表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は貧乏騎士爵家の四男です。僕の夢はお腹一杯美味しい物を食べる事です。  作者: きすぎあゆみ
1 エルシード・バルディア・ヴァルロッティー
16/47

16・修行の準備

続きです。

宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

「ごちそうさまでした」


 今朝も夜明けと共に起き出して朝食を食べたらお手伝いに行くのだけど、今日僕はお手伝いには行かない事にした。別に反抗期とか体調が悪いとかじゃ無いからね。


「師匠、今日から魔法の練習を始めるのですよね?」


「………」


 今日から本格的にこの現実世界?でも魔法や戦闘訓練を始めようって、ウリケルさんと相談して決めたからだった。まだ幼く身体の小さな僕の体力や魔力的にはまだまだ早すぎるかも知れないけれど、剣術などの武術もそうだけど魔法も練習や経験によって身体で覚える反復練習が必要なので、早すぎても困る事は無いんだって。それこそ早くから始めて身体に覚え込ませる事が出来たら、むしろそっちの方がいざと言う時には生存率が高くなるって事だからね。


「僕、現実で魔法の練習を始められるから、とても楽しみです!」


「………」


 確かにこの辺境で自由に生きて行こうと思ったら、ちょっとやそっとの経験では生きて行けないかも知れないよね。只でさえ人跡未踏の地に分け入って何とか村を幾つか作ったのだけれど、それでもこの広大な森の中のごくごく僅かでしか無い。森全体の百分の一位なのかな?


「剣術や武術の修行はとても緊張します」


「………」


 何故かは解らないけれど村として開拓された所に野獣や魔獣が入って来る事は滅多に無い、だけど全く無いって訳じゃ無い。数年に一度野獣や魔獣が村に迷い込んで来て、人や農作物に被害が出る事も有る。


「僕みたいなちっちゃい子でも大丈夫ですかね?」


「………」


 それに森に入る時も村に近い領域だったら、比較的弱い野獣や魔獣が居るので狩りの獲物になるのだけれど、村から離れ過ぎると途端に狂暴な野獣や魔獣それに魔物だって現れるので、逆にこちら側が獲物に取って代えられてしまうそんな恐ろしい森なんだ。


「魔法と武術の両方が使えると大丈夫ですかね?」


「………」


 だけれど野獣や魔獣や魔物は強くなるとそれに比例する様に、肉が美味しくなっていく傾向に有るみたい。それに森に入れば美味しい木の実や、貴重な薬草なんかも有ったりするので、一月に一度のペースで大人達は戦闘の訓練を兼ねて、森へと入って行く。


「魔獣とかを倒して僕の家来に出来ないですかね?」


「………」


 本当はその狩りに着いて行きたいのだけど、狩りには成人しか参加出来ないので僕は当然参加させて貰えない。それはそうだよね獣道や障害物が多い森の中を歩くのに、幼児が居たら行動の妨げにしかならないよね。


「魔獣の肉も美味しくて楽しみですけど、家来にして魔獣に姉様と乗ってみたいです!」


「………」


 それに僕が魔法の練習をする所は人には見せられないし、そうなると当然僕が魔法を使える事も今の所は秘密にしておきたいしね。それに僕みたいな幼児が剣術や武術を使えるから狩りに参加させてって言っても、ゴッコ遊びの延長としか見て貰えないだろうし…。


「森の中には他にも美味しい物が取れるかも知れないから、それも楽しみです!」


「………」


 だから僕は一人で…ウリケルさんと二人で森の中で鍛練をしようと思ったんだ。


「でも、僕が森で修行するにはどうしたら良いですかね?」


「………」


 その為には先ずは僕がいつも通り、お手伝いをしている様に見せないといけない。そこで必要になって来るのが僕の身代わり?分身?分体?影武者?なんだ。


「僕の偽物ですか?面白そうです!」


「………」


 ウリケルさんの知識では幻術で僕が実際にその場に居る様に見せたり出来るけど、だけどそれはあくまでも幻術なので実体が無い。だから人に触れられると直ぐに幻術だと解ってしまう。


