表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第14章 魔女様の聖王国をぶっとばせ! Part 1 ついに聖王国との戦いの火ぶたが切られます。大丈夫なのか、聖王アスモデウス様!?
301/352

301.魔女様、ついに蒸し風呂を発明し、聖王様を追い込む。そして、現れたのはあの山

「うぉおおおおおお!」


 彼女は美人なお姉さまにあるまじき声で、私の熱に耐える。

 汗だくなのに、その瞳は死んでない。

 ものすごく我慢強いらしい。


 ふぅむ、この人、すごい人だ。

 ひょっとしたら、名を知られた人なのかもしれない。


 そう言えば、名前を聞いてなかったなと気づく私である。


 どんな人であっても、打ち解けるには名前を交換することだ。

 そしたら、いい加減諦めてくれるかもしれないし。



「ねぇ、私はユオって言うんだけど、あなたは何て名前なの?」


「この私に名を名乗れだとぉっ!?私を知らないだとぉっ!? ふざけるなぁああああ!」


 だが、私の目論見は失敗に終わる。

 彼女は自分の名前を聞かれたことにやたらめったら激怒する。


 げげげ、たまにこういう人っているよね。

 いくら有名人でも人間が小さいと思っちゃうよ。

 

「ごめんなさい! えーと、高名な魔獣使いの方なんですね? 私、そっち方面は疎くて……」


 とはいえ、気分を害したのなら、素直に謝るのが私のスタイルである。

 こんなに大きな化け物を操っているのだ。

 かなり有名な魔獣使いに違いない。


「ちがぁああああう! 魔獣使いなわけあるかっ! 私はっ、私の名前はっ……! ええい、貴様のような貧相な小娘に名乗ってやるものか!」


 しかし、彼女は私の謝罪すら拒否する始末。

 せっかくこちらが頭を下げたっていうのに、なんたる仕打ち。


 しかも、私のことを貧相な小娘ですって。

 失礼すぎる。

 言っとくけど、そのセリフを吐いてタダで済んだ人はあんまりいないからねっ!


「ふはははは、余裕ぶっているのも今のうちだ! 見よ、エルドラドが真の姿に変化していく様子をっ!」


 そうこうするうちに、彼女は突然、笑いだす。


 熱でおかしくなっちゃったのかなと思ったけど、そうじゃなかった。


 彼女の下にいた巨大な亀が動き出したのだ。


 それも、普通の動きではない。


 亀の体は脈打ち始め、どんどん巨大なものになっていく。

 まさに膨張という言葉がふさわしい変化だった。

 

 それは私の熱のドームに当たろうとも、もろともせずに拡大してく。

 

 しまいには私の熱をかき消してしまった。


 うっそぉ、私のドームが消えるの初めて見たよ。



「これって……」


 そして、私の目の前に現れたのは巨大な、巨大な山だった。

 裾が広くて、雄大で、とっても美しい山だった。

 山頂には雪が積もりそうなほど高い山。


 えぇえええ、亀が山になっちゃった!?


 てか、これってさっきの化け物と同じものなの!?


「ふはははははは、これぞエルドラドの完全体! 大破壊の申し子だ! 貴様の熱はもう飽きた。もはや何の役にも立たぬわっ!」


 魔獣使いの人は大きな声で高笑いである。

 

 確かにこの山をやっつけろと言われたら、困っちゃうかもしれない。


 そもそも、どこを攻撃していいか分からないし。

 全部まとめて吹っ飛ばすしかないかも。


「飽きたですって……!?」


 とはいえ、山が現れたことと同じぐらい、私は彼女の言葉に衝撃を受けていた。

 

 彼女はこう言ったのだ、「私の熱のおもてなしには飽き飽きだ」と。

 

 私の脳裏に頭を殴られたような衝撃が走る。

 やっぱり単調すぎたのだ。

 リフレッシュ熱空間はカルラの水風呂があって初めて機能するものだ。


 それなのに、私は単に熱を送っただけである。

 そりゃあ汗はかいただろう。

 だけど、彼女の言うとおり、それだけじゃ飽きちゃうよね。


「これで仕上げだぁあああっ!」


 彼女はそう言うと、山に向かって何かを放出しようとする。

 

 何をするつもりかは分からないけれど嫌な予感がする。


 どうにかして、彼女を止めないと!



 しかし、熱視線や熱空間、あるいは口から出る奴なんかじゃ彼女は死んでしまう。


 とはいえ、熱失神は効かない。



 どうすればいいんだろう?


