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ヒロイン全員が私の事好きなのはきっときのせい  作者: 六道 傑
前編 影に咲く華は愛を得て芽吹く
30/104

第30話 秘密です

来週から月火木金土、という更新頻度でお送りします

よしなに

『今回は雪乃視点です』


期末テストが一通り終わって

お姉ちゃんに何とか教えて貰って赤点は免れた

保健室にいる時間と授業出る時間がそんなに変わらないから

追いかけるのに必死です


「雪乃〜〜〜〜〜〜やっと終わったなぁ〜」


「お二人共お疲れ様です」


期末テストが終わったら夏休みだ

今年は皆と、いっぱいお出かけすることが目標だ

何行こうかなぁ


「おぉーい凪〜?」


「あれ、二先生どしたんすか?」


「どしたんじゃなくて、お前補習だろうが、すっとぼけんな」


「サアヨクワカンネッスシャッス」


「ほら行くぞ〜」


「ぎゃーやめてー!あたいは流と雪乃とイチャイチャするんやぁ〜〜!」


凪ちゃん赤点だったんだ……

断末魔の叫び声が聞こえる中

流ちゃんは何かモジモジしていた


「どうかしたの?」


「あっいえ、その、今日は凪さんがいないということなので……その……」


「うん、今日は2人で帰ることになるね」


「寄り道。しませんか?私、行きたい所がありまして」


寄り道……!

買い食いとかはたまに凪ちゃんがやってくれるけど

私には夢のまた夢の話だったやつ!


「行きたい!!」


「ほ、本当ですか?では参りましょうか」


もしかして、寄り道に誘いたかったけど

断られるのを想定しちゃってモジモジしてたのかな?

そうだとしたら可愛い……

帰り途中、流ちゃんと2人きりは久しぶりだったから

思った以上に話題を出すものがない

こういう時、凪ちゃんのコミュ力を尊敬する

そういえば、寄り道って何処に行くんだろ


「えと……ところで、どこに寄るの?」


「ひ、秘密です」


聞いてみてもこの調子だ、なにかサプライズ的なものなのかな


「その寄り道は私だけで良かったの?」


「あの……たまには2人で行かないと、先を越されそうなので……」


先を越される???

何を???とは思ったけど

頑なにその事は教えてくれない


そんなに会話が弾まない中

路地裏まで行くと

ようやく「着きました」と言ってくれて

その場所を見てみると…空き地?

ボロめな土管みたいなのも置いてあって

何年も管理されてないのが分かる


「では入りましょうか」


空き地に入ってみると

猫ちゃんが大量に出てきてお出迎えしてくれる

あまりの天国映像に

「はわわわわ……」と声が漏れる


「にゃんちゃん……また会いに来ましたよ」


流ちゃんの方には3匹集まってきて

頬をぺろぺろされている

私の家にもクロマルがいるけど

猫も大好き!!!

1匹を抱き抱えて顔をモフっと埋める


「幸せ……」


「喜んで貰えて嬉しいです」


「この子達どうしたの?」


「ちょっと前に夏バテしているこの子達を見かけまして、家はマンションなので飼うわけにもいかず、ここでお世話をしているんです」


そう言って流ちゃんはチュールを分け与えて

ニコニコしながらそう話してくれる

さっきまで表情も固まってたのに…

猫ちゃんが好きなのかな


「動物病院には連れて行って特に問題ないとは言われたのですが、私一人では少し不安でして……雪乃さんにもお手伝いをお願いしたくて」


「そのくらいなら大丈夫。家からそんなに遠くないし、頼ってくれて嬉しい」


「よかった……」


にゃーん、にゃーんと小さい声で猫と戯れている流ちゃん

そんなに笑顔になってくれない子だけど

やっぱり凄く素敵な笑顔だ


「いいな、私も流ちゃんをそんなに笑顔にしてみせたい」


「え?そんなに私笑顔になれてませんか?」


「うん、さっきまで無表情だったじゃん」


「そ、それは申し訳ありません、基本的に緊張してるもので…」


友達なんだから緊張しなくても…と思ったけど

これは流ちゃんの性格上、仕方ないのかな

しばらく猫ちゃんと2人で戯れてる

そういえば……

「さっき、先を越されるって、何の話?」


「えっと……私、少し焦っていたんです。凪さんはコミュ力が凄い方ですので、私はいらないのではと思ってしまい…」


「え、友達でしょ?いらないなんて思わないよ」


「そうなんですけど……こうやって2人で過ごす時間を増やさないと、私はどうしても劣って見えちゃうと思ってしまって……」


「流ちゃんはどこも劣ってないでしょ?私は親切で優しい流ちゃん大好きだよ。だから猫ちゃんも懐いてくれてると思うし」


「……慌てる必要はなかったかもしれませんね。ありがとうございます」


「いいの。また一緒にこよーよ、凪ちゃんには秘密にしてみたらどう反応するのかな?」


「それは面白そうですね……やってみましょう」




『次の日』


「おはよぉ〜流〜雪乃〜昨日はあの後何したん?」


凪ちゃんの言葉に

私たちは目を合わせてお互い思わずクスッと笑う


「秘密です」


「秘密ぅぅぅ!!?なんや何があったんや!」


「凪ちゃんには教えられないなぁ」


「ずるい!あたいにも教えて!!!」


「じゃあ……今日も寄り道しましょうか」


「……なんか流、えらい笑顔が多なったな?そんないい事あったんや」


「…そうですね。とても、嬉しい言葉を貰ったので……大切な思い出が出来ました」


「ははーん、流ぅ〜あたい負けへんからなぁ?」


「まま負けないってなんの事ですか!?」


2人が何を話しているのか途中から分からなかったけど

2人の笑顔は、すごくきらきらして見えた

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