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ヒロイン全員が私の事好きなのはきっときのせい  作者: 六道 傑
後編 幾つもの華は彩りよく咲き誇る
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第77話 最高だぜ

遅くなりました、また日曜も更新出来ますのでお楽しみに

リレーがそろそろ始まる

だけど一向に二先生が見当たらない

とのことで、皆急いで探しに回っている

私はどうせ屋上だろうと思い行ってみると

案の定、座り込んでブツブツ呟いてる先生がいた


「大丈夫……大丈夫……」


「もうリレー始まりますよ」


「ぉぅふ……お前かよ」


「こういう時に貴方がいる場所を知っているのは私だけです」


「たはは、違いねぇなぁ……」


ここまで緊張している先生を見るのは新鮮だ

なかなか動こうとしない先生の背中をバシン!と叩く


「行きますよ」


「あまりにも暴力的すぎんかね」


「あの時みたいに、咎める人はいない。私にそう言ったのは貴方ですよ」


私は先生の手を引っ張って立ち上がらせる


「私が最高のバトンを渡しますから」


それだけ伝えると先生はしばらく考えた後

「ぅし、行くか」と言ってくれた

私はそのまま先生を引っ張ってリレーの場所に戻った




「二先生!お待ちしてました!ささ!こっちですよ!」


四条先生が出迎えてくれて、隣をポンポン叩く

四条先生が3年生のアンカーなのか…手強そう


「二先生と走れるなんて夢のようです!」


「たはは、そうですか」


「生徒たちの優秀な美を飾れるように負けませんよ!」


「えぇ…私も、譲る気はありませんよ」


二先生の覚悟を決めた言葉に安心して

私も立ち位置に戻る

するとそれを見ていた麗奈先輩が「すごいな」と零す


「君は本当に、人を変える才能があるみたいだ」


「私は……別に」


「君が中心になってくれたからだ。誇っていいさ」


「……ありがとうございます」


最高のバトンを渡すと約束したんだ

麗奈先輩は手強いだろうけど…負けてられない


開始の合図が鳴った

1位から6位まであるリレーだから、序盤からかなり拮抗している

私のチームは1番目は一色ちゃんだ

部活は入ってないけど、自前の運動神経の良さで2位になっている


それからクラスの子たちがどんどん代わる代わる走っていき

順当に3位に落ち着いている

順番が少しずつ私に近づいてくる度

ちょっと緊張をしてしまう


紅葉さんにバトンが渡った

忍先輩は既に1位を独走している

……が、私は目を疑った

4メートルほどあった差がみるみる縮まって

すぐに1位に躍り出たのだ

流石すぎて思わず笑ってしまった


「愛華ちゃん!!」


紅葉さんの声のタイミングで私も走り出し

上手くバトンが渡る

しかしほぼ同タイミング


私と麗奈先輩はほぼ同じ速さで走り始める

流石先輩だ、少しずつ差をつけてきている

でも…私も負けてられない!

あんなに努力した先生の自信を付けさせてあげるためにも!


「先生!!!」


ほんの数秒、私が先にバトンを渡した

「サンキュ、お前最高だぜ」

先生は笑顔でそう言うと

この前に見た時とは比べ物にならないレベルの足の速さを見せる

四条先生も驚きの表情を隠せず

少しも差が縮まらないまま突き放していく


「二先生すごい!」「そのまま行け!」

紅葉さんと一色ちゃんの声が聞こえ

私も息が乱れつつも

「先生!頑張って!!」と大声で叫ぶ


『パン!』とゴールと共にスターターピストルの音が鳴り響く

二先生は1位でゴールした


「すご「すごいや先生〜!1位だ〜!!」」


私が褒めようとする前に紅葉さんがかき消す勢いで

二先生に突進していく

「おわっ」という断末魔が聞こえた気がするが

色んな生徒にもみくちゃにされ始めた

皆、相当1位が嬉しかったんだろう

私はその人混みを何とか分けて先生の元に辿り着くと

拳を突き出してみる

もみくちゃにされてお団子頭も解けた先生は私を見ると

にかっと笑って拳を合わせてくれた


改めて質問、あなたは誰が選ばれると思いますか……?

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