73.温泉閑話 魔女様、剣聖クレイモアを風呂に沈める
「す、すごい……」
温泉に生まれて初めてはいる人を観察するのは楽しい。
たいていの場合、大きな声で驚いてくれるからだ。
しかし、クレイモアを連れてきた今回に限っては私が驚くことになった。
なんせ、おっきいのだ。
ワンピースを着ていた時点で、なんとなく察しはついていた。
ララも大きいので別に見慣れたものだろうとは思っていた。
だが、クレイモアの場合はもうなんというか、大きいじゃなくて巨大というか、なんというかすごい。
彼女は身長も高いし、私なんかより体つきも大きい。
そこらへんもあるのだろうけど。
……なんていうかメロンみたいだ。
「うわぁーお、クレイモア、めっちゃええもんもってるやん! うちにも分けて!」
「ぬわっ、やめるのだ、この猫娘!」
「にひゃひゃひゃ、ええやん、ちょっとぐらいええやん」
「きさま、やっていいことと悪いことが、ひゃっ、やめるのだ」
さっそくメテオがちょっかいを出し始める。
素早い動きで迫りくるメテオ。
バスタオル一丁姿のクレイモアは精彩を欠く。
「あんたら、暴れるな! 温泉はしずかに楽しむもんでしょうが!」
クレイモアが暴れたら私のプライベート温泉が崩壊してしまうではないか。
私は二人の動きをしずめ、入浴を促すのだった。
「ふぅうううい、温泉とは気持ちいいものだな。香りもなんだかエキゾチックだし、生まれて初めての体験なのだ」
メテオから逃れて温泉に入ったクレイモアは気持ちよさそうな声をあげる。
頬がほんのり赤くなり、美人っぷりに磨きがかかるようだ。
リラックスしているところ悪いんだけど、私はやはりあれに目が釘付けになってしまう。
彼女のお胸がぷかぷかと浮かび上がっているのだ。
「浮くのか……」
「浮くんですね……」
私と同じく「育成組」のリリもそんなことをつぶやく。
私は無言でうなずくのだった。
大きいと浮かぶ、らしい。
ララもメテオもこの温泉で育ったと言っていた。
だけど、クレイモアがこれ以上大きくなったら色々と支障が出そうだ。
頼むから、その数分の一をこちら側に分けてほしい。
「あっ、ここから温泉のお湯が出てきてるのかぁ。ふぅむ、ちょっとしょっぱいのだな」
クレイモアは子供みたいに温泉の中を歩き回る。
この温泉のお湯は崖から流れているお湯をタケのパイプで運んでじゃばじゃば入れているのだけど、その部分を発見したらしい。
しかし、味見するとはさすがの料理好き。
そう言えば、クレイモアは私の温泉から塩が取れることも知らないのだった。
明日は村の案内も兼ねて、そこらへんも見せてあげよう。
「くひひ、クレイモア、お背中流しまっせぇええ! サービスやから、これは!」
「やっ、やめるのだ、この化け猫! リリアナ様、助けてくださいなのだ」
「ちょっと、やめっ! ひぶっ、死ぬぅ」
そんなことを思っていると、メテオは再びクレイモアに挑んでいく。
クレイモアはリリに抱きついて助けを求めるが、それはそれでリリを窮地に追い込む。
そりゃあ、あのばいんばいんで抱きつかれたら呼吸できなくなるだろうよ。
とはいえ、クレイモアのぎすぎすがなくなり、平和な温泉になったことを安堵する私なのだった。
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「浮くんですね……」
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