第87話 お揃いだね!
【一色視点】
休日、珍しくバイトがなかったウチは暇してると
唐突に紅葉から『(ひ・ω・ま)』とReinが来たので
『たまにはどっか行くか?』と送ってみると
『(*´꒳`* )))))三 』とだけ送られてきたので
絵文字だけで返信すんなよ、とクスッと笑ってると
もうチャイムの音が鳴って
「一色〜!紅葉って子が迎えに来てるわよー!」
とママの声がして
慌てて準備する
「お前早すぎだろ」
「すぐそこだったんだ!もしかしたら暇してないかなーって思って!」
「まったく……んで?どこに行く気だよ」
「特にきめてない!なんかある?」
「適当にぶらつくか」
それからはウチの要望でボウリングしたり
紅葉の要望でプリクラ撮って『ズッ友!』『違う』とか書いて遊んだり
カラオケで紅葉が熱唱したり
それなりに楽しい時間を過ごした
次は何行こうか……と探してると
前からカップルが大量にいるのが見えた
なんだ?と思ってると「あー!」と紅葉が大声を出す
「期間限定のぷにぷにゃ!マスコットのぷにちゃんのイラストのキーホルダーだ!!!」
何が何だか分からんかったが
遠目で見た感じゼリー状の生き物のイラストがあるっぽい
かわ……いくはないけど、人の多さを見る感じ人気なんだろう
「あれ欲しい!」
「行けばいいじゃねぇかよ」
「でもあれ見て」
紅葉が指さす方向には
『カップル限定カフェ!』と書かれた立て札がある
なんでだよ、とは思いつつ
周りがカップルだらけなの妙に納得した
男女カップルしかいないから流石に無理じゃないか……?とは思いつつ
立て札には男女って書いては無いな……と確認をし
ウチは紅葉の手を掴み引っ張る
「わわ!急にどうしたの!?」
「あの、女同士でも可能すか?カップルなんすけど」
ウチの言葉に周りも店員も紅葉もギョッとする
店員は少し疑いの目をしてたが
ウチが紅葉の手を恋人繋ぎしてるのを見て
「大丈夫ですよ」と言ってくれた
中に入ってメニュー表を見ると
あからさまにイチャついてくださいと言いたげな
ハート型ストローのついた飲み物や
少し多めに作られたハンバーグもある(これ絶対あーんさせるやつだろ)
飲み物を一緒に飲んだら景品でキーホルダーってわけか
「…………仕方ねえ、飲むぞ」
「え!?ほんとに言ってるの!?無理しなくても……」
「欲しいんだろ?我慢してやる」
早速頼んで、届いたピンク色の飲み物に少し嫌気がさすけど
仕方なくストローを咥えると
紅葉も少し緊張気味にストローを咥えて一緒に飲む
甘ったるい味がするし、流石に顔が近くて緊張するし、もう最悪
こいつ本当にすっぴんかよ、顔綺麗すぎるだろ
つかなんで普通に嬉しそうなんだよ…くそ
「はい、ありがとうございます!景品のキーホルダーです!お幸せに!」
飲みきったところで店員が持ってきたキーホルダーを紅葉が受け取り
そそくさとその場を立ち去る
「あはは、なんだか変なことしちゃったね。こんなの誰にも言えないや」
「……そーだな」
「あれ?これ2つある。これ一色ちゃんの分だね!」
貰ったキーホルダー眺めるけどやっぱそんな可愛くない
そんな嬉しく……「お揃いだね!!」……まあ嬉しいってことにしとく
「今日は楽しかった〜!ありがとう一色ちゃん!」
「どいたま、まあ、ウチも楽しかったよ」
「……え、一色ちゃんが素直に楽しいって言ってくれるのうれし~~~~~!」
「うるせぇ!てかひっつくな!」
まあこんな友達もあり…かな




