顔で応えた。



 ――自分を支えてくれる人達の為。そして、目の前に居る二人の為に。

嘘から出た真琴シリーズも無事に終了。

二作連続で真琴モノを掲載してしまい、すみませんでした。

棗と秋原と真琴って、書く分には非常に楽しいので……。

多分、これからも性懲りなく絡ませると思います(ぁ

もちろん、他のキャラもどんどん出していきますが。

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