第82話 あんだーすたん?
【五反田先生視点】
麗奈ちゃんの誕生日が近いらしく
流れで忍ちゃんが選ぶプレゼントを一緒に考えることになった
麗奈ちゃんはあんまり保健室に来ることないけど
風紀委員長してたりバスケ部副部長もしてるし
一応バスケは学生の頃かじったことはあるから
それなりに話したことはある
けど趣味とかは聞いたことないわね…
「雪乃、この服とか先輩にいいと思うんだ」
「確かに!麗奈似合いそう!」
2人で盛り上がってる所を後ろから眺める
恋人からのプレゼントに服ってのもどうかしらねぇ…
かと言ってネックレスとかだと重いって思われがちだし…
中々いい塩梅のもの……あーだめだわ
ここにきて恋人ゼロの経験値が仇になってる
いえ、少女漫画は大量に読んでる!
最悪の展開さえ防げば……!
「あ、待って!!!あれ!!!」
忍ちゃんが急に大声出してゲーセンに入ってしまう
どうしたのかと思い、ついていくと
大きめのぬいぐるみが置いてあるクレーンゲームの所にいた
「このぬいぐるみ!麗奈が密かに集めてるプニプニャだ!」
ぷ、ぷに…?
アニメか何かのマスコットっぽいわね
確かに可愛い
「確かに可愛いけど…でも出来なくないですか?」
雪乃ちゃんがそう言ってあたしの方を見る
あ、もしかして…先生としてこれはやっちゃダメって言わないといけない感じ?
「…んー、まあでもぉ…今あたしプライベート中だから、何も見てないわ」
「え、取っていいんですか!?」
「青春が過ぎた大人が子供の青春を縛るなんて絶対に許されないもの。いいのよ」
「ありがとうございます!」
教師としては最悪な行動しちゃったわね
まあ、これぐらい許されるでしょ
雪乃ちゃんもキラキラした顔でクレーンゲームを一緒に手伝う
よく考えたら雪乃ちゃんは初めてするんじゃないかしら
「んー、この角度位かな」
「もうちょっと右な気がします」
「あーー!惜しい!!」
「次、雪乃もしてみたいです」
「じゃあ横見とくね!」
楽しそうにゲームしてる姿を見て
親が見る子の眺めってこんな感じなのかしら…と
しみじみ思ってしまう
すると後ろから「おーおーなにやってんすかね」
と翠ちゃんの声がした
「いーけないんだー、ゲーセンなんて〜先生に言っちゃろ〜」
「あなたも先生でしょ」
「私が仕事するとお思いで???」
「仕事はしなさいよ」
少しため息混じりに言うと翠ちゃんはたははと乾き笑いをする
その隣で、むすくれた愛華ちゃんがいる
「ていうかせっかく2人きりにしたのに、付いてきたら意味無くない?」
「心臓持たない。どぅゆーあんだーすたん?」
だっっっっっっっっさ
っていう言葉は頑張って押し込んで
「なんかごめんね愛華ちゃん」と声かけると
「いえ、別に…」とそっぽ向かれた
絶対あたしと仲良くしてるの良く思ってないじゃない
2人が不自然なく絡めるようにもしないといけないの?
あたしの仕事量どうなってんのよ……
「五反田先生!取れました!」
後ろから歓喜の声が聞こえて振り向くと
忍ちゃんがぬいぐるみを抱き抱えながら
あたしにも抱きついてくる
「あらよかったじゃない、喜んでくれるといいわね」
「はい!……ってあれ?愛華ちゃんに二先生もいる、どうしたの?」
「あー、まあそこで会ったんだよ」
「お姉ちゃんもせっかくだから遊ばない?」
「え、私はいいよ……」
「先生2人がゲームしてるとこ見てみたくない?」
「……それもそうだね」
流れであたし達も遊ぶことになっちゃって
色んなクレーンゲームを回って皆好きなものを取り
いつの間にか荷物が大量になっていた
結構お金が飛んだ気がするわね……
「ほ、本当に全部払ってもらって良かったんですか?」
「あたしまともにお金使わないもの、別にいいわよ」
「ねーねーごたんだせんせーつぎあれー」
「翠ちゃん……いや、二先生は後で請求するからね♡」
「おま、謀ったな…………?」
なんだか久々にこんな遊んであたしも大満足
けどこれだけじゃ翠ちゃん達の方は何も解決してないわね
…………いいこと思いついた♪