「幻術じゃ駄目なんですね!それならどうしたら良いのですか?」


「………」


 幻術以外で実体が有ると考えると、魔力で動く人形の魔導人形か、人族そっくりな身体を持つ人造人間のホムンクルスなんだけど、そのどちらも作る為の施設から作らないといけないので時間が掛かってしまう。幸いと言って良いのか解らないけど、魔導人形やホムンクルスを造るための素材や施設を造る材料は、ウリケルさんから引き継いだ無限収納庫に入っていた。


「あのー、何だかとっても難易度が高くなっている気がするのですけど…」


「………」


 無限収納庫は言葉通り無限に収納する事が出来る魔法のアイテムで、収納出来る容量は製作者が製作中に込めた魔力の質と量によって左右される…らしい?当然と言って良いのか、僕が使っている無限収納はウリケルさんの製作した物で本当に言葉通り無限に収納出来るんじゃ無いって思えるくらい色々な物が入れられている。


「確か魔導人形やホムンクルスって、錬金術師の最終奥義的な技術じゃ無かったですか?」


「………」


 でもいくら無限収納庫って言っても、生きている人や動物、魔獣、魔物などは入れる事は出来ないみたい。でも植物はそうでは無いみたいだけど、その理由?原理?は今の僕には難しすぎて今一理解出来ていない。だけど裏技が有って、それを使うと生き物も無限収納庫に入れる事が出来るってウリケルさんが言っていたけれど、それは今は教えられない秘密なんだって!秘密って言われると余計に気になるよね…だけどどんなにお願いしても教えては貰えなかったんだ。


「いえ、確かに師匠の言う通りにすれば出来るかもですけど…」


「………」


 僕が大きくなって色々な経験をして人として魔法使いとして成長して、ウリケルさんが僕を一人前と認めたその時には、その秘密を教えて貰えるって教えて貰ったんだ。その時がいつになるかは解らないけれど、頑張ってウリケルさんに認められる魔法使いに早くなりたいです!


「錬金術に関しては基本的な知識を身に付けただけで、実技の方は始めたばかりですし…」


「………」


 無限収納庫の魔法を付与する本体とも言える媒体は鞄やベルトや腕輪やピアスとかって何でも良いみたい、因みに僕がウリケルさんから受け継いだ無限収納は指輪だった。


「確かに素材は師匠から受け継いでいますけど、僕の技量は初心者にもなっていませんよ?」


「………」


 薄緑色の石を磨いて造られた指輪で、僕の左手の小指に嵌められている。この指輪の素材の石は瑪瑙って言う宝石で、薄緑色と白っぽい色の二色の色の混ざり合う色合いがとてもキレイでカッコ良いと僕は思っている。でも今までそんな指輪なんて僕は着けていなかったので、突然僕が指輪なんか着けていたらみんなに怪しまれてしまうかも知れないって事で、ウリケルさんが指輪に認識阻害の魔法のを掛けて僕とウリケルさん以外の人には見えない様にしているらしい。僕には見えているから今一良くは解らないけれど、今のところ誰にも指摘されていないから本当に僕とウリケルさん以外には見えていないのだろうね。


「大丈夫って、それは師匠の知識や経験は受け継いでいますけれど…」


「………」


 と言う事でって、何がと言う事でって話なんだけど、僕の影武者を造るって話なんだけど取り敢えずはウリケルさんの超高難易度の魔法で僕の分身を造ってお手伝いに参加させて、その間に僕が僕自身で僕の魔法の練習を兼ねて僕の影武者を造るって事になった。


「全く未経験の僕にこんな難易度が高い仕事が出来ますか?」


「………」


 そのウリケルさんの超高難易度の魔法なんだけど、それは森の中でスライムを一匹捕まえて来る所から始まったんだ。夜中に僕が眠っている間に、ウリケルさんが一人でってそれは無理。僕とウリケルさんは魔力的な繋がりが有るから、僕とウリケルさんは常に近くに居ないとウリケルさんは魔力が切れてしまうと存在できなくなってしまうんだ。だから僕が眠った後にウリケルさんの魔法で僕を保護膜で包んで、持ち運べる様にしてからウリケルさんは森に入って行ったんだ。


