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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
【内政PART】第4章 魔女様の人口補完計画! 村人が足りないなら、他から奪えばいいじゃない(自動的に)
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49.ラインハルト家の受難:魔石の価格が半額になってしまい、家の財政が傾き始める


「ガガン様、大変申し訳ございませんが、こちらの魔石の価格はこれまでの半額とさせていただきます」


「なっ、何を言っておる!? この魔石が半額だとぉおお!?」


 場所はリース王国のラインハルト家。

 魔石商人との取引の際に、ガガンは大きな声をあげた。


 その理由は魔石の取引価格を半額にするという商人からの言葉だ。

 魔石の取引、特に大粒の高級魔石の取引はラインハルト家が財政の柱としているものであり、耳を疑ってしまう。


「半額で、ございます」


 商人の目は笑ってはいない。

 つまり、本気だということだ。

 

 これはガガンにとって、由々しき事態であると言えた。


 魔石の価格が半額になるということは売上は半分になるということである。

 現在の派手な暮らしのためには相当の痛手となる。


「貴様は自分で何を言っているのかわかっているのか!? この魔石は辺境でとれた最高水準のものだぞ!」


 ガガンは手のひらサイズの魔石を手に持って、商人に見せつける。

 通常であれば、喉から手が出るほどほしい最高級の魔石のはずである。


 しかし、商人は厳として首を縦に振らない。


「はい、そちらの魔石は高い水準のものではあります」


「そうだろう! で、あれば、どうして半額などと……」


「しかし、現在、そのクラスのものがどんどん出回ってきているのですよ」


「なぬ……!?」


「中にはこのようなものまでございます」


 商人はそう言うと、ガガンの見せた魔石よりも遥かに大きなサイズの魔石を見せつける。

 それは赤紫に光っており、大きさ、色合いともに最高水準を超えた、超級水準のものだった。


 モンスターの中でも、<<ネームド>>や<<ユニーク>>と呼ばれるような希少なモンスターを討伐しなければ、得ることのできないものだ。



「な、な、な、なんだこれは!? こんなもの、私の領内では、いや、リース国内でさえ見たことがないぞ!」


 ガガンは超級魔石を前に、目を白黒とさせる。


 ありえない!

 こんなことがあっていいはずがない!


「そうは言いましても、すでに出回り始めているのですよ。どこか別の地域で採集されているようですが、まだまだ出てくると思います」


「まだまだ出てくるだと!?」


 もしも、この商人の言っていることが本当であるならば、魔石の価格はもっと下る可能性があるということだ。

 それはすなわち、ラインハルト家の没落を意味していた。


 ガガンの混乱はピークに達し、頭がくらくらしてきた。



「これでも、長年の取引の恩義を感じて半額にしているのです。もし、不服でしたら、誠に申し訳ございませんが、他の商人をあたってください。……おそらく、同じだと思いますが」


「何を言うか! 私を愚弄するなよ! ラインハルト家の魔石は世界一の水準なのだぞ!」


「さようでございますか。それでは失礼いたしますよ、ガガン様」


 商人はそう言うと、ぺこりと一礼して一方的に席を立ってしまう。

 あまりにもあっけない結末にガガンは怒りを通り越して、呆然としてしまう。



「ええい、王都中の魔石商人に見積もりをさせよ!」


 そして、彼は王都中の商人を呼び出す。

 彼は頭にきていた。

 こんなことがあってよいはずがない。

 ラインハルト家が保有している魔石には大きな価値があると自負していたからだ。


 おそらく、先程の商人は女王にでも入れ知恵をされていたのだ。

 そうに違いない。


 ガガンはあまりの怒りにそう思いこむことにした。



 しかし。



「こちらですと、これまでの半額以下ですね」


「これまでの4割がぎりぎりです」


「どうしても買ってくださいと言うなら、話は別ですが?」


 価格はこれまでの半額以下、場合によっては6割引とさえ言われる始末だった。


「な、な、な……!????」


 ガガンは何が起きているのかわからなかった。

 

 これまでであれば、商人共は自分に媚びへつらうだけの存在だった。

 顎でこきつかい、汚い仕事をさせることさえあった。


 それなのに、今では魔石を買ってくれと頭を下げなければならない状態になっているのだ。



「こんなことがあってよいものか!」


 プライドの高い彼は自分が他者に媚びることなどあってはならないと考えている。

 平民の商人どもに頭を下げるなど、もってのほかだ。


 現状が明らかに間違っているのだ。


 誰がこんな状況を作り出したのか?


 私に無断で何が起こっているというのか?



「ミラージュを呼び出せ!」


 ガガンの頭に浮かんだのは、ラインハルト家の魔石の流通管理を任されている人物、三男のミラージュだった。

 ガガンはすぐにミラージュを呼び出すと、この状況について強い言葉で叱責する。




「どうなっている? こんな高品質の魔石がどうして流れてくるのだ!?」


「り、理由はわかりませんが、どうやらザスーラ連合国から流れてきているようです」

 

 ミラージュは魔石が流れてくることを把握はしていた。

 しかし、父親のガガンに叱責されることを恐れて、あえて報告しないでいたのだ。



「ザスーラだと!?」


 今の時点でわかっていることは、リース王国の隣国であるザスーラ連合国から高品質かつ低価格の魔石が流れているということだ。

 それも冒険者経由ではなく、おそらくは商会経由で1週間に一回ほど、ある程度の量が市場に出回るということ。



「くそっ、魔石狩りで得られるはずの利益が減ってしまったではないか!」


 ガガンは怒りのあまり、机をこぶしでがつんと殴る。

 先日、辺境で行なった大規模な魔石採集の利益が思ったほどではないと判明したからだ。

 それなりの予算をかけている以上、儲からないでは話にならない。

 それに加えて、騎士団の維持費やその他ら諸々の経費がかかる。



「……ミラージュ、その原因を探り、必要があればその根元から潰せ」


 ガガンはミラージュを鷹のような瞳でにらみつける。

 彼は自分たちにとって不利益となることがあれば即断即決し、一切のちゅうちょをしないことを美徳としていた。


「しかし、ザスーラ経由となりますと、なかなか潰すのは困難だと思われますが……」


「愚か者! それでもお前はラインハルト家の人間か! 邪魔するものは全て踏み潰すのが我々のやり方だ! 汚い手でもなんでも使え!」


「ははぁっ、必ずや良い報告をできるようにいたします!」


「ラインハルト家としてふさわしい活躍をするように。必要とあれば、私が出る」


「わかりました!」


 ミラージュは家の絶対的な支配者であるガガンに深々と頭を下げるのだった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「売上が半額……鼻血出そう」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[一言] 主要産業をもってる地域の領主からしたら、絶望的な状況ですよねこれ
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