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35.メテオがクエイクを温泉に沈める小話



「ふぃいいいいい、なんやこれぇ! 地獄みたいな臭いがすると思ったけど、すごいやんか! めっちゃ気持ちいい!」


 温泉に浸かったクエイクはメテオの時と同じように感激の声を漏らす。

 体の中に熱が届き、一気に温まっていく快感。

 クエイクは自分の内側から疲れが全部溶けだしていくのを感じる。


「せやろ? 後で案内したるけど、奥にはもっとごっつい建物があんねん。トレントの素材使ってて、ほんまに豪華な作りになってるから後で案内したるわ」


「はぇええ、すっごいなぁ。メテオ姉がこんな辺境に住むっていうからびっくりしたけど、頷けるわ。確かにビッグチャンスが転がってそうやな」


「せやで。乗るしかないやろ、このビッグウェーブに!」


 二人はこの村の可能性についてあれやこれやと話し合う。

 これから増えるであろう冒険者や旅行者によって、村が一気に発展していくのを無邪気に話し合うのだった。


「それにしても、あの領主さま、何ものなん? ホンマに魔女とちゃうの? だって、聖獣を手なずけるとかありえへんやん」


 クエイクは神妙な顔をして尋ねる。

 勘違いだったとはいえ、自分を襲ってきた巨大な聖獣を肉を焼くだけで手なずけたのだ。


「うちも巨大なスライムに追いかけられたけど一瞬で蒸発させたし、山ぐらいあるトレントもユオ様が一人で沈めたからな。なんやようわからんうちに一発でドカンやで。最初に見た時は目を疑ったもん」


「山ぐらいあるトレントって、なんやそれ!?」


「おったんやから、しょうがないやん。ほら、あの温泉リゾートの入り口のやつ」


「あの顔、ほんまもんやったん!? レプリカやと思った! ユオ様、育ちのよさそうな顔して完全なる化け物やん、化け物領主やん……、うわ、さぶいぼ出そう」


「あはは。ユオ様の能力については……触れんほうがええと思うで。まぁ、普通に接してほしいみたいやし、普通に接してくるし、こっちも気楽にしてたらええんちゃう? めっちゃ強くて、頭がきれるところ以外は普通のかわいい女の子やから」


 メテオはそう言うと明るく笑う。

 メテオの屈託のない微笑みにつられて、クエイクも笑ってしまうのだった。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「風呂に沈められたい……!」


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