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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第12章 魔女様の温泉ダンジョン大攻略! ドレスの王位継承権をめぐって、ダンジョンで素材集めにいそしみます!
238/352

238.魔女様、素材戦の参加者を温泉に案内するよっ! そして、次の物語が動き出す


「ふぃいいいいい、生き返るぅうううう」


 素材戦が慌ただしくおわり、私はゆっくりと温泉を楽しんでいた。

 

 結構疲れた。

 生まれて初めてのダンジョン探索だったのだ。

 それなりにドキドキしたし、ちょっと命の危険を感じたりもした。


 でもまぁ、振り返ってみれば楽しかったかな。

 ユア・タリーになることはもうないとは思うけど。


 今、私が入っているのは、村のちょっと西にある、新しい温泉である。

 湯量も十分で、岩風呂にしても結構広い。

 乳白色のお湯が体に優しくまとわりついて、お肌もすべすべ。


 まだまだ掘っ立て小屋レベルだけど、ここもかっこいい温泉にしたいなぁ。

 ふぅむ、どんなデザインにしようかな。



「ユオ様、おっつかれぇえ!」


 そうこうするうちにドレスが入ってくる。

 彼女は相変わらずまぶしい笑顔で、相変わらず引き締まった体をしている。


「ドレス、お疲れさま」


 私はドレスにねぎらいの言葉をかける。

 彼女は「全部、ユオ様のおかげだから」なんて言ってくれるけど、そんなこともない。

 私があの石ころを拾えたのはただの偶然だ。

 それにドレスが明るい笑顔で元気づけてくれたからこそ、ダンジョン探索を無事に終えられたのだ。


「そう言ってもらえると嬉しいぜ。ふふ、お湯がしみるなぁ」


 ドレスはそう言うと、ぐぅっと背伸びをした。

 その様子がかわいくて、私はくすっと笑うのだった。

 


「ちょっとぉおお! 服脱ぐなんて聞いてないわよ!?」


 そうこうするうちに賑やかな声が聞こえてくる。

 眉毛をひそめながら現れたのは、ドレスのいとこにして次期国王、イリーナなのであった。

 彼女は全身をタオルでぎっちぎちに巻いて登場。

 ドレスほど筋肉質でもなく、普通の体型のように見える。

 

「イリーナ、お湯に入るのがそんなに怖いのかい? 情けねぇな」


「なぁっ!? バカにしないでよね? そ、そんなのへっちゃらだから!」


 イリーナはドレスに煽られると、すぐにタオルを解除。

 ええい、とお湯に入ってくる。

 ドワーフの人たちって煽り耐性が低いのだろうか。



「ふふふ、これって温泉っていうのね、いいじゃない……」


 とはいえ、温泉の中では静かにしてくれるようだ。


 彼女はふぅっと息を吐く。

 その顔にはさっきまでのこわばりが消えていて、リラックスしてくいる様子がうかがえる。


「この村のこと、私の冒険者仲間にも紹介しといてあげるわ。……今回、世話になったし」


 イリーナは少し照れくさそうな顔をする。

 そして、素晴らしい提案をしてくれるのだった。


「ありがとぉおお! すっごく、助かるわ!」


 冒険者はうちの村にとって、生命線とも言える人材なので凄く助かる。

 私は彼女の手を取って感謝するのだった。


「べ、別にあんたのためじゃないからっ! こらっ、子ども扱いするなっ!」


 恥ずかしそうな顔をする彼女はすごくかわいいのであった。

 とりあえず、頭をよしよしさせてもらうと、ちょっと怒っている。うふふ、かわいい。


「素材戦の前にも、あの猫女に温泉を案内されたんだけど、罠だと思って入らなかったのよね。入っとけばよかったかな」


 とはいえ、完全にリラックスしたイリーナはそんなことを教えてくれる。


 あぁ、その猫女って、メテオだよね。ごめんなさいね。

 彼女に案内させると、普通のものでも裏があるように聞こえるのだろうか。

 メテオのことは信頼しているんだけど、基本的に何かを企んでるからなぁ。



「にゃははは! 今、うちの話しとったやろっ! メテオちゃん、参上やでぇっ!」


 そして、噂をすれば影が差すとやらで、メテオが颯爽と現れる。

 彼女はずさささーっと現れ、ざぱぁっとお湯に入る。

 お行儀悪いよ、まったく。


「にひひひ、イリーナ次期国王様と親交を深めなあかんと思いましてなぁ!」


「あっ、こら、触るな!?」

 