「師匠は伝説の賢者様ですから簡単に色々な事が出来るかもですけど、僕はまだまだ幼い幼児なんですけど…」


「………」


 何だかここまで来るとウリケルさんって生きていても死んでいてもやってる事が凄すぎて、僕には訳が解らなくなっているけどね。だけどウリケルさんは魔力で実体と精神をこの世に留めているから、魔力の供給源で有る僕無しでは長くは存在出来ないみたい。最悪消滅する事も有るって話だから、何処に行くにも何をするにも二人で行動しなくてはいけないのだけどね。


「それは師匠も初めから何でも出来た訳では無いかもですけど…」


「………」


 僕を連れて森に入るから当然僕のベッドから僕は居なくなってしまう。夜に誰かが僕が寝ているのか確認するとは思えないけれど、一応念のために幻術で僕が寝ている様にはしていたみたい。


「師匠は前世の知識や経験を駆使して、幼い時から独学で魔法や武術を身に付けたって…」


「………」


 森で一匹のスライムを捕まえて、そのスライムとウリケルさんがテイムって呼ばれる主従契約を交わして先ずは第一段階は無事終了?


「やる気と根気が有ればどうにかなるって…」


「………」


 その次の第二段階では、テイムしたスライムを僕の姿形を真似させる、または強制的に変えさせる事になるのだけどここで僕自身が居る事が重要になって来るんだ。だって真似たい人物の実物がその場に居るって事は、テイムしたスライムに僕を触らせれば僕の姿形を覚えさせるのは簡単だよね。って事で僕は眠っている間に全身を隈無くスライムに調べられました。…眠っていて記憶が無いから良かったかも…。


「それはそうかもですけど…」


「………」


 そして出来上がったのが僕の姿形をしたスライムなんだけど、それは流石にスライムだけ有って知性?とかは無いのでそれを制御するために僕の記憶や行動パターンを付与する魔法を使ったり、スライムに有った事を僕とウリケルさんが共有するための魔法を掛けたり、それに姿形は僕だけどスライムの身体その物だから僕の身体や衣服の色合いを映す魔法を掛けたりと、僕が実際にやるとしたら四苦八苦して一体どのくらいの時間が掛かるか解らなくて途中で挫折してしまいそうな事を、それをウリケルさんは事も無げにたったの一晩で成し遂げてしまって居たんだ。


「解りました、僕も師匠に負けないくらい魔法と武術を身に付けます!」


「………」


 やっぱり伝説の賢者ウリケルさんで、僕の師匠だ。凄すぎて僕には何が何やら解らないけれど、もうこのスライムを僕の影武者として使えば良いと思ったけどそれは駄目なんだって。何より僕の修行にならないし、スライムの主人はあくまでもウリケルさんで有って僕では無いから、僕の成長に合わせて僕の身体の型取りをしなくてはいけないみたい。今回は僕が眠っていたから意識が無かったのだけど、起きている時にスライムに全身を調べられるって…遠慮させて頂きます!


 因みに影武者スライムの頬っぺたは僕の頬っぺたと瓜二つの触り心地と柔らかさだったのは衝撃だった。これはたまたまそうなっただけで有って偶然と思いたい…ウリケルさん偶然だよね!


「師匠の名に恥じない立派な弟子になって見せます」


「………」


 って事で魔法の修行と剣術などの武術の修行をする前に、僕の影武者を造る事から始めなければいけなくなってしまったのだけど…でもこれって魔法の練習をする前から難易度が高過ぎない?


「でも、お休みと美味しい物を食べる時間も欲しいです」


「………」


 …そう思っているのは僕だけなのかな?

続きが気になる方、応援をお願い致します。

評価や感想を、お聞かせ下さいませ。

誤字脱字の報告も合わせてお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