 こんな時に温泉があれば……。


 温泉があれば彼女の心を静めて、争いを止められるのに。



「温泉ならあるじゃんっ!」


 私はここで素晴らしいアイデアをひらめいたのだった。


 それは以前、魔族の人をやっつけた時に使った技だ。

 そう、空間袋から温泉をどばぁっと出すあれである。


「私のおもてなし、第二弾を味わいなさいっ!」


 私は空間袋から温泉のお湯を噴出させる。

 あれが当たれば、少しは我に返るだろう。


 いくらなんでもやり過ぎたって。



「ふんっ、そんなもの! 私には効かぬわっ!」


 彼女は山から伸びている触手みたいなのでお湯を防いでしまう。

 

 貴重なお湯を味わわないなんて、なんて人なの!?

 かなりショックである。


 ええい、どうにか彼女にお湯が当たる方法を考えなければならない。


 普通の熱だったら、彼女にも届いたのだ。

 同じことを温泉のお湯でもできないだろうか?


 空気を通じて温泉を伝えればいいんじゃないかな。


 例えば、温泉の蒸気を利用したりして。


 ……と、なれば!!



「私の温泉ちゃん、霧となって彼女を包んでっ!」


 私は空間袋に熱を込めて、もう一度叫ぶ。

 

 ぶばぁあああああああああああああああああああああああ!



 今度、現れたのはただのお湯じゃない。


 霧だ。

 それも、温泉のお湯でできた霧である。


 ふわぁあああっといい香り。

 最高。

 こっちまでリラックスしちゃうよ。


「な、何だこれは!? 私の魔力が、術式がっ!?」


 温泉の霧に包まれた彼女は悲鳴を上げる。

 

 そりゃそうだ、生まれて初めての霧温泉である。 

 びっくりするのも無理はない。


 お肌はしっとりするし、喜ばれるんじゃないかな?



「うそっ、うそだぁあああっ!? 私が、この私が……」


 数分後、霧の中から現れたのは、先ほどまでの彼女ではなかった。

 

 背は私と同じぐらいで、顔も幼い感じ。


 当然、その体型も子供っぽくなっているわけで、先ほどの豊満なお姉さまはどこかにいなくなっていた。


 そう、つまりは偽装だったのだ。

 

 この人、私のことを貧相な小娘なんて呼んでくれたんだっけ?


 へぇー、そうなんだぁ、ふーん。


「この姿を見たものは生きては帰さぬ。死ねぇえええええっ!」


 覚めていく私の心と裏腹に、彼女は絶叫する。

 よっぽど、本当の姿を見破られたのが気に食わなかったのだろう。


 シルビアさんという前例がなければ、私も驚いていたとは思う。


 だけど、私は彼女のコンプレックスやその悲しさを知っている。

 そう、無駄に刺激をしちゃいけないのだ。


 心を優しく癒してあげなければならないよね。


 よぉし、まずは皆に言いふらすって言って脅してみよう。ぐふふ。



 ごごっごごごごごっごごごごご!


 そんな時である。

 私の足元の山が震え始める。


 特に山頂付近に強い熱の反応を感じる。

 

 えぇええ、これってまさか火山ってやつ!?


 大丈夫なの、噴火なんかしちゃったりして!?



【魔女様の発揮したスキル】

蒸し風呂:温泉のお湯を蒸気に変えて、対象にぶちかますおもてなし攻撃。対象の魔法防御や魔法強化をことごとく打ち消す。いわゆるところのミストサウナで、お肌はすべすべもっちりとする。通常の高温サウナが苦手な人も大好きであり、適度にリフレッシュできる。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「サウナに引き続き、蒸し風呂かい……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

メイドさんの活躍する新連載スタートです! 下のURLをクリックしたら見られます

https://ncode.syosetu.com/n0699ih/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

書籍版第三巻が発売中です。
l017cqekl6nkc64qf50ahkjj6dry_vk2_dc_ix_7qao.jpg

コミカライズ版第1巻が発売中です。

g2opjx6b84b9kixx3rlfe0tedyf_1b5q_dc_iy_2tr1.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] 魔女様に言ってはならない禁句を.... 恐ろしや~(ガクブル)
[一言] 技に致死性がないだと・・・!? 次は山を溶かして溶岩風呂か?
[一言] 成る程… エルドラドは富○○ハイランドになるんですね… ※錯乱中
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