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86.【おまけ・スキップOK】天魔のシルビアは宿敵クレイモアを倒した『灼熱の魔女』に鼻息を荒くする

 私の名前はシルビア。

 サジタリアス辺境伯のもとで魔法騎士をやっている。


 貴族の家に生まれ、幼いころから魔法の英才教育を受けてきた。

 それもこれも天魔と呼ばれる、魔力増強のスキルを頂いたからだ。

 それはリース王国にいるという賢者と並び称されるほどのスキルだという。


 師匠は100年に一度と言われる魔法使いだった。

 話によると、彼女はあの英雄サンライズと一緒に共闘したこともあるという。

 そんな彼女に私は連日連夜しごかれた。


 与えられた天賦の才と、並外れた努力。


 結果、私自身が100年に一度の逸材と言われるようになる。

 相手を膨大な魔力で一方的にねじ伏せ、完膚なきまでにたたきつぶす。


 いかなる剣士にも、いかなる術者にも、いかなるモンスターにも先手を取らせない高速詠唱。


 そうやってダンジョンを踏破し、怪物を撃退し、いくつかの街を脅威から救った。


 冒険者として諸国を放浪する中、私はあることに気づく。


 もっと強い相手と戦いたい。

 師匠たちのような血湧き肉躍る戦いに身を投じたい。




 ある日のこと、私はある人物に出会う。

 それはサジタリアス辺境伯のもとで騎士をやっているという少女、クレイモアだった。

 ちょうど辺境を旅し、禁断の大地から現れたモンスターを撃退しているときのことだ。



「お姉さん、強そうなのだ。どうだ、あたしと手合わせをしてみないか?」


 開口一番にクレイモアはそう言った。

 彼女についての第一印象は「バカ」そのもの。

 おそらくは私のことなど何も知らなかったのだろう。



「強そうじゃない、私は強いわ。あなたの何倍も。天魔のシルビアって知らないの? それ、私のことなんだけど」


「天パのシルビア? 天然パーマなのか?」


「……あんた、死にたいみたいね。いいわ、剣を持ちなさい。身のほどを教えてあげるわ」


 私の髪はゆるいウエーブがかかっている。

 今思えば安い挑発だったのだと思う。


 しかし、私はどこかで感じていた。

 このクレイモアという少女は只者ではないと。

 普通なら受け流すはずの挑発を真に受けたのも、そのためだろう。



「いくのだっ!」


 戦いが始まると、その予感は確信へと変わる。

 彼女は私の魔法を、それも高速詠唱による光の矢の連撃を避けたのだった。


 これまで100発100中を自負していた魔法を避けるなどありえるはずがない。

 彼女は獣のような動きで、私を殺すことのできる間合いにすら入ってくる。



「うそっ!?」


 私は人間相手に使わないような魔法さえ発動させるも、彼女は剣でそれを切り裂く。

 な、なんなのよ、あの大きな剣は!?

 魔法を切り裂くとかどういう魔剣なのよ!?


「ふふふっ、もっともっといくのだぞ!」


 幼い口ぶりのくせにえげつない攻撃が続く。

 私は防御するだけで精一杯になってしまう。


 明らかにキャリアの長い私が押されるなんて、あり得ない。




「にゃははっ! あたしの勝ちだな! 楽しかったのだ」


 そして、気づいた時には喉元に刃が当てられていた。

 私の完敗だった。

 師匠の下を旅立ってからは、生まれて初めての敗北だった。



 それから私は心を入れ替え、さらに精進を重ねた。

 クレイモアの所属するサジタリアス辺境伯の騎士団に参加し、禁断の大地からのモンスターと戦う任務に就くのだった。


 何度となく死線をくぐりぬけるなかで、もとからあった魔力はさらに膨大なものへと変わっていった。



 そして、生み出したのが金剛氷柱だ。


 氷魔法と水魔法を同時詠唱することで、絶対に割れない氷を生み出す術式。

 実戦で使用した際にはあの森ドラゴンさえ一発で屠ることができた。

 サジタリアスの屈強な騎士たちが何人がかりで相手をする森ドラゴンを子ども扱いしたのだ。


「さすがはシルビア様!」


「天魔は伊達じゃないですね!」


 騎士たちは大きな声で褒めてくれる。


 ふふふっ、もっと褒めてくれていいのよ。


 今の私なら、あの人間社会を脅かすボボギリさえ破壊することができる。

 そして、あのとぼけたクレイモアの鼻を明かすことができる。

 私の自信は完全に回復していた。



 しかし、ある日、信じられないことを耳にする。


「剣聖のクレイモア含めて、我が辺境騎士団の第一軍はひとりの少女に蹂躙されました」

 

 辺境伯の息子、レーヴェ様が『クレイモアが負けた』と言うではないか。


 私の宿敵であるクレイモアが負けた!?

 さらには騎士団さえも!?


 その時は隠ぺい魔法で姿を消していたのだが、あやうく大声を出しそうになる。


 


「彼女はあの灼熱の魔女を名乗っています」


 しかも、レーヴェ様の話には続きがあった。

 クレイモアを負かした相手は、あの『灼熱の魔女』を自称しているというではないか。


 しゃ、灼熱の魔女!??


 今度こそ声が出そうになるが、それでもぐっとこらえる。

 

 レーヴェ様は冗談を言っているのかと思って入念に観察するも、その素振りはない。

 洗脳魔法や幻術、あるは魔道具による操作を疑うも、その様子もない。


 では、レーヴェ様は本当のことを言っている!?

 いやいやいや、そんなことはあり得ない!



 灼熱の魔女などというのは、おとぎ話の物語だ。

 そんなものがひょいと現れていいはずがない!!


 とはいえ、いくら情報収集をしても、禁断の大地についての情報は入ってこなかった。

 冒険者を勧誘する怪しい猫人の噂は耳にしたが、かん口令が敷かれているのか、禁断の大地についての情報はほとんど手に入らなかった。



 胸の中にモヤモヤを抱えたまま、私はその魔女とやらが訪れるのを待つことにした。


 絶対に私が化けの皮をはがしてやる!

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「シルビア、クレイモアに負けとるやん……!」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[良い点] クレイモアが可愛くて好き [気になる点] 別キャラ視点が多すぎてテンボが非常に悪い 申し訳ないが、読み飛ばしている 本筋で十分面白いだけに、もったいないと思う
[一言] 別視点もういいから温泉待ってます‼️
[一言] 自信過剰が服着て歩いてる典型的なタイプですな もしこの女性が貴族なら、更なる面倒な事態を提供してくれる事でしょう(超他人事)
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