35・ありふれた穏やかな一日?
明けましておめでとうございます。
Twitterを始めたのですが、年末から全く作動しなくなりました…何故?
私のスマホが古いからなのかな?
続きです。
宜しくお願い致します。
皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。
モルダルシェリュースを狩ったあの日から、僕とルウスは肩車、ルウスが言う≪合体≫で森の中を歩く事が多くなった。
「ルウスそのまま真っ直ぐ進んで!」
「………(君達は今日もそれで行くのかい?)」
「(オウ、エル解ったぞ!爺さん、オレはこれが楽しいぞ!)」
と言っても、ルウスが肩車をしたがっているからなんだけど、ルウスは僕を肩車する事に何かしらの面白さを発見したのかな?
「その木の所で止まって!」
「………」
「(その木の?どの木だ?)」
「ライト!」
そう言って僕はライトの魔法を一本の木に向けて放った。この魔法は明かりを灯すだけなので、木を傷付けずに目標物を知らせるのには便利なんだよね。
でも、森の中って薄暗いから目立ってしまうのが、欠点かな。今のところは索敵の魔法や危険察知の魔法にはなにの反応も無いので、大丈夫な筈だけどね。
「あの木だよ!」
「………」
「(おっ、あの木か!解ったぞ)」
僕がライトの魔法を灯した木は、他の木と比べると幾らか多くの魔力が感じられるんだけど、見た目には周りに生えている他の木と見分けは付かない。これって魔力を感じられる人じゃないと、絶対に解らないよね。後は勘の鋭い人とかかな?
「あっ、思った通りだ!」
「………(森の事に、大分詳しくなってきたね)」
「(思った通り?何かあったのか?)」
魔力が感じられる木は人もそうだけど個体差が有るから、先天的か後天的に魔力を貯めやすい性質が有るとかそうなったとか、それか木のモンスターなのだけど、索敵や危険察知の魔法には反応が無いので魔力を貯めた木で良い筈。
「うん、ほら見てみて。薬草がこんなにいっぱい!」
「………(おお、これは良く育っているね)」
「(何だ葉っぱか…もっと良い物かと思ったのに…)」
そして、僕がここでルウスに止まる様にお願いした理由なのだけど、それは魔力を持った木の周りには、薬草が生えてる可能性が高いし、木の実が出来る木なら魔力を持った実が成る事も有るから、その確認のためなのだけど…ルウスは少し不満げみたい。
「薬草は身体に良いし、それに臭み消しや香辛料として料理に入れるから、沢山有っても困らないよ」
「………(そうだよ、薬草を食べる事で病気や怪我の予防にもなるしね)」
「(…どうしてもメシに必要なら、採るのを手伝ってやらない事も無いぞ…メシに必要なのならな!)」
だってルウスは基本的に肉食?だから、野菜を好んで食べようとはしないんだよね。料理に入れられた野菜は文句を言いつつも食べるのだけれど、野菜サラダとか野菜のみの料理には手を付けないくらい徹底している。だから、サラダを作る時にもサラダの上にはお肉やお魚を載せたりして、野菜だけの料理は作らない様にしている。
「うん、お願い。あっキノコも生えているから、キノコも採ろう!」
「………(おっ、このキノコは絶対旨いやつだから、忘れずに採るんだよ)」
「(キノコもか?これも葉っぱの仲間だろ?葉っぱよりは旨いとは思うけど…)」
「そうなのかな?キノコは野菜の仲間じゃ無かったと思うけど…でも、キノコとお肉は相性が良いから、料理に入れると美味しくならない?」
「………(そうだね。煮て良し、焼いて良し、生でも良しとで肉との相性はとても良いよ)」
「(旨いとは思うけど…でも、オレはやっぱり肉を沢山食いたいぞ!)」
それは解るけど、どうなのかな?魔物も動物と同じで、肉食の魔物なら肉だけの方が良いのかな?人間みたいに手足が有って二足歩行だけど、やっぱり人間とは似て非なる者なのかな?
「ルウスがお肉好きなのは解るけど、お肉以外も食べようね」
「………」
「(…ああ、出された物は残さずに食べるぞ)」
肉だけだと栄養が偏らないかな?…僕には解らないから、ウリケルさんに聞いてみた方が良いよね。
「ありがとう。残さずに食べるのも大事だけど、お肉が乗っていない料理も食べようね!」
「………」
「(それなら、葉っぱの料理にも肉を乗せてくれ)」
この木は人間に食べられる木の実を付けないので、木の実の収穫が無かったのは少し残念だったかも。
「薬草とキノコはこのくらいで良いかも、全部採っちゃうと次が生えて来ないからね」
「………(そうだね、次に来るかは解らないけれど、森の資源を採り尽くすのは、森に良くは無いからね)」
「(そうか!それなら次は肉を狩りたいぞ!)」
魔力を持った木の周りで薬草やキノコを粗方採ったので、僕達は更に森を北に向かって移動を再開した。
それからも移動しつつもキノコや木の実や山菜や薬草を幾らか採った所で、昼近くになってきた。今日はまだ魔獣や魔物に出会っていないから、お肉は獲れていなかった。
索敵や危険察知の魔法を使っているけれど、空を飛ぶ鳥や小動物の反応くらいしか無かった。鳥を狩るのも良いとは思うけど、高い木々を登らないと狩れないから、肩車をした状況だから少し…いや、かなり無理が有るよね!
