最終話2 理/性
【一色視点】
今日はバレンタイン前日
ウチはキッチンに向かって戦闘態勢をとっていた
「ちくしょう……どうやったら出きんだ……」
「そんな睨みつけても出来ないよ」
隣でウチの失敗作を食べてるのは愛華だ
こいつはウチがチョコの作り方を教えてと頼んだんだが
自分が出来たからって高みの見物をしている
「お前な、もうちょっと分かりやすく説明しろよ!自分が出来たから放置すんな!」
「だって一色ちゃん、ミスってすぐ怒るし、やる気失くした」
「くっそこいつ……」
この薄情者、後で覚えとけよ
「ていうか、わざわざこうして隠れて作る理由もあるの?どうせ紅葉さんも作れないから店で買ってくるんじゃない?」
「う、うっせえ!こ、こーいうのは形から入るんだよ!」
「意外と紅葉さん大好きだよね」
「てめぇ次生意気言ったらぶん殴る!」
「殴ったらもう教えないよ」
「だーっ!もう分かったよ!教えてくださいお願いします!!!」
「分かればよろしい」
うし、もっかいだ
薄力粉170g、ベーキングパウダー小さじ1、塩という粉類を混ぜておく。
バターと卵は常温に戻しておく。
「いや常温ってどんくらいだよ」
「もうキレてる、冷めてたらいいと思うよ」
グラニュー糖130g、バター80gをミキサーで混ぜる
「80gとか細けえな……こんぐらいでいいだろ」
「多すぎ、却下」
「クソ……」
卵入れてさらに混ぜる
「いい調子。でも力強すぎ、もうちょっとゆっくり」
「お、おう」
さっきの粉類を入れてゴムべラで混ぜる。
チョコチップを入れて、また混ぜる。
クッキングシートに3cmぐらい間隔を開けて丸めて置き、少し潰す。
190℃のオーブンで15分焼く
「もういいだろ焼くの!」
「まだ5分しか経ってないよ」
「だー!くそー!待ちきれねぇ!」
で、できた!
チョコレートチャンククッキー!
「ん。美味しいよ」
「よし!マジで時間かかったぜ……」
「明日楽しみだね」
「お前も、後でどうなったか教えろよ」
【次の日】
「おっはよー!2人とも〜ってナニコレ!?」
紅葉が教室に入って早々驚きの声が聞こえる
そりゃそうだ、ウチも愛華も
女子どもに囲まれてるんだから
「神楽さん!受け取って!」
「一色様〜!私のチョコも〜!」
「ずるい!私も!」
ウチらいつの間にこんな人気になったんだよ
てか今誰かウチに様付けじゃなかったか?
……気づかなかったことにしとくか
「お〜皆席に着け〜おいそこ〜、一応チョコ持ってくんの禁止だかんな〜隠せよ〜」
先生の仕事しろや
チッ、紅葉に渡す暇なかったな……いつ渡そうか…
それからというもの、行くとこ行くとこ色んな女子にチョコを渡され
帰る頃にはサンタクロース並の袋を抱えていた
「フフ、九十九さん人気だね?この前の文化祭の王子役のおかげかな」
たまたま麗奈先輩が通りかかり、笑われてしまう
「マジで分けたいんだけど」
「せっかく君のために渡したんだ、私が貰ったらダメだろう?」
「つかコレ見てお前も先生も没収しないのイカれてるだろ」
「まあ、禁止といっても口だけだからね。あ、私と忍の分の友チョコも入れとくよ」
「うわ、明らかについでみたいなチョコ持ってきやがった」
「そんなことより、きみは早く早乙女さんの所に行ったらどうだい?」
「行くとこ全部待ち伏せされてんだよ」
「ふむ……分かった、あそこは私が引き受けようか」
「え、いいんすか」
「流石に可哀想だからね、代わりに受け取っとくからさ。早くしょんぼりした子の元へ行っておいで」
「………あざす」
麗奈先輩のおかげでようやく学校から出れて
校門で雪をイジイジしてる紅葉の手を引く
そのタイミングで「あ、九十九さん待って!」と女子共の声が聞こえた
「うし、逃避行するか」
「うぇ!?走るのぉ〜!?」
それから5分くらい走ってようやくウチの家に着いた
しばらく親帰って来ないからな、ちょうどいいだろ
「あれ?一色ちゃん家?なんでここ?」
「落ち着ける所がいいと思ってな。ほれ、チョコクッキー」
「えー!手作り!!!?!?めっちゃ美味しそう〜!食べていい!?」
いいって言う前に空けてんじゃねえか
ったく、すげぇ美味しそうに食いやがるな
「あ、そうだ!あのね、あたしも作ったの!」
「は?お前が?」
「愛華ちゃんは空いてなかったから、忍先輩と麗奈先輩に教えてもらったの、すんごい時間かかっちゃったけど……」
なるほど、だから麗奈先輩……
こりゃあの2人にはチョコ作らねぇとだな
形はボロボロだけど……ん……美味いじゃん
「ほんと!?よがっだぁ〜ずっと不安だったの!」
ほんと可愛いなこいつ…ナデナデ
「えへへ、撫でられちゃった」
…………あー………………あぶねえ、理性飛ぶとこだった
「ね、ねえ?今日も……お泊まりしていい?」
「いいけど」
「やった!ありがと!」
腕にムギュッと抱きつかれる
あっやべ 理/性 プツッ
「わっ、なんで無言で押し倒すの!!?」
「すまん、キスしていい?」
「また!?最近急に迫ること多くない!?」
「お前の照れ顔可愛すぎるんだよシバくぞ」
「なんであたし怒られてるのぉ!!?」
「いいだろ?」
「うぅ……今日は優しくしてよ…?」
理///////性
「へ、ちょ、や、たすけ」
それ以降、今日は紅葉の声をほとんど聞くことはなかった
【作者からのコメント】
あの後ナニしたんやろな……
あ、どうにかアダルチックな表現を避けようとして避けれなかった私です
一色は絶対こういうの早いよな……分かる
何気にこんな表現したの初めてです、こういうの賛否別れるんかな…
一応告白から3ヶ月は経ってるからか
紅葉のヘタレもちょい治ってるぽくて良かったね
これからも俺らの知らないところで紅葉は犠牲になるんや……
まあおふざけはこの辺にして、この2人がくっつくの
改めて意外性しかありませんでしたね
一色はもうちょっとギャル寄りにするつもりだったんですが
結局このままかっこよさの方が目立つ不良ポジでしたね
新作ではもっとちゃんとしたギャル作ります
紅葉のヘタレ度合いはその場のノリで決まりました
ただあーいうヘタレは押せ押せキャラと組ますと最高に可愛いとこの場で証明できたと思います
ここに来て最近の麗奈先輩強かっこよすぎて
株大上がりですね
次回はそんな3年組です、よしなに




