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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第13章 魔女様の強烈防衛戦! 禁断の大地が活性化してきたと思ったら、女王様、魔王様入り乱れて暴れます!
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273.魔女様、祝勝会と温泉で皆をねぎらいます! そして、いよいよ世界征服へ……(向かいません)

「サンライズ、私の城に来い! もしくは、わらわがユオの村に住む! そして、また冒険をするぞっ!」


 祝勝会にて、それは突然の出来事だった。

 凱旋盗との戦いを終えて、私たちは乾杯をして美味しい食事をとる。


 その祝勝会のさなか、比較的大きな声で切り出した人物がいるのだ。

 そう、イリスちゃんである。


 私は彼女の思いをなんとなく感づいていたので、温かい目で見守ることにした。


 村長さんはぽかーんとした顔で、


「ふぅむ、わしはサジタリアスとの契約が残っとるからのぉ」


 などと、空気の読めない発言をする。

 ええい、そういう問題じゃないでしょうか。


「……わかった。ならば、私もサジタリアスに向かおうではないか! 辺境伯と話をつけよう」


 イリスちゃんは何がわかったのかわからないが、サジタリアスに赴くと発言。

 一国の主が、それも数十年君臨する恐怖の大王みたいな人が、いきなり訪問するだなんて。

 辺境伯、きっと大慌てするだろうなぁ、ちょっと哀れになる。

 まぁ、いいか、二人の冒険を止められる人はいないはずだよね。



「ユオよ、見事だったぞ」


 二人を見守っていたら、イシュタルさんが現れ、私にねぎらいの言葉をかけてくれる。

 正直言うと、彼女こそが一番の被害者であり、一番大変だった人物だ。

 胸の真ん中を剣で刺されて、呪われて、だからね。

 

「ふふふ、魔王領ならよくあることだ。一度、私の城を訪ねてくるとよいだろう」


 彼女は意味深にうなずきながら、含み笑いをする。

 しかし、たぶん、そんなによくあることじゃないだろうし、演技が入っているのではないか。

 この人、本当に本心が読めないよなぁ。


 いい人っぽいけど、どういう経緯で魔王になったのか、今度、聞いてみよう。

 

 と、まぁ、そんなこんなで祝勝会は終わったのである。

 というか、汗もかいていたし、さっさと切り上げたって言うのが正しい。


 それじゃ、二次会いっくよぉお!




「ふひゅああああ、さいっこおおおお!」


 そんなわけで二次会会場は我らが温泉ちゃんである。

 やはりお湯の中に入るだけで生き返る気がする。

 温泉最高、温泉こそ神様。


 凱旋盗の人に襲われた時はどうなるかと思ったけど、こうやって温泉に入れたのは何よりだよね。

 しかし、こんなに素晴らしい温泉だもの、どこかの悪党がまた動き出してもおかしくないのかも。

 

