第98話 なんでバレてるのぉ!?
唐鏡2日目
今日の夕方帰る予定だけど、まだ時間があるということで
私たち三人は修学旅行で行けなかった観光地を回る
え、先生?まだお母さんの餌食になってるんじゃないかな……
最初は神社、もちろん恋愛成就の効果がある場所だ
「なんか意外だな、お前こういうの信じるタイプか」
「そう?私こういうの好きだけどな」
「ふーん、うちは遊園地の噂が本当じゃないってわかってから信じなくなったな」
「遊園地の噂?」
「よくあるじゃん、これをしたら恋が実る〜的な。もう過ぎたことだよ、気にすんな」
一色ちゃんはそう言ってお参りをする訳でもなく
周りを見て回っている
一方紅葉さんは
「見て見て愛華ちゃん!でっっっかい黄金の鳥!あれ、いくらぐらいするかな!?」
一人でずっとはしゃいでいる
この人は私に恋愛を手伝ってもらう意識はあるのだろうか…
「さすがに本物の黄金じゃないと思うよ」
「うわ、夢のないこと言うね〜。あれ、一色ちゃんは?」
「池の方に行ったよ、紅葉さんはお守りかなんか買わないの?」
「あ、そうだった!来年亮が受験生だから買わないと!」
「恋愛成就も忘れずにね」
「もちろん!!!」
「一色ちゃんは噂が本当じゃなかったとか言ってたけど、なんか聞いてる?」
「噂?もしかして遊園地でキスしたら恋が実るってやつかな?そういえば結局実らなかったよね〜愛華ちゃんのお母さんから聞いたんだよ!」
そんな噂あったんだ
あれ?でもその噂遊園地じゃなくて……
いや、お母さんが間違えるわけもないし
きっと私がいない間に出来たんだろうな
せっかくだし、2人にもやってもらおうかな
丁度やりたいこともあったし
「その噂、多分色々改変されてるよ?」
「え?そうなの!?やっぱりガセだったのかなぁ」
「正確には『唐鏡の景色全体が見えるところでキスをすると恋が実る』だから、遊園地の観覧車とか、とにかく景色のいい所がいいね」
「なるほどぉ〜でもまた遊園地行く訳にはいかないし、そんなとこって他にあるのかな?」
「青葉大学の屋上なら凄く景色いいしいいと思う。私が忘れ物したって口実で戻ってみよっか?」
「なるほど!愛華ちゃんかしこい!でもあたしがキスしないといけないってことだよね!?」
「まあそうなるかな……頑張って」
「で、出来るかなぁ〜」
【一色視点】
愛華が忘れ物をした、ということで
青葉大学に戻ってきた
ウチらは待ってる間、屋上に行ってくれと言われ
大学の屋上にきた
結構景色のいいところで、ウチと愛華がよく遊んでた公園や
修学旅行で行った遊園地もみえている
すげえ景色だな……
「ね、ねえ一色ちゃん!」
紅葉に声掛けられ振り返ると
モジモジしながら「ちょっと手出して?」と言われる
なんだ?と思い、出してみると
指先をチョンと掴まれた
「よし!手繋いだ!!!」
どこがだよ
「手繋ぐのはこうだろ」
「ひょわーー!!!!!」
攻めた側なのにダメージくらいすぎたろ
「じゃ、じゃあ今度は……」と
ウチの背後に回り込んで
腰に手を回す
「よし、これハグだよね!」
だからどこが
「ハグはこう」
「ひえーーーーーーー!!!?」
こいつ何がしたいんだ……
……つーか、なんでこいつ
愛華が好きだった時みたいに照れまくってんだ?
…………まさかな
ギュッ
「ほぎゃーーーー!!!!なんで強く抱きしめるの!!?」
「なあお前、ウチの事好きなの?」
「フェ!!?そそそそそそそんなわけけけけ」
「下手だな隠すの……なんだよ、悩む必要なかったな」
「なんでバレてるのぉ?!」
「そりゃお前、何回愛華の事で相談受けたと思ってんだ。お前の癖ぐらいもう分かる」
顔真っ赤で全力で抱きしめとかないと
抵抗して逃げようとする
相変わらずの馬鹿力だな……!
大人しくさせるか
「おい、こっち向け」
「やだ!!!なんかするでしょ絶対!!!」
「……ウチの言うことが聞けないか?」
ちょっとカッコつけすぎか?と思ったが
紅葉は目をギュッ!と瞑りながら振り向いてくれた
いや、何されるか分かってんじゃねぇか
頬に、おでこに、手の甲に、首筋に軽くキスをする
その度に悲鳴が聞こえる
「おら、目を開けろ」
「ゆるぢで」
「うちのものになるって誓うか?」
「ぢがう、ぢがうがら」
「じゃあ決定な」
そして、最後は唇を奪った
結局紅葉はその後気絶したが
姫様抱っこで愛華の所まで行くと
「よかったね」とだけ言ってくれた