「ルウス、この先に少し開けた所が有るから、そこでご飯にしよう!」
「………(エル…そんな事を言ったら…)」
「(おおっ!飯か!それなら急ぐぞ!)」
僕が御飯って言ったから、ルウスの走る速度が一気に加速した。今日はお肉が獲れなかったので、少し不機嫌なのかな?
「ちょっ…そんなに急がなくても、ご飯は逃げないよ!」
「………(そうなるのに…)」
「(飯は逃げんが、オレは早く飯を食いたい!)」
でも、大きなモルダルシェリュースのお肉が有るから、当分はお肉が獲れなくても良いとは思うのだけど…ルウスはモルダルシェリュースのお肉に飽きたのなかな?
「わ、わ、わっ、ルウス、危ないよ!」
「………」
「(オレは大丈夫だぞ!)」
森の木々が今までよりも高速で後ろに過ぎ去って行く、僕が御飯って言ったばっかりに…先日の反省も有ったので、子供用の革製の帽子を被っているけれど、どこまでの衝撃に耐えられるのかな?
「ルウスが大丈夫でも、僕が怖いんだって…」
「………」
「(エル心配無用だ、オレはお前を落とさないからな!)」
そう言う問題じゃ無いと思うのだけど…今のルウスには何を言っても無駄なのだろうね。それこそ魔法で強制的に動きを止めるしか無いのかな?
「いや、落とさなくても、何かにぶつかったりするかも知れないよね…」
「………」
「(フッ、オレがそんなヘマをする訳が無いだろ!)」
そんな事を言いながら僕の方を見上げるから、僕の目の前には一本の大木が迫って来ていた。余所見をしているルウスは、当然気が付いていないよね?
「わっ、ルウス!前!前!」
「………」
「(おっ?おおおっ!)」
僕が慌てて声を掛けると、ルウスも目前に迫った大木に気が付いて、間一髪で何とか避ける事には成功したのだけど…
「ルウスお願いだから、前を見て!」
「………」
「(大丈夫だ!今のはたまたまだ!)」
たまたまって…そしてまた余所見をしているし…お願いだから僕を肩車している時だけじゃ無くて、森の中を走る時には何の障害物が有るか解らないから、絶対に前を見て走らないと危ないよね。
「お願いだから前を見て!」
「………」
「(はっはっはっ、エルは心配性だな!)」
心配性なんじゃ無くて、安全第一なだけなのに…確かに、心配性も有るのかな?
「ルウス開けた所に出るから、スピードを落として!」
「………」
「(おおうっ!よっしゃ!)」
そう言うなりルウスは、一気に速度を落とした。異世界で言う、急ブレーキって言うやつだよね。
「あわわわわ!」
「………」
「(おおっ!狙ったところでとまれたぞ、痛っ!)」
何の予告も無く、突然の急停止に僕は前に飛び出しそうになっていた。それはそうだよね。だって肩車をされている僕は、足をルウスの脇の下に入れてはいるけれど、上半身はルウスの髪の毛?に掴まるしか無いのだから…
「ごめんルウス、でも、急に止まらないで…」
「………」
「(いっ痛くは無いぞ、痛くは!)」
僕の手を見てみると、ルウスの髪の毛?が沢山抜けていたから、絶対に痛かったよね!ルウスは強がっているけれど…そう言えばルウスはパルウスミノタウロスって言う種族なのだけど、角は大人にならないと生えて来ないのかな?
角が有ったら角に掴まった方が安全だし、ルウスも痛くは無いよね!
「それなら、良いけど。取りあえず≪ヒール≫」
「………」
「(おっ、痛みが無くなった!)」
「…痛かったんだね」
「………」
「(…少しだけ、ほんの少しだけだからな!)」
ほんの少しだけど事件も有ったりしたけれど、見通しの良さそうな場所に着いたから、お昼御飯の準備をしないとね。
今日のお昼は、モルダルシェリュースのお肉とキノコと野菜の串焼きにしようかな?って言っても調理済みの物を、無限収納庫から出すだけなのだけどね。
天気も良いし、皆で外で食べる御飯って美味しいよね。「頂きます」
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