第73話 自己評価最下位
実はこの投稿日の前日私の誕生日なんですよね……ありがとうございます(祝われる前提)
ランニングから一旦家に帰るため
紅葉さんと別れ、そのまま走りながら帰ってる最中
ばったりとランニング中の二先生を見つけた
大学時代のであろうジャージを着ている
私には気づいてないようで、50mの距離を
何度も全力疾走している
先生の運動神経は全く聞いた事なかったけど
思った以上に足速くてびっくりしてる
「ハァ……ハア……7秒弱か……ダメだこんなんじゃ」
先生は独り言を呟いてスポドリを飲みほす
「流石に足りんな…」と呟いてから
私の方に振り向く……バレた
「……お前さ、ほんとに覗き見好きよな」
「ご、ごめんなさい、ランニングの途中で……」
「お、丁度飲み物持ってんじゃん、ちょうだい」
半ば強引に私がさっき買ったペットボトルを取って
7割くらい飲まれてしまう
「ふぅ〜生き返る〜」
「言えば買ってきたのに……」
「もうちょいで終わるからいいんだよ」
残ったペットボトルを見て
(というかそれ飲んだら間接……)とか思ってしまい
「もうそれ全部飲んでください」と言うと
「さんきゅ〜」とそのまま飲み干してしまった
「意外とそういうの気にするんだなお前」
「何の話か分かりません」
「とぼけるか、まあいいけどさ」
そのまま先生はベンチに座って休憩を始める
前々から思ってたけど、この人はちゃんと努力してるのに
なんで隠れてするんだろ、と思う
それと……
「先生って、どうして教員になろうと思ったんですか?」
「んあ?そーだなぁ〜頭いいしか取り柄無かったからな」
「え、見た感じ運動神経も良さそうですし……色々出来そうですけど」
「たはは、平均的に見りゃそうかもな。あの大学行くと腰抜かすぞ、化け物しかいねぇからな」
確かに、お母さんから軽く聞いた事もあるけど
そういう人本当にいるんだ、ってくらいの才能の人がゴロゴロいる大学らしいからな
並大抵の実力じゃ地獄を見そうだ
「心折れて退学も考えたけど、そん時に色々教えてくれたのがあんたの母さんなんだ。数学だけは良くなってさ、『あんたなら教員になれるかも』って言葉鵜呑みにして、大学の教授落ちて、高校来たって感じ」
そこまで詳しく聞いてなかったから
なんか凄いな……と思ってると
「まあそれと子供も純粋に好きな方だしな」とつけ加えた
「じゃあその努力を隠す理由は?」
「隠すつもりはねえけど……まあ、お前ら生徒の前じゃカッコつけてぇんだよ」
先生はそう言って私の頭をポンと撫でる
この前先生が風邪引いた時も
自己嫌悪からか自分自身をダサい、と言ってたし
そもそもの自己評価が低い人なんだろうな…
「私はそれでも、ひたむきに努力してる姿はかっこいいと思いますよ」
「……うわ、また惚れさせようとしてる?」
「ちがっ、からかわないでください」
たはは、と乾いた笑いした後に
先生はまた走る準備を始める
見とけってことかな…?と私はそのまま眺めてると
「ちょっとゴールでタイム計ってくんね?」
と頼まれて私はスマホのタイマーをつけてゴールに立つ
すると「まあ心配すんな」と言ってから走り出す
さっきよりも速いスピードでゴールした先生は
明るい笑顔で私に
「リレーも愛華の恋人も、一位譲る気ないからさ」




