第68話 百発百中
紅葉さんが言ってたカフェの方に行くと
二先生がiQOSを吸いながら
何かの雑誌を読み漁っていた
私に気づくと直ぐにその雑誌を直す
「よっ、その様子だと紅葉にも告られたみたいだな」
「どうして分かるんですか……」
「たはは、お前に対しての勘は百発百中だな」
「ていうかずっとここにいたんですか?どこか回れば良かったのに」
「まぁそういう年頃じゃねえしなぁ、乗り物酔いえぐいし」
そう言ってブラックコーヒーを飲む姿は
本当に大人だなぁ、と少し感心してしまう
席に座ったタイミングで店員がすぐに遊園地限定の定食を置いてくれる
先生が前もって注文してたのか
それに私の好物をちゃんとおさえてる…
「完璧すぎて気持ち悪いです」
「うっわ、ひっでぇ〜」
いただきます、と手を合わせ
1口いただくと美味しすぎて手が止まらなくなる
その姿に先生は軽く微笑みながら眺めている
「お前のおかげでタバコ辞めれそうだからよ、礼として受け取っとけ」
「え?タバコ辞めるんですか?」
「んまぁな、ストレスの原因の半分消えたようなもんだし」
「……先生の吸ってる姿、凄く似合ってたのに勿体ない」
先生は私の言葉に少し驚き
たはは、と笑いながら私の頬に人差し指で突く
「言うようになったじゃねぇか〜」
「…体に悪いのは分かってるんですけど……ほんとに辞めるんですか?」
「そう言われちゃ仕方ねぇなぁ、そんなすぐ辞めれねぇし、度々吸うか〜、体悪くなったら愛華のせいって訳で」
んまぁ私が言ったしな……と心の中で思いつつ
さっき先生が読んた雑誌が気になって仕方ない
遠目だと女優さんが載ってた気が……
まさか好きな女優さんが載ってたり…?
「どした、そんな怪訝な顔して」
「さっき、何読んでたんですか」
「あーこれ?まあお前には関係ねえよ」
「さっき、何を、読んでたんですか」
「こっわ」
ヘラヘラ笑いながら見せようとしないので
食べきった所ですぐ席を立って雑誌を取り上げる
……ファッション誌?
「ちょ、返して?」
「先生がなんでファッション誌を……?」
「あ〜〜〜ほら、私服をさ、七着ずっと回してるだけだからさ、まあ愛華に……な?分かるだろ?」
少しだけ照れてる姿にドキッとしつつ
パラパラとページをめくる
先生に似合いそうなものばかりだ、ビジュアル良いしなぁ……
と思ってると、1つのページだけ少し歪んでいて
そのページは私に少し似てる女優さんがいた
しかも海に行った時に着てた水着まで似てる
むしろ私を撮ったのでは?とすら思えてくる
「うわ、バレた」
「もしかしてこれずっと見てました?」
「なんで分かるんだよ〜」
「先生に対しての勘は百発百中なので」
「たはは、大正解。いつか服買ったら見てくれよ」
ちょっとだらしない服装以外のものか
楽しみだな……「分かりました」とだけ伝え
ずっと考えていた告白の答えのことを私から切り出した
「あの」
「どした?」
「来月、体育大会あるじゃないですか」
「そういやそんな時期か」
「……それまでには、答えだそうと思ってます」
「…あんま気負いすぎんなよ」
「大丈夫です」
後でふたりにも伝えておこう
私の気持ち……どうしたいのか……




