第85話 まさかね
【五反田先生視点】
……困ったことになったわね
唐突に仕事仲間の四条先生とお出かけデートをすることになった
しかも、相手は恋人になれるかもという考えで来るだろう
かくいうあたしは、これまで同性を好きになったことはない
むしろイケメンの男たちの方が好き
今日は適当に済ませて、お断りするしかないわね…
一応軽めのおめかしはしてきたけど
もうちょっとちゃんとしたメイクもした方が良かったかしら……
翠ちゃんからは
「あ〜、まあ良くも悪くも素直な人だよ」
って言ってたし
あたしも保健の先生として体育の先生とは一緒に仕事することが多いから
どういう子かってのは分かってるけど…
「あ、五反田先生〜!おはようございます!」
集合場所に20分前に行くと、既に四条先生が待っていた
「今日の服めちゃくちゃ可愛いですね!似合ってます!」と開口一番褒めてきて
思わず目を逸らして「ありがとう」と呟く
改めて四条先生の格好を見たら……て、ちょっと待って
「何その格好、可愛いじゃない!!!」
「え?本当ですか?良かったぁ〜頑張ったかいありましたよ!」
白のオフショルダーにデニムのパンツという
可愛らしい服装だった
てっきりスポーツ女子っぽく動きやすい服で来ると思ってたけど
可愛い衣装着れるのね!!
「その服自分で選んだの?」
「はい!自分に魅力がないのは分かってるんですけど、可愛い服見るとつい買っちゃうんですよね〜」
こ、これは意外すぎるわ……
職場以外での彼女を見たことは無いし
これは色んな発見があるかも……!
なんだか楽しみ!
「あ、そうそう、ここではプライベートなんだし、先生は無しにしましょ?あたしも睦美ちゃんって呼ぶから、タメ語もOK」
「それもそうで……だね!!お願いしま…よろしく露!さん!!」
「プフッ抜け切ってないし」
「逆に慣れすぎじゃないですかね!?」
「仕事とプライベートはちゃんと切り分けないと、ね?」
「は、はい…」
これはずっと敬語抜けないパターンね
まあいいか、そういえばお出かけの内容は睦美ちゃんに任せちゃったけど
靴だけ歩きやすいものでってお願いされたのよね
デートと言えばランニング!とか言わないわよね…
「じゃあ行きましょうか!少し歩きますけど大丈夫ですか?」
そう言われて睦美ちゃんと電車に乗り
田舎っぽい場所に着いた
少し歩いたら洞窟っぽい場所に着いた
人も入って行くのが見える
「ここ、景色がいいんですよ!」
中に入ってみると鍾乳石とか光の反射で
青みがかった綺麗な洞窟が広がっていた
「凄い……綺麗……」
「でしょ〜!自然って不思議ですよね〜」
景色に見とれてるとちょっとした段差につまづいて転びそうになる
するとすぐに手を掴まれて「大丈夫ですか!?足捻ってないですか!?」と心配してくる
「だ、大丈夫よ」
「足元暗いので気をつけてくださいね、このまま手を繋ぎながら行きましょうか!」
このまま!?
ちょっと嫌だったけど、結局睦美ちゃんがリードしたまま洞窟を回った
その後は喫茶店で軽い食事をした
あたしが大好きなパフェを言い当てたり
お昼を奢ってくれたり
流されるままずっと楽しい状態が続いていた
そして締めの場所はプラネタリウムに来ていた
プラネタリウムは初めてなんだけど……
「すみません、こちらの不備でして、カップルシートしか空いてなくて……そちらでもよろしいですか?もちろん料金は頂きません!」
店員からそんなこと言われた
カップルシートって1つのベッドとか椅子で2人座るやつ?
嫌すぎるけど……
「私は大丈夫ですけど…どうされます?」
「仕方ないからいいわよ」
モフモフのダブルベットみたいなものに案内され
あたしが寝転がるとだいぶ間隔あけて睦美ちゃんが座る
「あんまり気にしなくていいのよ、隣おいで」
「え、いいんですか?じゃあ……」
ピトッと睦美ちゃんの左腕が触れて少しドキッとする
いけないいけない、楽しすぎて気を緩めてるわ
近くには普通のカップル達がイチャついてるのに
あたし達だけ少し場違いね
会場は暗くなり、ナレーションが
色んな星座を光らせて説明をしてくれる
仕事とプライベートは分けてるつもりだけど
ちゃんと夜空を見上げたこと無かったわね
……カップルシートもフカフカで
…………なんだか眠くなっちゃう
………………だめよあたし、睦美ちゃんが…
…頑張って考えてくれたプランを無駄にしちゃ
…………いい大人なんだから……こんなので…………
「……さん…ゆさん……!……露さん!」
睦美ちゃんに呼びかけられて目を覚ます
……しくじった……思いっきり寝ちゃった!
「ご、ごめんなさい、あたし……」
「おはようございます、お疲れだったんですね。とりあえず外出ましょうか?立てます?」
睦美ちゃんに手を引かれて立ち上がり
周りを見渡したけど、既に客は誰もいなくて
ギリギリまで寝かしてくれたのかな、と考える
にしても油断しすぎた……だらしないって思われそう
「時間も時間ですし、そろそろ帰りましょうか。リフレッシュ出来ました?」
…………リフレッシュ??
「はい、露さんは確かに仕事とプライベート分けてますけど、学校で見る限り、生徒のために働いてるのを見てお疲れなんじゃないかなって、同じ教師として、見過ごせないと!」
「デート…とかじゃ……?」
「あはは、それはおまけというか、口実というか……もちろん私だってそんなすぐ付き合おうとは言いませんよ〜」
な、なんなのこの子……
完璧すぎる……!
今までどうして恋人がいなかったのかも分からない!
「じゃあ、また学校で会いましょう!」
「あ、待って!今回はあたしがエスコートされっぱなしだったし……またお茶しましょ?」
「おー!それはぜひ!楽しみにしてますね!」
別れ際の睦美ちゃんの後ろ姿を見て
少しカッコ良さを感じつつ
あたしもその場を後にした
今日は楽しかった……またお出かけ出来るかしら…
もしかしたら今後本当に…
…まさかね
五反田 露
25歳 167センチ 紺色のクラゲカットに水色のメッシュ
高校まで二翠と同級生だった保健室の先生
保険の科目も掛け持ちしているため四条先生と一緒に仕事することが多い
言動はしっかりとした大人な女性だが
恋愛事情が大好きで色んな生徒の恋愛に首を突っ込んで
わざと掻き回すことを趣味としている
何がとは言わないが全体的にムチムチしている
四条 睦美
24歳 163センチ 黒の短髪
産まれてからずっとスポーツ一筋で生きてきたTheスポーツ女子
サッカー部と陸上部を掛け持ちして、走ることが生きがい
よく教員免許を取れたな、と思うくらいには頭が悪く
テストを作る時は基本マルバツ問題しか作れず
生徒指導も担当なのに一色などの事は大分大目に見てることから
よく教頭から怒られている




