44・気になっちゃうから先に気になる事は片付けよう!
毎日猛暑ですね。
とろけてしまいそうです。
続きです。
宜しくお願い致します。
皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。
「ルウスじゃあ、この段取りで良いかな?」
「(ああ、エル。それで良いとおもうぞ?)」
二人で話し合った結果、狩りの段取りは二人で二方から木に登って挟み撃ちにする事で、少しでも小さい動物を逃さない様にしてそして可能なら出来るだけ多く狩る事に決めた。美味しいのなら多い方が何度も美味しさを堪能出来るからね。そして、黄色い果物は狩りが終わってから採る事も決まった。
「それじゃあ、行こうか!」
「(ああ、久々にあいつが食えるのか今から楽しみだ)
なので今は出来るだけ気配をと物音を殺しつつ、黄色い果物が生った木まで忍び寄っている。息を殺して静かに浅く呼吸をして、呼吸音にも気を付けている。でもそれも魔法を使えれば難易度は一気に下がるのだけどね。
「ついでに聞くけど、あの小さな動物の名前は知ってるの?」
「(そんなもん知るか、小さい奴だから小さい奴で良いんだよ)」
一応気になったのでウリケルさんから引き継いだ知識で調べてみた。動物の名前を知っておかないと何かの拍子に名前を良いよ知っている方が良い時もあるし、小さい奴よりも名前で呼ぶ方が便利だよね。
多分ルウスの場合は小さな動物は何でもかんでも全て引っくるめて小さい奴って呼んでると思うけどね。
「だと思った、名前は知りたい?」
「(…別に知らんでも困らんから知らんで良い)」
風属性の魔法を使って僕たち二人が出す音と匂いを有る一定の範囲から外に出さないようにしているのに、それなのに僕たち二人以外の音と匂いは僕たちには伝わる様にできるそんな便利な魔法なんだ。
狩りを生業にしている人たちからすると便利なはずなのとけれど、だけどこの魔法に慣れてしまうともうそれ以上技能は向上しなくなるような気がするので、ある意味反則?インチキ?なのに不便な魔法なんだよね。
だって自分の技術じゃなくて魔法で気配を消せるからね。…でも、魔法も自分の技術って言えば技術なのだから良いのかも?
「わかった、じゃあ気を付けてね」
「ああ、お前もな!」
僕達二人は黄色い果実が生った木の下まで小さい動物(正式にはマルテースって言う動物なんだけどね)に気付かれずに無事たどり着く事が出来た。でも、今からが本番と言うか一番の難関なんだよね。
「うん」
「(おお)」
今からはさらにマルテースに気付かれずに木登りをしないといけないからね。でも、それも問題無いとは思うけどね。だって、僕たちの存在を極力気付かせない魔法を使っているからね。
よほど大声を出したり、大きな物を落としたりして大きな物音をたてたりしない限りは大丈夫なはずなんだ。なんだけどそこでさっきルウスが言っていた有る言葉を思い出した。 「ちと、面倒な事になるかも知れない!」思い出してしまうと、とても気になってしまうよね。何だか良くない事が起こりそうで、モヤモヤしてしまうんだ。
「ねえルウス、そう言えばさっきマルテースを見付けた時に面倒になるかもって言っていたよね?」
僕が気になって仕方がないのでルウスに問いかけたのだけど、その時すでにルウスは早速木によじ登ろうとしている時だった。
「(あん?マルテースってなんだ?)」
この森に入ってからと言うもの今までに散々危険な目に会っているから何か対策が出来るのならしておいた方が絶対に良いよね。狩りや採取よりも先にこのモヤモヤを解消した方が良いのかも?一応この僕でも学習するからね、何かしらの打つ手が有るのなら先に打っておくのに越したことは無いよね。
「マルテースって言うのは、あの小さい動物の名前だよ」
「(へー、マルテースって言うのか旨そうな名前だな。覚えておけたら覚えておこう)」
マルテースはマルテースだけど、マルテースって言う動物は何種類かいるので近付いて詳しく鑑定してみないと何マルテースかわからないかな?マルテースって事だけ知っていれば何マルテースかとかの細かい事は関係無いような気もするけどね。
「で、さっきの面倒になるかもって言うのはどう言う事?」
「(ああ、それはあの小さい奴が群れで居るからな、黄色い木の実と小さい奴とであんなに沢山全部を食いきれるかなと思ってな)」
「えっ…あれを全部食べるの?」
「(当然だと、言いたいところだがオレ一人で食べる訳じゃ無いぞ。エルの分もちゃんと有るからな!)」
「そうなんだ、あくまでも食べる事が第一なんだね」
「(そりゃそうだろう。森の中では食うか食われるかだからな)」
確かにそれはそうなんだけど、僕も実感しているよ。この森に入ってから何度危険な目にあったのか数える気も無くなるくらい野獣や魔獸に襲われたからね。今のところは僕達が逆に彼らを食料にしているけれど、いつその立場が逆転するかわからないよね。森の奥へと行けば行くほど魔獣も強くなっている気がするし、時おり魔物だって出てきているから油断は出来ないんだ。
「…そうだね、弱肉強食の世界だものね」
「(そうだ、肉だ!肉を食うか食われるかがこの森の掟だ!そして旨い木の実もな)」
「食べきれなくても問題は無いと思うよ」
「(ん?どう言う事だ?)」
そう言えばルウスには無限収納をいつも見せているけれど、無限収納が何なのかの話とかってした記憶が無いよね?していないと思う?はずだよね?
