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38.魔女様、冒険者たちと会合するも、ちょっとなめた態度をとられる


「ユオ様! クエイクが戻ってきたでぇ! 冒険者を連れてきたみたいや」


 私とララが村の見回りにいそしんでいると、メテオが大声で私の名前を呼ぶ。


「いよいよだね!」


 そう、待ちに待った冒険者が到着したのだ。


 彼らはこの村を豊かにするために欠かすことのできない存在。

 絶対にいい関係を築こうと私は気合を入れ直すのだった。

 よぉし、屋敷の広間に冒険者全員を通して食事をふるまおう。

 


「あんたが領主さまか、俺がリーダーをやっているハンスだ。この度は歓迎していただいて、感謝しているぜ!」


リーダーのハンスさんは大きな声で笑う。

さすがは冒険者って感じのがっしりした体型で、スキンヘッドでちょっと怖い。

その仲間たちも歴戦の冒険者だとのこと。


「魔物退治は俺たちに任せといてくれ!」


「ここは食事がうまいな!」


「塩不足のサジタリアスとは大違いだ!」


 パーティーの面々は食事に満足してくれたようだ。

 人数は10人で、男性が6人、女性が4人。

 皆が皆、精鋭ぞろいだそうだ。

 ふーむ、かっこいい。


 

「よろしく頼むぜ!」


「がっつり稼がせてもらうぞ!」


「頑張るわ!」


 冒険者の皆さんの顔つきは自信がみなぎっていて、非常に頼もしい。

 こういうざっくばらんとした挨拶もいいなと思う私なのであった。


「ヒーラーのリリです。よ、よろしく、お願いしますです……。ごはん、ありがとうございます。塩味が利いていて、とてもおいしいです……」


 しかし、最後に挨拶をした女の子だけは明らかに自信なさげな細い声を出す。

 顔立ちはすごくかわいくて、声もかわいい。

 体格も細身で守ってあげたくなる雰囲気。

 冒険者らしくないというか、お姫様っぽいというか。



「がはは! このリリはサジタリアスで新規加入したんだ。まだまだ、冒険者としてはひよっこだから、多少のことは大目に見てやってくれ」


 リーダーのハンスさんが不安そうにしているリリに代わって経緯を教えてくれる。

 なるほど、新米冒険者ってやつなのか。

 駆け出しなら、不安になるのも仕方ないよね。


 それにしても、このリーダーさんの顔が怖いからおびえてるんじゃないだろうか。

 スキンヘッドってのもあるけど、眉毛がほとんどないのが怖い。



「いえいえ、こんな田舎に来ていただいて、こちらこそ嬉しい限りです」


 あんまり面構えが怖いので、私のほうも丁寧語になってしまう。

 本来は領主の威厳とやらを見せつけるべきなんでしょうけど。


「がはは! それで俺たちの仕事はどんなものがあるんだ? ダンジョン探索でもなんでもやるぜ!」


「そうですね、冒険者の皆様にはまずは村周辺の薬草や木の実の採集から行なっていただくのはいかがでしょうか? 辺境の土地勘もないでしょうし、環境に慣れていただくのはどうかと」


 私の緊張を見かねたのか、ララが横からサポートに入ってくれる。


 事前の取り決めでは素材回収や辺境の地図作りを依頼に考えていた。

 しかし、確かに彼らの強さを知るまでは危険な仕事は任せられない。

 地図作りは魔物と戦いながら測量を行うわけで、特に大変な仕事だろうし。



「おうおう、俺たちはこう見えても歴戦のCランクパーティだぜ? 薬草集めやキノコ採りなら、村の奴らに頼んでくれねぇか?」


 ハンスさんはそう言って渋い顔をする。

 村の近くでの素材回収はしたくないとのこと。

 要するに、自分たちを過小評価しないでほしいっていうことなのかな。



「まずは近場のモンスターでも狩らせてくれよ。でっかい魔石をざっくざっく持ってきてやるぜ!」


「そうだな、道中は平和そのものだったので吾輩の斧を使う機会がほしいところだな」


 ハンスさんの後ろに控えていた二人の男性が声をあげる。

 一人は優男風でいかにも剣士っていう雰囲気。

 もう一人はずんぐりした体型で、タンクとかそういう役割だろうか。

 つまるところ、モンスターと戦いたいってことなんだろう。


「にしし、最初は好きなようにやってもらってええんちゃう? 素材集め言うても、ちょっと森の中を歩くだけですぐにモンスターが出てきよるし、実力を見るにはうってつけやん」


「ちょっとぉ、お姉ちゃん!? また勝手なこと言いすぎやで! 私が勧誘したんやし、安全には責任持ってもらわな困るわ!」


 メテオが意地悪そうな顔をすると、クエイクがやいのやいのとツッコミを入れる。

 森の探索ならモンスターと遭遇することも多いだろう。

 戦ってみれば実力はきっと一目瞭然のはず。


 だけど、行かせちゃっていいのだろうか。

 メテオがずる賢そうな顔をするときは、決まって何かを企んでいるときなんだよなぁ。



「それではご主人様、私たちも一緒に森へ入ってみるのはいかがでしょうか? ハンターも何人かは空いていると思いますし」


「えぇ? 私も一緒? 森なんて数えるほどしか入ったことないけど」


 ここでララがアドバイスをしてくれる。

 うーむ、森は村長さんとかハンナたちが行くところなんだけどなぁ。

 

 とは言え、冒険者の皆さんを過小評価するのも失礼だよね。

 ものすごく強そうだし。

 顔とか怖いし。


 腕試しもかねて冒険者のみなさんにお願いしてみようかしら。


「わかったわ。森の探索をお願いするわ。実力を見るために、私たちも同行するからね」


 とはいえ、貴重な労働力でもある冒険者に万が一のことがあったら一大事だ。

 というわけで、私も同行することにする。

 村の近くならトカゲぐらいしか出てこないと思うし、それなら大丈夫だろうから。


「よぉし、俺達の力、見せつけてやるぜ!」


「おぉっ!」


 冒険者の皆さんは力強く声を出す。

 うーむ、頼もしい。

 こういう人たちがたくさんいれば、きっとこの地域はもっと元気になっていくんじゃないだろうか。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「冒険者たち、何事もなければいいけど……」


と思ったら


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