第96話 来なきゃ良かった
体験入学をした次の日
私はついでに実家に帰ることにした
もちろん3人も連れて
「すっごく広くない!?愛華ちゃんお金持ちなの!?」
「忍先輩レベルでは無いけど……まあ広い方だとは思う」
「いらっしゃい皆!今日は贅沢にしましょ♪」
お母さんが夜ご飯を準備してる間
私も手伝おうとすると
お母さんが先生も強制で連れてきた
正直先生が料理してるところは見たこと無かったけど
案の定凄く不器用そうに野菜の皮を向いて
自分の手にも当たって怪我をしている
「もう、何してるんですか、これは、こうするんです」
私が手を握って手とり足とり教えるのを
ドギマギしながら実践する
先生は頭いいし、どこかのおバカさんと違ってすぐ出来るようになった
それをじーっと見てたお母さんは
「なぁにあんたたち?いつの間に付き合ったの?」
と言われ私達二人してゴツンと頭をタンスにぶつける
「何言ってるんすか神楽先生ったらまたまたぁ〜」
「そ、そうだよお母さん、ありえないよ」
「あんた達のこと何年見てると思ってんのよ。それぐらい分かるわ」
お母さんには嘘つけないな……
と私は観念して「まあそうだよ」と言ってしまう
二先生も、この人にはまだバレたくなかったという顔をしている
「翠が愛華のこと好きなのはこの前会った時に気づいてたけど、まさか愛華がねぇ〜変わったわね」
「そうかな……?ていうか否定しないの?」
「娘がいっぱい悩んで決めたことだもの、私がとやかく言うことじゃないわ。まあ翠っていうのに不満がないと言えば嘘になるけどね」
「さーせんなーこんなひねくれ者が彼女でぇ〜」
「じゃあそう言われないよう努力するのね。ほら今日は色んなこと叩き込んでやるから覚悟しなさい」
「ひえぇ〜来なきゃ良かった〜〜」
お母さんなりの気遣いが見れてなんだかほっとしつつ
先生がひたすらに料理を叩き込まれるのを横でサポートしてあげる
そういえば一色ちゃん達2人きりにしてるけど、上手くいってるかな?
【一方 紅葉視点】
どどどどどどうしよう〜!
劇で一色ちゃんにキスされてからすっごく気まずいのに
2人きりになってる〜!
あたしも愛華ちゃんたちのお手伝い行きたいけど
愛華ちゃんに「紅葉さんだけは来ないで(ㅍ‐ㅍ )」って言われたしぃ〜!
だれかたすけて!!!
「うわ懐かしいなぁこれ」
あたしが1人で悩みまくってると
一色ちゃんが卒アルを覗いている
頭の中に一色ちゃんと2人きりと
卒アルを見たいというのが天秤にかかって
すぐ卒アルを見たいʕ ◦`꒳´◦ʔ!が勝った
「え、愛華ちゃん可愛い〜〜!」
小学時代の愛華ちゃんほっぺモチモチしてるー!
そういえば小学時代ってことは一色ちゃんもいるのでは?
「ウチ?いるだろ隣に」
隣……?黒髪美人な子だぁ〜
…
……
………????
「これ一色ちゃん!!!?」
「だからそう言ってるだろ」
「そっか!今の金髪も地毛じゃないし、黒い肌も日焼けだったね!!」
「もう忘れたのかよ」
「今もめっちゃ美人けど、ちっちゃい時は可愛いね!」
「言うと思った」
しばらく2人で卒アルを見て談笑する
あれ、あたし普通に話せてない?
ラッキー!この勢いで緊張ほぐしちゃお!
「やっぱりお前と会話すると落ち着くな」
一色ちゃんがボソッと呟いた瞬間
「ご飯出来たわよー!」と愛華ちゃんのお母さんが出てくる
一色ちゃんはすぐご飯を運びに立ち上がっちゃって
あたし一人になっちゃった
……今のどういう意味!!!?!?!?




