表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/352

36.魔女様、ペットにご飯をやるついでに即死技を開発する

「よぉし、いい子!」


 メテオとクエイクがお風呂に入っている間、私はシュガーショックのトレーニングを行う。

 私が棒きれをもって投げるとシュガーショックが必死にそれを追いかけるのだ。


 実は聖獣という生き物らしいのだが、今の私にとっては完全な犬なのである。

 棒をくわえて、はっふはっふ言っているシュガーショックを見て、はたと思いつく。



「聖獣らしいけど、この子のご飯って普通の肉でいいのかな?」


「……どう見ても犬っぽいですし、大丈夫かと」


「ふふ、飼い主の愛情たっぷりの手作りご飯ってわけね」


 王都にいた時にはペット専用のご飯を扱うお店さえあったのだが、ここは辺境。

 ペットを飼うなら、そのご飯は自分たちで手作りしなきゃいけないのだ。

 そんなわけで屋敷の食料貯蔵庫に行ってみよう。



「すごいじゃん! ララって頭いい!」


 ほとんどの肉が氷漬けになっていて備蓄されていたのだ。

 ララいわく、冷凍保存した方が長期間持つとのことで、これは便利だと感心する。

 鮮度を保つためには週に1回は氷魔法をかけなければならないらしいけど。


「よし、これにしましょう」


 ララは「トカゲ」と呼ばれているモンスターの肉の塊をかつぐ。

 それをキッチンの大きな台の上に置くと、大きめのナイフでゆっくりと肉を切り分け始めた。

 その手際は素晴らしく、犬でも食べやすい大きさにカットされていく。



「んぐぐ……、ちょっと骨にあたりますね」


 しかし、骨の部分はかなり固いらしく、ララとはいえ両断することはできないようだ。

 通常は骨に当たったならその部分は避けて、あとでスープにでもするとのこと。


「骨ごと切ることができれば楽なんですけどね」


 ララはそう言いながらもどんどんシュガーショック用のご飯をこしらえていく。

 確かに骨ごと輪切りになっていればかなり楽そうだなぁ。


 うーん、どうにかできないかしら。



「……そうだ! ララ、ちょっと離れてて」


 私はララに代わってしっぽ肉の前に立って、あるアイデアを実行してみることにした。

 この間みたいに村の空気を暖めることができるのなら、私の触れている空気のうち、ごく一部を暖めることもできるはず。


 例えば、刃のような形に熱を発生させることとか。


 目の前にある肉の塊をじぃっと見つめ、深く息を吐く。

 私の内側にある熱が赤い直線状の光となって肉塊をすぱっと切るイメージをする。


 いわば超高温の空気の線で焼き切るっていうイメージ。



「あ、出た!」


 うーむ、ぐーむとうなること数十秒。

 私の目から赤い光が飛び出すではないか!

 本当はかっこよく指先から出す予定だったんだけど、なぜか目から出てきた。


 目から光線って、変かな?

 ま、いいよね。

 人に見せるもんでもないし。

 


 じじじじじじじゅううう。


 その赤い光が肉にぶつかると、肉の焼ける音と肉の焼ける匂いがしてくる。

 さらには数秒もたたないうちに目の前の肉塊が真っ二つに割れる!


 しかし、それだけじゃなかった。


 飛び上がって喜ぶのもつかの間、お肉を置いていた頑丈な木の台までが真っ二つに割れる。

 さらには視線の先にあった石畳の床も真っ二つに割れる。


 石畳が溶けたらしく、その断面がなぜかキラキラ光っている。

 光熱(高熱?)過ぎてガラスでもできたんだろうか。


「あわわわ! 出力を間違えた!」


 ひぃいい、床まで切り裂いてしまうとは。

 熱中するあまり、やりすぎてしまったようだ。


 なんなのよ、これ!?


 一歩間違えれば、家を破壊しかねないじゃん!

 この技は封印しといたほうがよさそうだな。



「ご主人様、素晴らしい能力です! まさに殺人光線! 明日からトレーニングしましょう!」


 自分の無駄な能力に辟易する私とは対照的に、ララはやたらと興奮している。

 どうやらこの熱線を護身術にでも使えると踏んでいるらしい。

 肉をスパッと切るだけの能力なんだから、殺人光線だなんて物騒なことを言わないでほしいなぁ。



【魔女様の発揮した能力】

・熱視線(初級):目から赤い熱線を出して焼き切る。現時点ではコントロールができていない。当たれば両断される。当たれば準・即死技。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「魔女様、いよいよ人間じゃなくね……!?」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

メイドさんの活躍する新連載スタートです! 下のURLをクリックしたら見られます

https://ncode.syosetu.com/n0699ih/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

書籍版第三巻が発売中です。
l017cqekl6nkc64qf50ahkjj6dry_vk2_dc_ix_7qao.jpg

コミカライズ版第1巻が発売中です。

g2opjx6b84b9kixx3rlfe0tedyf_1b5q_dc_iy_2tr1.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] お熱い視線(物理)
[一言] 目からビーム(制御不能)……亡き爺さんが拾ってきた人型古代兵器説出てきたな
[良い点] まさかの目からビーム(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