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29.魔女様のところに実家から手紙が届く




「ご主人様! 大変です! ご実家からお手紙が届きました!」


 ララが珍しく大きな声をあげて駆け込んでくる。

 温泉リゾートのオープンに備えて温泉で英気を養っている時だった。


「……実家から手紙?」


 温泉に入っているのにちょっと寒気がしてくる。

 私を問答無用で勘当したわけで、実家と聞いて良いイメージが湧いてくるはずもない。

 今ではこの土地に飛ばしてくれたことを感謝しているぐらいだけど。


「はい。ええと、送り主はミラージュ様です」


 しかも送り主はミラージュのバカ兄貴。

 いつも自信たっぷりなくせにどこか必ず抜けている男だ。

 それでも魔法の才能だけはあったから、いっつも高圧的な態度をとってくれた。


 

「実家って、ラインハルト家のことやろ? 勘当されたんちゃうん?」


「ひぃいい、そういえば追放されたんですっけ!?」


 一緒に温泉に入っていたメテオもドレスも慌てた様子だ。

 彼女たちには私の素性を教えているのだけど、普段はフランクに接してもらっている。

 私としては貴族の籍なんてとっくに捨ててるから、はっきり言って迷惑なぐらいだ。



「……とりあえず、読み上げてみて」


「わ、分かりました!」


 実家からどんな内容の手紙が来るのだろうか。

 いくらなんでも勘当が一方的過ぎたとか、謝罪の手紙だろうか。

 ええい、考えていても埒が明かない。

 

 私はララに手紙を読んでもらうことにした。


「……ええと、愚かなる妹よ、父上より禁断の大地を抜け出す慈悲がお前に与えられた。至急、不毛な大地を投げ出して帰ってくる許可を与える。もちろん、禁断の大地は取り上げだ。感謝して涙を流すがいい、この愚かな妹め……だそうです」


「はぁああああ!? なんですって!?」


 想像の斜め上の内容で、思わず大きな声が出てきてしまった。

 

 だってその内容は、

 

 ・王都に戻ってこい

 ・頑張って開拓した村を手放せ

 ・とにかく愚かな妹め

 

 といった内容だったからだ。

 私のことを思いっきりバカにしているのがひしひしと伝わってくる文章。


 送り主のあのバカ顔を思い出すと、かぁーっと体が熱くなるのを感じる。


「あっつ! やばいで!」


「ひぃいいい、死ぬ!?」


 メテオもドレスも慌てた声を出して、温泉から飛び出す。

 それもそのはず、気づいた時には温泉のお湯がごっぽごっぽと煮えたぎっていた。

 私の怒りが温泉のお湯にまで届いてしまったのだろう。

 あわてて常温に戻す私なのである。


 温泉に入ったまま怒るのはよくないよね。

 反省した私はとりあえず、温泉からあがって屋敷に戻ることにした。



「……で、どうすんねん? ユオ様がいなくなるの、うちは反対やで!」


「リゾートがやっとできたっていうのに、あっしも反対です!」


 二人は私を説得するつもりなのか、わぁわぁと断固反対と騒ぎ出す。

 わかってはいたけど、ここまで留意されるのはすごく嬉しい。


「私はご主人様の決定に従います。……王都での暮らしはそれなりに快適ですから」


 ララはそう言って寂しそうな顔をする。

 確かに王都での暮らしは便利だし、美味しいものも、きれいなものも一杯ある。

 モンスターに襲われることもないし、周りの人に妙に信奉されることもない。


 だけど。


「そんなの、帰らないに決まってるでしょ! こんなにバカにされておめおめと王都に行くなんてありえないじゃん!」


 私の返事は決まっている。

 私のことを受け入れてくれた村や、仲間たちと離れるなんてありえない。

 

 それに、この村には温泉がある。

 はっきり言って、もはや温泉抜きで生活するなんてありえないからね。


「結局、温泉かい!? そんなん中毒の類いやで!?」


「魔女様らしいけど、ちょっと寂しいっ!」


 メテオもドレスも私に厳しいツッコミを入れてくる。

 だが、言葉とは裏腹にとても喜んで、抱きついてきてくれる。


「ご主人様、さすがです! 信じてましたよ!」


 ララもおまけに抱き付いてきて、女の子3人にもみくちゃにされる。

 喜んでくれるのは嬉しいけど、どう考えても王都に帰りたいはずがない。


 その後、私達は実家に罵詈雑言たっぷりの返事を書くことにした。


 とにかく、帰るつもりはないこと。

 父親も兄もだいっきらいであること。

 そもそも、信用してないこと、などなどをできるだけ、オブラートに包んで伝えるのだ。


 私はここでの生活が最高に楽しいし、仲間もいるし、金輪際、関わらないでほしいんだけどなぁ。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「温泉が煮えたぎる……!」


と思ったら


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