マエウシロ
ドキドキ。
初めての美容院。
大丈夫かな。
ネットでちゃんと予約したし、
日にちも時間もあってるよね?
訳あって今までずっと自分で切ってたけど、
やっぱりうまく切れない。
でも大丈夫かな。
私なんかが行っても。
そんなことを考えているうちにあっという間に到着してしまった。
「こんにちは、予約をしました。マエウシロです」
「はい、お待ちしておりました、マエウシロ様。こちらへどうぞ」
今の所順調順調。
案内された椅子に座ると、目の前に大きな鏡。
これが自分の顔か。
何かまた緊張してきた。
「お待たせしました。担当のうしろまえです。マエウシロ様と名前似てますね」
うしろまえさん、やさしそうなお姉さんって感じ。
この人なら大丈夫かな。
「今日はどんな風にされますか?」
「傷んでいるとこを切って整えて欲しいです」
「かしこまりました」
うしろまえさんは、優しく私の髪にふれ状態をチェックしている。
うん。順調順調。
と思ったその時、
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
悲鳴に近い、うしろまえさんの声。
お店は一気に静まり返り、何だか気まずい。
やっぱりダメか。
「あ、やっぱり帰ります」
消え入りそうな声で慌てて泣きながらお店を出た。
やっぱり後ろに目がある妖怪は受け入れてくれないか。
人間世界は難しいな。




