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ヒロイン全員が私の事好きなのはきっときのせい  作者: 六道 傑
前編 影に咲く華は愛を得て芽吹く
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第49話 満開の花

ついにこの日が……

【愛華視点】


海から数日、雪乃に心配されながらも

ようやく考えがまとまり出した

とにかく、今考えても答えが出ない、てことだ

まだ恋について分からないことだらけだ

その状態で答え出しても、先生に失礼だ


……まあ、今まで告白してくれた子達は?って言われるとぐうの音もでないけど

先生だったら……とか考えたりしちゃう

紅葉さんや九十九さんとかも考えたりしちゃうあたり、私ダメかもしれない

そんなこんな考えてたら夏祭りの日になってしまった


「お姉ちゃん、浴衣どう?」


「すっごく似合ってる。可愛い、世界一」


「お姉ちゃん、雪乃のことほんとに好きだよね」


私は椿の柄のついた黒の浴衣を、雪乃は1本の大きい薔薇の柄のついた白の浴衣を着た

なんで薔薇なのか聞いてみたけど

「3人で合わせて3本の薔薇にしたんだ、花言葉はね、あなたを愛しています。なんだよ」


薔薇の花言葉にそんな意味が

流石カップルになっただけある、見せつけてくるなぁ

私はシンプルに椿の花が好きだから選んだけど

調べてみたら気取らない優美さ、とか控えめな素晴らしさ、とかあって

案外私にあってるかな……?とは思ったけど

「お姉ちゃんにピッタリ。最強、はっぽーびじん」とか言われたので着ることにした


「そういえば、お姉ちゃん誰と回るの?」


「紅葉さんと九十九さんとは回ると思うけど、先輩達は回るかどうかわかんない」


「あれ、そうなんだ。ぼっちになったら雪乃がいてあげるからね」


「さ、流石に大丈夫……だと思う」


慣れない下駄を履いて祭り会場に向かうと

道中、色んなカップルが見えて、幸せそうだなぁとは思いながら

ようやく集合場所に着いた

「愛華ちゃーーーん!」と後ろから声がして、振り向く前に背中に衝撃が走る

多分タックル並みのハグをされた


「痛い」


「ごめんごめん!わ、愛華ちゃんの浴衣きれー!」


「紅葉さんもね」


「えへへ〜でしょ〜あれ?一色ちゃんが来てない」


「お、おま、下駄で、走るなよ……危ねぇだろ……ハァハァ」


後ろから来た九十九さんも息切れしながら走ってきたけど

やっぱり綺麗な浴衣を着ている、しかも今日はポニテにしてきてる

「似合ってるよ浴衣とポニテ」と伝えてあげると

「お、おう」と渋い反応をした


「そういえばさっき、麗奈先輩達見かけたよ!行こーよ!」

「お前元気すぎるだろ」


2人に着いていくと、ちょうど先輩二人がわたあめを食べていた


「あ、愛華ちゃん達!皆綺麗だね〜」


そういう忍先輩の浴衣はひまわり柄で凄く可愛い

麗奈先輩のは……なんの花だろ?


「2人ともきれーですね!でも麗奈先輩の花、これなんですか?」


「ん?これか?アオキの花だ、私にピッタリだろう?」


「えー!アオキって花あるんですね!」


あれアオキって実でもあるはずだけど花なんだ……と私がじーっと見てると

麗奈先輩は私から視線を外す

なんか様子おかしいような…?


「3人で回るんだろ?私達も暫く2人で回るから、また後でな」


麗奈先輩はそそくさとその場を立ち去って

忍先輩も驚きながらも「え?麗奈?ちょっと〜」と言いながらどこかへ行ってしまう

な、なにか私しただろうか……

先生に告白されたことで何か思うことがある、とか?

