第88話 ……きゅん？
【麗奈視点】
私は今……危機に瀕している
「お願い青木さん！受理して！」
「頼む青木さん！」
「青木さん！！！」
今日は文化祭の出し物を決める日
高校最後の文化祭、思い出に残る出し物にしたい
だが……だがな……
「メイド喫茶はダメだろう！！？」
何故か一致団結して皆メイド喫茶がいいと言い出した
男子が料理担当で、私たち女子がメイド担当
なのに女子達は皆やってみたいと言い出すのだ
風紀委員として生徒の模範として生きてきた私にとっては
あまりにも無理難題すぎた
「どうしてそこまでメイド喫茶にこだわる！？劇や展示でもいいだろう！？」
「「「青木さんのメイドが見たいから！！！」」」
皆こんなことを言ってくるのだ
私を辱めるためにここまで一致団結出来るのか
そういうのは朝会とかの列並びの時にしてほしい
「ね、幼なじみの湯室さんも、青木さんのメイド見たいよね！」
ここでそのやりとりを遠目で見守っていた忍に標的が変わった
「え？あ〜でも私達も着ないといけないでしょ？それは恥ずかしいかなぁ〜」
「こんなフリフリのかわいい服着れるの今しかないって！！」
「確かに……」
「忍！！！？流されないでくれ！」
すると忍は私だけ教室の外に連れ出して
「ねぇ麗奈、今試しによくメイドがやるおまじない、私にしてみてよ」
「何故そうなる！！？」
私は断り続けるが、忍の期待の眼差しは途絶えない
や、やるしかないのか……！？
「お、、おい、、。おいしくなあれ…モエモエ………きゅん？」
死ぬほど恥ずかしい思いをして手でハートを作ってみる
忍はすぐに私の肩を叩いて
「ごめん、他の人達に見せたくなかったからやっぱり禁止で」
私がぽかんとしてる間に
忍は他の人達になにか説明し出して
他の人たちも一斉にウンウンと頷く
結局私が恥ずかしい思いしただけじゃないか！！？
「やっぱりね、青木さんは品のあるかっこいい人じゃないと」
「そうだよ、かっこいい青木さんに可愛くするのがどうかしてた」
「守りたい、この笑顔」
女子達が壊れてしまった……
(迂闊だった……麗奈がするわけないと思ってたのに、最近麗奈緩くなってない？)
「忍？」
「あ、うぅん、なんでもない」
結局話し合いの結果、メイドとかではなく喫茶店にはしたいとのことで
私たちは準備を始めた
出来ることなら今日のことは記憶から消したい……
