最終話3 またな
【麗奈視点】
「在校生、送辞」
四条先生の言葉と共に
マイクの前で在校生代表の神楽さんが話し出す
今日は卒業式だ
この高校にも今日でおさらば
一ヶ月後には大学生活が待っている
今年は本当に色んなことがあった
今話してくれている、神楽さんのおかげだろう
実は来年は神楽さんが生徒会長をしてくれるらしい
きっと神楽さんなら、この高校をより良いものにしてくれるだろう
「以上をもって、在校生送辞とします。在校生代表、神楽愛華」
自然と少しウルっと来るような
そんな感覚を持ちつつ
卒業生代表答辞として呼ばれる
「暖かい陽の光が降り注ぎ、桜のつぼみも膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、私達は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、私たちのためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます」
在校生の場所やPTAの人達をぐるっと見渡す
その中に、ぐしゃぐしゃに泣いてる早乙女さんが見えて
少しクスッと笑ってしまう
「この3年間、本当に色んなことがありました。1番思い出に残ってるのは、現在の生徒会長と、リレーで負けたことですかね。今度また勝負したいものです」
その言葉に神楽さんは少し目を丸くするが
「いつでも受けてたちますよ」と小声で言ってくれる
「学園長や担任の先生も、色んな問題に真摯に立ち向かってくれ、そのおかげで、幼馴染とは親密な仲になりました」
担任の四条先生まで泣き始めた
いよいよ収集つかなくなってきたな…
「卒業したあとの大学でも正しい生徒であり、バスケではまた全国に目指すことをここに誓います。以上をもって卒業生答辞とします」
【数時間後】
卒業式が終わり
集合写真を撮る人もいれば
親や先生達と別れの言葉を話してる人もいる
私の卒業証書も、最後のページは
いつの間にかぎゅうぎゅうにメッセージが書かれていた
「流石に人気者ですね」
神楽さん達が来てくれた
未だに早乙女さんはぐしゃぐしゃだけど…
「はは、嬉しい限りだよ、そっちも在校生代表、お疲れ様」
「貴方が推薦したせいで3年生は忙しくなりそうです」
「君以外の適任を知らないからね、これからはよろしく頼むぞ」
「ゔぇえぇえええーん!先輩達まだ残りましょうよぉーー!」
「紅葉ちゃん、そんなに泣かないでよ〜!よしよーし」
忍は早乙女さんの対処で忙しくなってるな
それを何とか九十九さんが引き剥がす
「九十九さんも、副生徒会長として、神楽さんを支えてやってくれ」
「あんたのせいでウチが本当は真面目で悪のふりしてるだけって話になってるの、絶対許さねえからな」
「ははは、じゃあ唐鏡まで復讐しにおいで、待ってるからさ」
「誰が行くか!」
そんな話してると、後ろからちょんちょんと引っ張られて
雪乃さん率いる3人が花束を持っていた
「卒業おめでとうございます」
「ええ!?有難いが、いいのかこんなもの!?」
「2人のために買いました」
「せやせや、華やかに去ってもらわんとな!」
「お世話になったので」
嬉しくて泣きそうになる……ダメだ、強く意志をもて
「雪乃ちゃん、私達、愛華ちゃんのお邪魔じゃなかったよね?」
「え、忍先輩、まだその事覚えてたんですか……もちろん、最高の先輩でしたよ」
その言葉を聞いて、忍は思わず涙を流す
慌てて雪乃さんが「なんで泣くんですか!?」とハンカチを出す
後輩にこんなこと言われたんだ、嬉しいに決まってる
「…そろそろ行こうか、忍」
「あ、待って、皆で写真撮ろ!!」
「おー私の出番か〜?」
「何言ってるんですか、二先生も入るんですよ」
「ぁえー?なーんで私まで〜」
「ほらほら!1年組も!もっと詰めて!」
「わ、紅葉先輩押さないで」
「皆でギューってするか!詰めろ詰めろ〜!」
「はわわ、詰めすぎでは?」
「じゃあウチが撮るか」「ダメだ、君はこっち」
「マジかよ……」
「皆いいかな?五反田先生〜!四条先生連れて来てくださーい!」
「おー!私も入っていいのか!?」
「うわ、狭すぎだろマジで」
「はい、じゃあ撮るわよ?はい、チーズ」
五反田先生の掛け声と共に、パシャリと集合写真を撮った
「ハイチーズって、いつの時代ですかそれ〜?」
「今どきの子言わないの!?」
「うわぁー老けてやんの〜」
「なによ、あんただって半目で撮ってやったからね!」
「うーわやったわこいつ」
多分、私の中で1番、あまりにも統一感が無くてごちゃごちゃしてた写真だった
でも……いい思い出だ
「皆ありがと!じゃあそろそろ私達行くね!」
「またな、皆」
皆に見送られ、最後にクラスで写真を撮り
ようやく卒業式も終わりに近づいてきた
「あの、湯室さん、ちょっと……」
男子生徒数人に呼び止められ
各々が第二ボタンを渡そうとしている
私は迷わず、戸惑ってる彼女の手を引く
「すまない、彼女は私のなんだ。受け取ることは出来ないかな」
「えぇぇぇえ!!?!?麗奈!!!?!?」
「逃げるぞ忍!」
忍を姫様抱っこして、高校を去る
かなりの距離を走って、ようやく忍を下ろした
「もお!バカ!なんでそんならしくないことを!?」
「1度やってみたかったんだ、もう風紀委員じゃないからいいだろ?」
「そ、そうかもだけど……」
私は自分の制服に付いていたリボンを解き
忍の左手を取り、薬指に巻く
「この先、ずっと一緒にいよう、私達二人で、乗り越えるんだ」
「も、もぉ……はい……お願いします」
【作者の一言】
ごちゃごちゃ会話、貴方は誰が何言ってるか分かったかな?
ごちゃり感を演出したくてあえてこうしました。読みにくいという言葉は受け付けたくありませんw
そういえば四条先生が3年の担任なの、しれっと流れたせいで覚えてない人多そうですね
一応体育祭でも出した設定です
後雪乃に言っていたやつは、料理教室という題材の話があるのでそこで
久々にトゲトゲした雪乃が見れます
ここではボツ設定を話しましょうか
当初の予定で実は忍は愛華の事好きになる予定で
そして愛華が選ぶヒロインは麗奈にする予定でした
まあ書けば書くほどこの2人の幼馴染設定において
可哀想すぎるということになりまして、結果こうなりましたね
まあこの方が結果的にめっちゃ幸せでしたね
麗奈なんて最初、風紀委員はラッキースケベを起こしてなんぼって思ってたのを
全力で止められました
あの時止められてなかったらどうなってたかも見てみたいものです
さて、次回本当の最終回
最後はやっぱりあの二人!お楽しみに!