「僕の魔法で保存できるからね」
「(ほぞん?ほぞん、って何だ?)」
「保存って言うのはね、腐ったりしないようにその状態を長くもつようにしてから、とっておくこと?って事かな?」
「(ふーん、それならいつでも食いたい時に食えるって事だな)」
…って普通はそうなるよね。多分ルウスは理解してないと思う。僕の説明が下手なのも有るのだけど、いつでもどこでも好きな物を好きなだけって訳にはいかないからね。入れて無い物は入っていないし、入っていない物は出せないからその辺も説明しないといけないよね?
「無限収納に入れた物ならね。いくら魔法でも無から有は作れないから、入れた物じゃないと出せないよ」
「(エル何言ってんだ?そんなの当たり前だろ!そんなの流石のオレでもわかるぞ。入れてないのに入れてない物が出て来たら、そんなの罠か何かだと疑うぞ!)」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ無かったのだけど僕の言い方が悪かったね」
「(いや、オレはオレなりに考えてみたら、そう思っただけだ)」
うん、今のは僕が悪いよね。ルウスがいくら欲望に忠実だからって流石にこれは無いよね。僕はどこかでルウスを食べる事しか考えていないって思って居たのかも知れない。こんなの友達失格だよね。
「そうだよね、考えるとわかる事なのに僕はルウスが食べる事しか考えていないって勝手に思ってしまって、魔法を便利な倉庫代わりとかって思ったのかなって…本当にごめんね」
「(ん?食べ物を入れる所だろ違うのか?)」
「…違わないけど違うかな…」
「(はっ?意味がわからん、言ってる事が無茶苦茶だぞ?)」
「ごめん、あのね無限収納は…」
無限収納の説明を僕なりにわかりやすく説明したつもりだけれど、果たしてルウスには伝わったのかな?もっと説明とかも上手にならないと、いざ人に伝える時に苦労するよね。
「…って事なんだけど僕の説明でわかるかな?」
「(ようは生きていたら獲物は入らないけど草とか木の実は入って、エルとじいさんの荷物が入ってるって事だろ!)」
「まあ、大体そんな感じかな」
「(じゃあオレの荷物が出来たらそれも入れてくれよ)」
「うんそれは大丈夫任せて!」
「(って言っても今のオレには何も無いけどな!)」
そうだったルウスは基本的に裸?なんだよね。私物と呼べるような持ち物は何も持っていないし。今も、子供用の片手剣を持っているけど基本的に必要なときに僕かウリケルさんが武器や道具を貸してるのだけれど、僕がテイムした存在になるから僕が装備とかを整えてあげないといけないよね?
「ウリケルさんにお願いしてルウス用の服とか防具とか準備しようか?」
「(うーん、服ってその身体を被ってる奴だろ、動き難く無いのか?俺は自分の毛と皮があるから必要ないぞ!それよりも強い奴と戦う時用に防具は有っても良いかも?)」
そう言われればそうだよね。ルウスは全身を毛皮で被われているから服は必要ないかも?それよりも防具は有った方が絶対に良いよね。
「それなら今度ウリケルさんにお願いして、ルウス用の防具を準備してもらうね!」
「(おうっ、強くて格好いい奴をたのんだぞ!)」
「防具に強いとか格好いいとかってどうなのかな?」
「(知らん。でもどうせ持つなら強くて格好いい方が絶対に良いに決まってるぞ!)」
僕がルウスの防具をが準備しなきゃって言った側からウリケルさんにお願いするって、矛盾しているよね。でも僕には防具の製作とか出来ないから、困った時のウリケルさん頼みでも良いのかな?
「…そうなのかな?でも防具に強いってどうなの?一応ウリケルさんに相談してみるよ…」
「(良し、そうと決まれば沢山捕(採)るぞ!)」
「…うん」
もの凄く話が脱線したけれど、元に戻って良かったのかな?今日の夕食のおかずとデザートはこれで決まったよね。
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