今度聞いてみるしかないか……

そんなこと考えてると、急に紅葉さんが腕に抱きついてくる


「ね、今度はあっちいこ!」


「なんか、今日やけにスキンシップ多いね?」


「へ!?!?あたしいつもこうだよ!!!」


「そ、そう……?」



【一方麗奈は……】


「麗奈……!麗奈ってば!」


「え?あぁごめん、どうした?」


「いや、どうしたじゃないよ!今日変だよ?」


「……すまない忍、今は愛華さんとあまり会いたくないんだ」


「どうして?喧嘩?いや、でも麗奈ならすぐ謝って解決するよね……」


「……忍は知らないもんな、神楽さん、二先生に告白されたらしい」


「えぇ!!?先生に!!?」


「……あぁ、あんな動揺している神楽さん、初めて見たよ」


「まさか、諦めるとか言わないよね?」


「……少し考えている。先生は素晴らしい人だ、とてもじゃないけど、私なんて眼中にない」


「そんな事言わないで!愛華ちゃんなら麗奈が告白すれば、きっと考えてくれるし、まだ付き合えるかもしれないよ!」


告白されたと聞いてからずっと考えていた

こんな奥手で何も出来ない私を愛華さんはどう思ってるだろう

先生のことだから、きっとキスをしたに違いない

紅葉さんも九十九さんも、同じクラスだしスキンシップが多いだろう


私だけが、どうしても不利だ

仮に私が神楽さんと付き合えても、他の皆の悲しむ顔を見たくは無い

それほど、皆と親しくなりすぎた

忍にはずっと協力して貰ってたのに悪いことをしてると思ってる

……私は先生達のあの勇気が欲しい



「すまない忍。今まで協力してくれていたのに、こんなことに…私に恋人なんて夢のまた夢だったんだ」


私が乾いた笑いをして愛華さんに離れるように歩こうとすると

急に手を掴まれ止められる


「…………もう我慢できない」


「忍?」


「麗奈はいつもそう!!頭いいくせに人の評価には気づかない所も。しっかりしてるくせに、独りじゃ何も出来ないどころか怯える所も。気配り出来るくせに優しすぎて他を傷つけないように自分が犠牲になる所も!!」


「な、何を言って……」


「全て見てきたから…ちゃんと分かってるから……応援してたのに…………なんで諦めちゃうの!!」


「そ、う。だな、その通りだと思う……だが私なんて……」


「だからもう……傷つくところは見たくない……」


「……え?」


私が聞き返すと空に満開の花火が咲いた

その灯りに照らされた忍は

とても美しく、泣いた表情をしていた


「………ねえ、麗奈。恋人は…私じゃダメかな?」


さて、遂に来ました、この回が

どれだけのインパクトがあったかは本当に読者次第な気してます

色々言いたいことはあるんですが、今回はあえて浴衣と名前の由来のことについて喋ろうと思います


何となく察した方はいるかもしれませんが

今回の浴衣の花は全部意味あったりします

でもこれは知らなかったら逆に調べなくて大丈夫です

その都度、実は…みたいな感じで自分が顔出すのでw

忍の浴衣にあった向日葵の花言葉には『あなただけを見つめる』があります

もう……そういうことですよね……!!!


あと1つ、名前の由来ですね

これも察した方いると思いますが全キャラの名前は由来があります

春夏秋冬(流、凪、紅葉、雪乃)

数字(二先生、四条睦美先生、麗奈、九十九一色、八月一日凪、十三流)

色(榎木燈空、玄野菜子、二翠、青木麗奈)

愛華、影に咲く華は愛を得て芽吹く


こんな感じで全員理由があるんですが

忍だけはどこにも当てはまらないんですよね

その理由はタイトル通りに愛華が好きと思いきや麗奈が、という

ストーリーの根幹に関わるため本筋を隠しているからですね

それだけ忍はめちゃくちゃ考えてました。褒めてください、震えてください(ほぼ脅迫)

次回は忍自身のことについても語るつもりです。頑張るぞ……!

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