少しおかしな君と僕
僕らは変わり者。そんな二人のやり取りはきっとこんなもの。
「なあ、君は運命を信じるか?」
昼休み、屋上でパンをかじりながら僕は問いかけた。
「いきなりカント的自由意志と決定論の話?」
彼女は呆れ顔でジュースを飲む。
「いや、単純に——君がここにいることが“必然”か“偶然”かを知りたくて」
「ふーん。それって結局、“私が隣に座ってるのが必然だと信じたい”ってことでしょ?」
図星を突かれて、僕はパンを落としかけた。
「ち、違う! 僕はただ、世界を構成する因果の網の目において、君が僕の隣に存在する確率がゼロじゃなかったことを——」
「要するに告白?」
「……哲学的に言えば、そうなる」
彼女は少し黙ってから、にやっと笑った。
「じゃあ、私は経験論的に証明してあげよっか。ほら、手」
差し出された手を握った瞬間、僕の心臓はヘーゲル的弁証法みたいに跳ね上がった。
「な、何を……?」
「これで“偶然”じゃなく“必然”になったでしょ?」
面白おかしく見ていただけたら幸いです。