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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第14章 魔女様の聖王国をぶっとばせ! Part 1 ついに聖王国との戦いの火ぶたが切られます。大丈夫なのか、聖王アスモデウス様!?
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289.魔女様、エルドラドの温泉具合に嫌な汗が止まらない

「ちょっとあんた、世界樹を返しなさいよっ!」


 私は怒りに燃えていた。


 なぜなら、あの古文書を回収できなかったからだ。

 あと少しで回収できるはずだったのに、世界樹の下からヘンテコな亀がでてきて天変地異のごとく暴れまわっている。


「ひぇええ、あたしのお菓子の材料がぁああ!?」


 そして、悲鳴を上げるのはもう一人。

 世界樹の実でお菓子を作る予定だったクレイモアだ。


 エリクサーの村人たちは全員、避難に成功したようだ。

 だけど、彼らの住んでいた可愛らしい家屋はすべてぺしゃんこに潰されてしまった。

 それも含めて、あの怪物、許すまじ、である。



 ぎぎぎぎぎぎ!


 金属がきしむような音を立てて、巨大な食虫植物は襲い掛かってくる。

 しかし、クレイモアが切断したことからも分かるように、こちらの攻撃が通らないわけではない。


「クレイモア、打ち損じたのが来たら、やっつけて!」


 私は熱の力で空中に浮かび上がると、迫りくる巨大な口に熱視線を放つ。

 それも、複数。

 例の追尾していくやつを!


 ひゅぼぼぼぼぼぼっ


 真っ赤な熱視線は敵の首に命中する。

 そのほとんどが一発で切断されてしまう。

 よぉし、やったよ!



「さすがぁっ! この調子で亀もぶった切ったらいいぜ! できるだけキレイに始末してくれよぉっ!」


「ご主人様、それでこそ私の破壊神ですよっ!」


「ひぃいいい、化け物の真打ちだぁぁああ!?」


 ドレスたちはわいわいと声をあげる。


 村人たちの一部から心無い声が聞こえるが、今は聞こえないふりをする。

 私だってやりたくてやってるわけじゃないもん!



「……な、なんですって!?」


 次の瞬間、私は目を見張ることになる。


 なくなっている気がするのだ。

 亀の背中から、世界樹の木が!


「ユオ殿! エルドラドが世界樹を取り込んでしもうたぞぉっ!」


 エリクサーの言葉に思考が凍る。

 それはつまり、私の古文書があの化け物に奪われたってことなのだ。


 あの古文書は超古代文明の産物で、見たこともないクオリティの絵画が載っている。

 しかし、その素材はあくまでも紙だ。

 不用意に熱攻撃なんかをしちゃったら、ぼろぼろに燃えてしまうかもしれない。


 あれには温泉をグレードアップする秘術が記されているのだ。


 温泉は言うまでもなく世界の宝。

 ってことは、あの古文書もまた世界の宝ってことになる。きっとそうだ。


 ぐぬぅううう、人質を取るなんて卑怯な奴!


「ぬわぁああ! あたしの木の実を返すのだぁああ!」


 クレイモアの恨みがましい声も響く。




「くははははは! エルドラドがこれで終わりだと思うのか!」


 私が歯噛みしていると、どこからか高い声が聞こえてくる。

 それは人間の女性の声。

 だけど、あんまり耳ざわりのいい声とは言えなかった。


「こいつは不死身だっ! この禁断の大地のエネルギーをすべて吸いつくすのだっ!」


 その誰かさんの声が響くと、化け物の首は瞬く間に再生。

 ぎぎぎぎと音を立てて、こちらへと襲ってくるのだった。


「ええい、そんなの怖くなんかないよっ!」


 とは言え、私の熱視線に耐えられるとも思えない。

 私は再び同じ技を放つ……のだが、信じられないことが起きた。


 そう、私の熱視線を受けても、化け物の首はつながったままなのだ。

 正確には直撃して、分断されたかのように見えても、すぐさまくっついているようなイメージ。


 シルビアさんの余興みたいな生命力を持っているらしい。懐かしい。


「それならぁああっ!」


 私は敵に向かって熱の円を一気に放出する。


 ふぃぃいいいいん、などとのんきな音を立てて進んでいく真っ赤な円。

 

 それが触れると、さしもの生命力を持った化け物も瞬時に蒸発する。

 連発できないのがきついけど、巨大な円を作れば複数を仕留められる。

 

 まぁ、いざとなったらエルドラド全体を熱空間で蒸発させるしかないよね。

 古文書は惜しいけど、本当に惜しいけど、誰かの命の引き換えにはできないし。


「なかなかやるらしいなぁっ! しかし、こういうのはどうだっ!」


 しかし、しかし。

 考える暇も与えられない。


 敵の声が響くと、うねうねした植物のツルが一つに集合していく。

 それはなんとさらに巨大な口を形成するではないか。


 ひぃいい、ちょっと気持ち悪くなってきた。


「喰らえ、終末の即死息(ファイナルデスブレス)!!」


 さらにそいつは一瞬だけぷくーっと膨れると、こちらに息を吹きかけてくるではないか。


 ぶしゅはぁああああ


 変な音とともに、迫りくる黄色い霧。


 植物の癖に息を吐く!?


 などと思わなくもないが、その黄色い息に私は何か嫌なものを感じる。

 ひぃいい、やばいよ、これ、絶対!

 リリがいれば浄化魔法でも使えたかもしれないけど、このままじゃララたちにも被害が及ぶ。



「熱盾!」


 私は一旦、皆のところに降りたつと、巨大な熱のドームを形成する。

 真っ赤な熱のドームはあの臭そうな息を防いでくれるはずっ!


「おわぁあああ、わしの村の森が枯れていくのじゃあああ!」


 黄色いガスが飛んでくると、目の前の光景が凄惨なものへと変わっていく。

 森の木々がみるみるうちに枯れていくのだ。


 なんて奴なの!

 植物のモンスターだと思ってたのに、毒の息なんか吐くなんて!


 毒は漂ってこないのだが、なぜか匂いはやってくる。


「これって……」


「ご主人様、これは……」


 その匂いには少しだけ覚えがある。

 そう、こいつの息はどことなく温泉の香りに似ているのだ。

 いや、むしろ、温泉の匂いそのものなのである。


 ……まさかこいつ、温泉とつながってたりなんかしないよね?


 嫌な予感がして、背中にじわりと汗をかく。


「ひぃいいい、地獄のようなにおいだぞっ!?」


「最悪の匂いだ、おしまいだぁああ!?」


 村人たちはその毒の息に恐慌状態。

 地獄のような匂いって久しぶりに聞いた気がする。


「ははははは! これぞ世界を終わらせるブレスだ! 言っておくが、このエルドラドはまだまだ成長中だ! お前の村、そして、北の魔族領をも飲み込んでやる!」


 どこからともなく例の声が響く。

 なんとこの村だけじゃなくて、他の場所も侵略するとか冗談じゃないよ。


 私、思うに、この高笑いをしている人物は絶対に性格が悪いと思う。

 温泉の香りのするガスで攻撃するだなんて、はっきり言って友達にはなれないと思うのだった。


※読者様へ 作者の活動報告にて「大切なお知らせ」がございます! ぜひ、ご覧くださいまし!


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「温泉から生まれた亀……?」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[一言] ま、まぁ植物も呼吸するし(汗
[一言] 知らずして、攻撃を躊躇させる結果に聖王(大聖女)もご満悦
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