42・何かを発見?したみたい?
毎日暑い日が続いて体調管理が難しいですね。
皆様はどうですか?
続きです。
宜しくお願い致します。
皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。
あの日からほぼ毎日、ウリケルさんは夜中になると家に居ないことが多くなった。ほぼ毎日って言うのは僕も毎夜夜中にトイレに起きる訳じゃ無いし、たとえトイレに起きてもウリケルさんがいる日もあったからね。
でもその事をウリケルさんに言うことはなかった、たぶん僕が聞いても理解が追い付かない難しい問題かも知れないし、そもそもウリケルさんも研究とかが有るから四六時中僕たちの側に居るわけにはいかないからね。
「ねえルウス、そう言えばあれからあの小さいのは見なくなったね?」
「(小さいの?)」
その代わりにでは無いのだけれど、この森での生活の経験によって何か知っているかもしれないルウスにそれとなく聞いてみた。
「ほらあれだよ、この前に僕が逃しちゃった小さいけど食べると美味しいってルウスが言ってた、すばしっこいやつだよ」
「(ああ、あいつか。見なくなった訳じゃ無くて、エルが見付けられないだけで相変わらず森の中をチョロチョロしているぞ)」
「えっそうだったの?全然気が付かなかったよ」
気になって聞いてみたのだけれど、意外な答えだった。
「(…お前、回りの生き物を探す魔法とかで探したりは出来ないのか?)」
「僕たちに敵意を持った危なそうな魔獣とかなら魔法でわかるけど、僕たちに危なそうじゃなかったら修行中でそう言う魔法は使わない方がいいってウリケルさんが言っていたから、今はそう言う魔法を使っていないからわからないよ」
そうなんだよね。索敵の魔法はあくまでも僕に敵意や害意を持った相手を見つけ出す魔法であって、回りにどんな生き物や植物があるのかを探す探知魔法とは使い分けているからね。だって探知の魔法は僕の回りの生き物全てとか食べられそうな植物とか薬草とかも全て探知してしまう、そうなるとあまりにも情報量が多くなってしまって僕には処理しきれないからね。
「(なんだ、本当に魔法って色々と面倒なんだな)」
「面倒って言うか一度にまとめてに色々と調べたりすると、たくさんの情報が入りすぎて僕の処理能力が追い付かなくなるからね」
それは魔法で何でも出来れば本当に楽で良いよね。でも魔法は万能に見えてそうじゃないんだ。例えば僕の回りにいる全ての生き物や食べられる植物や薬草とかにいちいち反応していたら、今いるのかいらないのかとか、取るのか採るのか採らないのかとかの確認をしなければいけないし、そうするとその事だけに時間を取られてしまうしよね。その事もあってあまり魔法に頼りすぎないようにもウリケルさんに言われているからね。こう言うと大げさなのかも知れないのだけれど、魔法の訓練と同時に僕自身を鍛えているんだよ!
「(前に言っていた魔法は万能じゃないって言うやつか、本当に魔法って便利なのかそうじゃないのかわからないな)」
「そうなんだよね。ウリケルさんみたいに魔法で何でもできればいいのだけど僕はまだまだ修行中だからね、今は少しでもウリケルさんに近付くために色々と勉強中なんだからね」
もしも魔法を使えない状況で初めて行く場所に行ったりした時の訓練もこの森での探索には含まれているんだ。だから出来るだけ植物の名前とか生えている状況とか、その植物の回りにはどんな植物が生えているのかなどなど、いわゆるサバイバル訓練みたいなものなのかな?この世界では魔法の使えない場所もあったりするし、僕が魔力切れしてしまうなんて事もあるからそのために僕が自身も鍛える必要があるよね。
「(エルはいくつも魔法を使う割には、あれは出来てこれは出来ないとかビミョーだな)」
「それは言わないでよ、僕は初心者の見習いなんだからね。弟子入りしてまだ日も浅いんだからね。得意な魔法とそうじゃない魔法もあるし、そのために修行中なんだよ」
だけれどルウスの言う通りで、索敵魔法と探知魔法を上手く組み合わせたら、僕たちに敵意や害意持った相手を探しつつ、食べられる魔獣や動物とか薬草や果物や山菜なんかも同時に探せるから便利なのは事実なんだよね。でもそれはもう少し植生とか生き物の生態とかを知って、今よりももっと森での生活に慣れて魔法の精度ももっとあげないといけないんだ。
「(そうなのか?まあ、エルの魔法が今よりも上手くなったらもっと沢山獲物が捕れるかもしれないんだろ?そうなるのならオレは沢山手伝うぞ)」
「うん、そうすれば今よりももっと美味しいものが食べられるようになるかもだしね」
目標としては魔法で探索しつつそれと同時に僕自身でも確認できるみたいな?そんな感じかな?とは言っているけれど、まだまだ先は長いよね。身体強化の魔法とかも同時に使っているから、少しずつだけど魔法の性能と精度も上がっているはずだけどどうなのかな?
