第3話 湯室 忍
ブックマークもどんどん増えて星評価も頂きました
感謝を込めて、日、月曜日も話を投稿したいと思います!
よしなに!
学校の教室では、朝の話で持ちきりだった
確かにクラスメイトの何人かはいたけど
私は風紀委員を助けた英雄みたいな扱いになっていた
なんでこんなに話が膨れ上がってるのかと言うと
「無口ちゃんカッコよかったよね〜!」
話をバカ盛してる早乙女さんが近くにいたからだ
すごく話を盛ってるけど、否定するようなことを言ってる訳でもないのがタチ悪い
私の事を知らないクラスメイトは
そんな勇気あるカッコイイ子がいるんだと勘違いしている
私はその空気に耐えられなくて、昼休みは人気のない所へ行こうと教室を離れた
はあ……疲れる
やっぱりこういうのは慣れない
そう思って階段を登ってると
前に見たことない先輩が見えて
「あ、いたいた」と言ってから軽く深呼吸をして
私に「ちょっといいかな?」と話しかけてきた何の用だろう?
「今朝は麗奈を助けてありがとう」
げっ、その話か。先輩世代まで広がってるとは
「あ、いえ。おかまいなく」
「もしかしてお昼の場所探してる?私良いとこ知ってるんだけど…良かったらどうかな?」
断れる雰囲気でもない
私は諦めて先輩についていくと
屋上に着いた
先輩が持ってた鍵で開けたので、誰もいない
「なんで先輩がその鍵を……」
「私も風紀委員の1人なんだ。ほとんど麗奈に任せきりなんだけどね…」
先輩はそう言って隅から絨毯を引っ張り出して広げる
所作といい、なんだか上品な人だ
でもどことなく緊張してる…?
「私、湯室忍。忍でいいからね」
「えと…神楽愛華です」
「愛華ちゃんね、よろしく」
困惑しつつも、私は弁当の箱を開けると
「うわ、おいしそう!」と食い付いてきた
「これ愛華ちゃんが作ってるの?」
「まあ……」
「すごいなぁ、私、こんなに綺麗に作れないんだよね」
忍先輩の持ってた弁当は
確かに少しだけ形が崩れていたりする
というか、トマトとかレタスとか緑が多いな……
「良かったら……食べます?」
「え、いいの?じゃあ〜〜その卵焼きで。。ん!んまぃ〜⟡.·」
目を輝かせながら「凄く美味い⟡.·」と幸せそうに食べる
こんなに褒められると、さすがに恥ずかしくてなってくる
「今度さ、私にも料理教えてくれないかな。家庭科室放課後空いてるんだよね」
「……いいですけど」
「決まりだね。あ、Reinやってる?ID教えてくれないかな」
グイグイくるなぁ……
私は押されまくって結局IDを教えてしまった
アイコンは忍先輩とこの前の風紀委員長がツーショットで映っていた
「この風紀委員長……」
「そう、青木麗奈、そうだ、麗奈も呼んでいい?この前の礼もしたいって言ってたんだよね」
「大丈夫って言ったんですけど」
「先輩のご厚意は受け取るものだよ♪」
私は小さいため息をついて「分かりました」とだけ返答した
お礼とかが面倒くさくて逃げたのに、結局こうなってしまった
「よし、決まりだね」と残りの弁当をたいらげて立ち上がる
「じゃあまたね!愛華ちゃん!」
なんだか包み込むような優しい人だったな
でも話してて気持ちよかった
早乙女さんとか陽キャすぎてあんまり関わりたくないけど
先輩は、友達になれたらいいな……
はっ、私は何を考えて……
調子に乗りすぎないようにしよう……
「忍、どうだった?」
「卵焼きおいしかったよ」
「卵焼きを食べたのか!!?羨ましい……」
「次は食べれるように料理一緒に作る約束もしといたよ」
「本当か!?流石だな!でも私は料理は……」
「手取り足取り教えて貰えるチャンスだよ」
「そうだな……よし、仲良くなってみせるぞ…!」
「フフっ頑張ってね。麗奈」
湯室 忍
高校3年生 165センチ 黒髪のショート
誰にでも笑顔で優しく接してくれる朗らかな女の子
バスケ部主将で全国にも出場してるほどのスポーツ系だが
本人はだいぶお淑やかな性格なため、驚かれることも多い
風紀委員長の麗奈とは仲のいい親友ポジで
常に麗奈と共に行動している
麗奈が好きな主人公に興味を持って絡んでみたら見事に意気投合する