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僕は貧乏騎士爵家の四男です。僕の夢はお腹一杯美味しい物を食べる事です。  作者: きすぎあゆみ
1 エルシード・バルディア・ヴァルロッティー
36/47

36・森の中だけど帰宅

続きです。

長らくお待たせ致しました。

少しずつ更新していく予定ですので、宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

「ただいま帰りました」


「………(二人ともお帰り、今日も頑張ったね、お疲れ様)」


「(…たっ、ただい…ま…?)」


 何時も思うのだけど、ついさっき玄関から一緒に家に入って来た筈だよね…それなのにウリケルさんが家の中で出迎えてくれるのって、何でなのかな?


「師匠、何時もありがとうございます」


「………(いやいや、これも師匠の勤めだよ!)」


「(…爺さん…さっきまでオレ達と一緒に外に居た筈なのに…?)」


 夜になると僕達は危険な森の中で野営をするのでは無くて、仮想空間?異次元?に建てられたウリケルさんの家で過ごすのだけど、今ではルウスもこの家になんとか慣れたのかな?前みたいに警戒はしなくなった。だけどウリケルさんの行動にはやっぱり驚いてる?いや、やっぱり警戒しているのかな?


「ルウス、そこは師匠なんだから、気にしたら駄目だよ…」


「………(私は晩御飯の準備をするから、その間に二人はお風呂に入って来なさい)」


「(…いやオレは、エルの魔法で綺麗にして貰ったら、それで良い!)」


 大袈裟にって言うのは無くなったのだけど、でも警戒はしているよね…それはそうだよね。僕達と出会うまでは、独りぼっちでの森の中で着の身着のままでの、原始的で野生的な狩猟生活だったのだから。


「クリーンの魔法って事?でも、お風呂の方が疲れが取れると思うし、何よりリラックス出来て良いと思うけど?」


「………(そうだよルウス。お風呂は良いぞ!疲れが取れるし、何よりもボーッとお湯に浸かっていると無心になれるし、もしも何か考え事をしている時とか悩んでいる時なんかにふと何かを閃いたりするしな!)」


「(疲れが取れるのは解ったけど、リラックスとか閃きって何だ?)」


 今までは野生の本能で生きてきたから、あまり関係が無い?必要性が無かったって事なのかな?


 だからこのウリケルさんの家での生活には、未だに抵抗?違和感?が有るみたい。その一つがお風呂なんだ。


 まあ、僕も今ではすっかり慣れてしまっては居るけれど、はじめの頃には僕の実家の屋敷との違いで色々と戸惑ったりびっくりしていたけれど…今ではそれもいい思い出だと思うし、そう言う事を経験したからルウスにも色々とアドバイスやお節介が出来るんだよね。


「うーん、僕は何も考えないでお風呂でプカプカ浮いているのが楽しいから、失敗した事とか嫌な事とかを忘れられて好きだけどね!」


「………(…エル、お風呂の楽しさを伝えるのは良いけど、失敗は反省して同じ失敗を繰り返さない様にしてね…)」


「(…楽しい事は良いが、オレには反省する事は特に無いぞ!)」


 それはそうだよね。森の中では失敗作イコール大怪我か死んでしまうから反省と言うよりは、生きていく上での知恵や経験になるのかな?


 森の中で暮らしていたら、お湯に浸かるとかって無いよね。それに水に濡れるのが苦手な生き物も、森の中には居るみたいだから、ルウス達パルウスミノタウロスも水に濡れるのが苦手な種族だったりして?でもそれって今さらだよね!


「はい、師匠…ルウス、反省とかは別に良いからね。ただ僕はお風呂の良さを伝えようとしたら、って事だから」


「………(うんうん、そう言うことだよルウス。それじゃあ私は御飯の用意をするから、二人でお風呂に入って来なさい)」


 ウリケルさんもルウスにお風呂を強要するとかではなくて、一日の汚れを落とす意味と疲れを取るって意味で出来れば習慣化して欲しいって事みたいなのかな?そう言えば昔の僕もそうだった様な気が?