いまいち自分ではわからないけど、そうあってほしいよね。
「(まあ、オレにも出来ることと出来ないことがあるからな、オレに出来ることはオレに任せろ!)」
「うん、ありがとう。その時にはお願いするね」
僕の魔法は修行中なのでまだまだ練習しないと上手くいかないかもしれないけれど、上手くいけば今よりももっと色々と探せるしそれ以外にも色々と出来たりする筈だよね。そのために探索精度を上げる訓練もしながら他にも色々と試してみたい事もあるから、それ以外の魔法も練習しているから実は大忙しだったりして。
「(そうなのか?まあ、お前が頑張れば今よりも旨いものが食えるかもしれないからな。小さい奴はその内捕まえられるだろうからその時に食わせてやるよ)」
「そうだね、美味しい御飯のために頑張らないとだね」
うん、そうだよね。いっぱい練習していろんな魔法を使いこなせるようにしておかないとね。今はそのための下地作りをがんばらないといけないよね。少しでも早くウリケルさんに近付いてウリケルさんのお手伝いをしたいし、ルウスには沢山美味しい物を食べさせてあげたいよね。
「(おい、エル!)」
「なにルウス、どうしたの?」
色々考えていたら突然ルウスに呼ばれた。さっきまでの和やかな雰囲気は無くなって、どこか緊張感があってルウスの目付きも鋭くなっている。
「(ちと、面倒な事になるかも知れない!)」
「えっ、何?どうしたの?」
僕の索敵の魔法には何の反応も無いのだけれど、ルウスには何かを感じられたみたい?僕も一気に緊張感を高めつつ、身体強化魔法を一段階上げていつでも動き出せるように身構えた。
「(あの奥の方に生ってる黄色い実が見えるか?)」
「奥の方?ちょっと待ってね」
ルウスが言っている奥の方を見てみたけれど僕には何も見えないって言うか、僕に見えるのは濃い緑の葉を繁らせた大きな木々が視界いっぱいに覆いつくすように繁った森で、その大きな木々に視界を遮られどの奥かがわからない。
「(見えたか?)」
「ごめんわからない」
なのでルウスが指差す方向を見ながら、視力強化の魔法を使ってみた。そうすると僕の視界が広くそして遠くまで見通せるようになってきたのだけれど、いきなり視界?視野って言うのが正解なのかな?が変わったことで一瞬の目眩とともに、少しよろけてしまった。
「(エル、大丈夫か?)」
「うん、大丈夫だよルウス。目を強化したから少しよろけちゃった」
「(目を強化?よくわからんが大丈夫ならいいけど、びっくりするからいきなり驚かすなよな)」
「ごめん、急に視界が変わったから、まさかこんなになるなんて思っていなかったよ」
何て言えば良いのかな?説明が難しいよね。説明出来ないのならルウスに視力強化の魔法を掛けて体験してもらった方が早いのかな?
「(…見え方が変わる?それだけでそんなに違うものなのか?)」
「なんて説明したらいいのかなって…それよりも何かあったから僕を呼んだんだよね?」
でも今はそれどころじゃ無いのだった…ルウスが僕を呼んだその理由を知るのが先だよね。ルウスに魔法の素晴らしさを教える事も大切だけれど、今はまず先に目の前の事に集中しないといけないよね。
「(おおっ…そうだった!エルが変なことを言うから忘れるところだった!)」
「いや、変って…ルウスって時々失礼な事を平気で言うよね!」
ルウスとって僕って一体何なんだろうね?一回じっくりと話し合う必要があるのかな?
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