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マエウシロ

作者: 窪宮彩
掲載日:2026/09/06

ドキドキ。

初めての美容院。

大丈夫かな。


ネットでちゃんと予約したし、

日にちも時間もあってるよね?


訳あって今までずっと自分で切ってたけど、

やっぱりうまく切れない。


でも大丈夫かな。

私なんかが行っても。


そんなことを考えているうちにあっという間に到着してしまった。


「こんにちは、予約をしました。マエウシロです」

「はい、お待ちしておりました、マエウシロ様。こちらへどうぞ」


今の所順調順調。

案内された椅子に座ると、目の前に大きな鏡。

これが自分の顔か。

何かまた緊張してきた。


「お待たせしました。担当のうしろまえです。マエウシロ様と名前似てますね」

うしろまえさん、やさしそうなお姉さんって感じ。

この人なら大丈夫かな。


「今日はどんな風にされますか?」

「傷んでいるとこを切って整えて欲しいです」

「かしこまりました」


うしろまえさんは、優しく私の髪にふれ状態をチェックしている。


うん。順調順調。

と思ったその時、


「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


悲鳴に近い、うしろまえさんの声。

お店は一気に静まり返り、何だか気まずい。

やっぱりダメか。

「あ、やっぱり帰ります」

消え入りそうな声で慌てて泣きながらお店を出た。


やっぱり後ろに目がある妖怪は受け入れてくれないか。

人間世界は難しいな。

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