 でも僕の場合は水遊びの延長?みたいな感じで直ぐにお風呂に慣れていた気が…?それに本当に今となっては今更だけれど、今では普通に毎日お風呂に入る様になってる…本当に今更だよね…。


「(それなら良いけど…でも森の中では失敗しなかったら生き残れて、失敗したら死ぬ、それが森の中での生き方だ!)」


 そうだよね、弱肉強食の世界なら…だからこそ、そうなんだろうけど…ルウスの感覚では今もそうなんだろうね。そう簡単に長年?暮らしてきた、今までの生き方とかって変えられないよね…。


「そう言えば、ルウスは水に濡れるのは平気だよね?」


「(そうだな平気と言えば平気と言うか我慢出来るか出来ないかって事か?…雨とかで濡れる事も有るけど、好きか嫌いかで言えば嫌いだな。雨に濡れるといくら毛が有ると言っても寒い物は寒いし、そのまま放っておくと身体の調子が悪くなるからな)」


「…その水に濡れた時に、お風呂に入って温まったら、体調が悪くなるのを予防できるのだけど…」


「(何!…そうか風呂は冷たくないし、風呂を出ても身体が乾くまで我慢しなくても良かったよな…ああ、そうだったな、風呂は温かいし、身体が濡れても布で拭くから、乾かせるからな。だからエルは毛が無くても元気なのか!)」


 毛皮?体毛なのかな?とかは関係無いと思うんだけどね…


 そう言えば、ウリケルさんの知識に有ったのだけれど、異世界で言う温泉って言う地中から水じゃ無くて、お湯が出てくる所が有るみたいなのだけど、この世界にもその温泉って言う物が有るらしいのだけど、この森にも温泉が有ったりするのかな?


 有るのなら一度は入ってみたいよね。


「そう言えばこの森の中には、熱い水が出る所とかは有るの?」


「(熱い水?湯の事だろ!森の中で湯が出る?…お前達と会うまでは、多分湯を見たことが無かったからな…森のなかにそんな物が有るとかは知らんな!)」


「そうなんだ…温泉とかは無いんだ」


「温泉?何だそれは?」


「えっとね…温泉って言うは…」


 結論から言うと、ルウスは森の中でお湯を見た事が無いとの事でした…今の所はこの森の中には温泉は無いみたいだけど、ルウスが森の全てを見たとは限らないし、ってかこの広い森をルウスの様な子供が全て見るなんて無理だよね?それにこの森の北には高く連なった山々が見えるから、山まで行けば温泉が有る可能性も有るよね。


 温泉には火山が必要なんだっけ?それなら温泉が有るとしたらやっぱり山まで行かないとなのかな?


 まあ、山に行ったからって必ず温泉が有るとは限らないけどね…?


 でも、何で僕が温泉の心配をしているのかな?僕も温泉には入った事は無いし、そもそもウリケルさんに出会うまでは、お風呂にも入った事がなかったのに…これもウリケルさんの知識を引き継いだからなのかな?


 それはさておき、ウリケルさんが晩御飯の準備をしているので、僕とルウスはお風呂を堪能しました?ルウスはお風呂に入る事に未だ抵抗が有ったみたいだけど、無理矢理はいけないから僕がお風呂に入り始めた時みたいに水遊びの延長みたいな感じで…いや完全に水遊びだよね。


 石鹸とかで大量に泡を作ったり、水鉄砲みたいな感じで思ったより長い時間お風呂に居たみたい。


「………(エル、ルウスご飯が出来たよ)」


「…はっ、はい師匠。…もう少ししたら上がります…」


「(…もう終わりなのか?オレはもう少し風呂に居てもいいぞ!)」


 何だかんだいいながらも本当に少しずつだけど、ルウスもこの師匠の家での生活に馴染んで来てると思えるよね。


 家の中なのに?だからなのかな?とても過ごしやすい快適な温度。スイッチって言うカチカチ言う四角い物一つで、明かりが点いたり消えたり。


 棒みたいなレバー一つで水やお湯が出たり。火を使わない竈?食べ物と飲み物が冷たく冷やされた大きな箱。ガラスの板に映される異世界の人や動物などの映像?それに水で流されるトイレ等々…。


 僕も一年以上生活しているのだけど、未だに違和感が有るから出会ったばかりのルウスが慣れないのは当然だよね。


 でも、この生活に慣れてしまったら、僕とルウスは元の生活に戻れるのかな…?

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