「それには心配に及びませんよ。今回の戦いは大陸の主な都市に配信されておりますので」


 私が心配していると、ララはクールな表情でそんなことを言う。

 なるほど、そう言えば、メテオたちは村の復興のために闘技場での賭けをやっていたのだ。

 その原理は一切不明だけど、クレイモアやハンナの戦いを見れば、攻め込む気なんてなくなるよね。


 命がいくつあっても足りないよ、あれじゃ。



「ユオ様、お疲れ様でしたあぁああ!」


 噂をすれば影というわけで、ハンナがぱたぱた走ってくる。

 温泉で走っちゃ危ないよ。


 って、彼女はひどい斬り合いをしていたのだ、温泉に入っちゃヤバいでしょうが。


「ふふふ、リリさんに治療してもらいましたし、大丈夫ですよっ!」


 彼女はそう言うと力こぶを見せてくれる。

 リリの治療が的確だったらしく、彼女の傷はきれいに消えていた。

 ありがたいけど、無理はしないでほしいなぁ。


 私はハンナの心のサポートもするべく、しっかりとねぎらってあげる。

 そう言えば、ハンナと一緒に温泉に入るのって珍しいなぁ。

 彼女は「村人」として、いつも一歩引いてくれていたように思えるし。

 そこら辺の壁も徐々に消えたってことなんだろうか。嬉しい。



「いやぁー、今回は疲れたぜ。自分が戦うのよりよっぽどこたえたな」


 ドレスはお湯にぶくぶく沈みながら、ほへぇーと声を上げる。

 普段は元気な彼女であるが、今は完全に脱力モードである。


 そりゃあそうだ、前述の映像の配信はドレスとその仲間たちが頑張って機材を作ったのだ。

 戦いが始まる前の時点で過労だったんじゃないかな。


 うちの村に欠かせない人物だし、彼女こそがうちの村の立役者なのだし、自分を労わってほしい。


 とはいえ、新たな古文書のことを教えたら大興奮するんだろうなぁ。

 うふふ、早く話してあげたい。



「はぁ〜今日はえらかったわ〜」


「はぁ〜しんどぉ〜」


 そうこうするうちに現れたのが、解説席で好き勝手やってくれた猫人姉妹である。

 彼女たちは戦いが終わった時はすごく喜んでいたのに、なんだか浮かない表情。

 何があったんだろう。

 お仕置きする気持ちも忘れてしまう私である。


「それがなっ、ユオ様の戦いの途中でなっ、機材が壊れてなっ! 誰かさんの熱のせいでっ!」


「色々と払い戻しなったんですわぁあああっ!」


 彼女たちはそういうと、わぁわぁ泣き出す始末である。

 いわく、「最終戦の配信があれば一生遊んで暮らせた」とのこと。

 そりゃあ、お気の毒である。


「まぁ、いいじゃん! 本業の温泉で儲けていこうよ! 損失はどうにかなるでしょ!」


 そんなわけでメテオたちを励ます私である。

 実をいうと、私としては非常に好都合である。


 おそらく、私が戦っている場面を見られていないということでもあるし。


「ユオ様ぁあああ、もぉっ、この人たらし! 大好きっ!」


「一生ついていきますぅううう!」


 背中をバンバン叩いて、励ましてあげたら、謎に喜んでくれる。


 後で知ったところによると、最終戦の結果が配信されないことで色んな違約金がフレアさんと発生したらしく、思ったよりも収益が少ないとのこと。

 まぁ、それでもいいじゃん。

 温泉が残ったんだし、みんなも無事だったんだし。

 あんたらならいくらでも盛り返せるでしょ。



「ユオ様、お怪我はないですかぁ?」


「ユオ殿、お疲れなのじゃ!」


 次に現れたのはリリとエリクサーの救護班である。

 彼女たちは怪我人の介抱だけじゃなくて、戦いの場面でも活躍してくれた。

 エリクサーは巨人を森でからめとったりして、とてもかっこよかったよね。

 リリは村を守るために大活躍だったし。


「照れるのぉ。戦いは得意じゃないのじゃが頑張ったぞい」


 エリクサーは少し得意になって、ふんすと鼻を鳴らす。

 はぇー、相変わらずかわいい。

 私は彼女の紫と緑色の髪の毛を撫でてあげるのだった。


「は、恥ずかしいですぅう。私、シュガーちゃんに乗ると何だか胸が高鳴って……」


 一方のリリは心底恥ずかしいって顔をする。

 リリとシュガーショックは非常に素晴らしいコンビネーションなのだ。

 人馬一体というか、人犬一体というか、「ぶぉるん」などと凄い大きな音と共に発奮しちゃうのである。

 あの音、いったい、どこから出てきてるんだろう。



「にゃははは! 温泉、最高ぉおお!」


「…………」


 そして、現れたのがうちの村の暴力装置クレイモアとカルラの二人だ。

 二人は敵の巨人をやっつけるときも活躍してくれた。

 クレイモアは試合でも圧勝したし、いやぁ、かっこよかったよ。


「にししし、楽しかったのだ! あたしはもっと強い奴に会いたいのだっ! 次の戦争はいつなのだ?」


 クレイモアは満面の笑みで元気が有り余っているのをアピール。

 いやいや、こっちから外に攻めていくことはないからね?

 この子はうちの村に攻めて来た時から、本質があんまり変化してないようだ。


「…………ぴ」


 カルラはというと、過労がたたったのか足湯の状態でダウンしていた。

 相変わらずの鼻血である。

 ふぅむ、働かせすぎちゃったのだろうか。心配。



「ユオ様ぁあああ、ごめんなさぁあああい! ぜんぶ、ララさんが悪いんですぅうう!」


 最後に現れたのはアリシア先輩だった。

 彼女はいきなり速攻で黄金蟲の件を謝ってくる。

 そう言えば、私の真上に気持ちの悪い虫をけしかけてくれたのだった。

 いわく、「ララに言われたやった、今では反省している」とのこと。


 ララは後ろで「ちっ」と舌を鳴らす。

 まぁ、わかってたけどね。


 とにかく、二人には後で罰ゲームを用意しとこう。

 ま、頑張ってくれたんだし、かわいい罰ゲームになると思うけど。


 


「ふぅ、温泉は最高ですね」


「そうだね」


 皆をねぎらって、ひと段落である。

 ララも温泉に浸かって一安心といった顔をする。


「ご主人様、素晴らしい人材が集まって、世界征服も一歩近づきましたね」


 ほっとしているところ、ララがとんでもないことをぶち込んでくる。

 この人、未だに覚えてたの!?


「近づいてない! 近づいてないからね!?」


 ララの冗談を必死に否定する私。

 そりゃそうだ、私の目指すのは最高の温泉リゾートなのである。

 世界征服なんかどうでもいいわけで。


 とはいえ、うちの村にはたくさんの人材が集まってくれて嬉しい限りである。

 皆の笑顔があるから、こうやって頑張れるわけで。


「まだまだやることは山積みだけど、頑張っていこうね」


「誠心誠意、尽くさせていただきますよ」


 ララはそう言ってニコッと笑う。

 それだけなら普通の美女である。

 

 燃やされた部分の修復に始まり、ダンジョンの方に村を作る計画もある。

 それに凱旋盗の人の修理をしたら古文書の捜索も本格的に始めたい。


 そして、何より、何より大事なのが、あのめちゃくちゃ気持ちいい熱空間の開発である。

 もちろん、本物の熱空間だと人が死んじゃうから、もうちょっとソフトなやつを。


 たぶんきっと、気に入ってくれる人も現れるはず。

 ゆくゆくは村の新しい名物になったりして!!



 私はそんな物語を思い描きながら、目を閉じる。

 この平和な時間がずっと続きますようにと願いながら。


 そして、明日から始まる毎日に胸がわくわくするのを抑えられないでいた。


※本章はこれにて終了です。次章および、今後の更新につきましては、本日の夕方、活動報告にてお知らせいたします!ありがとうございます。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「……恐怖の罰ゲーム?」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークをいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] サウナでも作るのか? 魔女様魔女様、サウナにハンモックを持ってきて寝れるのは貴女くらいですよ?
[一言] 結果的に戦いが秘匿に繋がったとなるとまた挑戦者が現れそうですねぇ
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