 相変わらずの商魂たくましい笑顔である。

 確かにイリーナとの関係をよくしておくことは大事だよね。

 ふむ、メテオ、頑張ってくれたまえ。

 逆効果にならなければいいけど。



「……あ、あう」


 そして、影からこっそり現れたのがカルラなのである。

 彼女もまたタオルをぎっちぎちに巻いて登場。

 顔が赤いのは恥ずかしいからだろうか。

 確かに、人前で裸をさらす機会なんてまずないものね。

  

「カルラ! こっちにおいでよ、あったかくて気持ちいいよ」


 私は彼女に手招きする。

 おそらく、温泉に入るのは初めてだろう。

 カルラがどんな反応をするのかとても楽しみ。

 

「…………ふ、ひ、ひ、へひ」


 カルラは温泉に浸かると不思議な声を上げる。

 彼女の顔はいつも青白い感じだけど、少しだけ桃色っぽくなっているというか。


「…………ぴ」


「カルラ!? えぇえええ!?」


 そして、次の瞬間、カルラは気絶してしまったのだ。

 ぼちゃんっとお湯に沈み、そのままぷかーっとお湯に浮かぶ。非常に危ない。


 まさしく湯あたりというやつである。

 カルラはララが即座に引き上げ、連れていってくれた。

 大丈夫なんだろうか。




「あの水色髪は無事じゃぞ」


 それからしばらくして、エリクサーが現れる。

 今日は髪の毛をお団子にして登場だ。

 深い紫色の髪の毛に緑色の筋が入っているので、不思議な感じのお団子だけど。

 相変わらず、かわいいなぁ。


 エリクサーによると、カルラは鼻血を出しているものの命に別状はないとのこと。

 脈も落ち着いているから一安心だ。



「あっ、あんた、例の魔族でしょ!?」


 エリクサーの登場に、イリーナが声をあげる。

 そう言えば、ドワーフの国はこれまで魔族と敵対してたんだっけ。

 うわっちゃあ、どうなることやら。


「ふふん、いかにもわしは魔族のエリクサーじゃ。こう見えても、大人なのじゃ。よろしく頼むぞ」


 エリクサーはふんすと鼻を鳴らすけど、どう見ても子供だ。

 背も小さいし、10歳ぐらいにしか見えないと思う。


「……私の名前はイリーナよ。よろしく」


 一瞬、衝突でも起きるかもしれないと危惧したわりに、イリーナはあっさりとエリクサーを受け入れる。

 彼女はエリクサーと握手をすると、きちんと自己紹介をするのだった。


「素材戦では仲間を手当てしてくれたんだってね、ありがとう。礼を言うわ」


 さらには救護室で働いていたエリクサーに感謝の言葉まで伝える。

 ぴりっとした空気が一気に緩んでいくのがわかる。

 エリクサーは「なんの、なんの。わしはやるときはやるやつなのじゃ」などと得意げなのもあるけど。



「ふぅん、大人になったじゃねぇか」


 ドレスはイリーナをそんな風にからかうけど、


「あんたの国と仲良くするってことは、良い魔族とは仲良くするってことでしょ!」 


 イリーナはちょっと怒ったように言い返すのだった。


 とはいえ、私は分かっていた。

 イリーナはエリクサーのことを受け入れてくれたんだって。


 素材戦でいろいろあったけど、こうして人間と魔族の壁が少しずつ崩れていくきっかけになってくれたらいいな。






「それじゃ、また来させてもらうわ! できれば、うちのおじいちゃんも一緒にね!」


 次の日、ドワーフの皆さんはそれぞれ帰途につく。

 次期国王となったイリーナは笑顔でそんなことを言うのだった。

 ちょっと生意気なところはあるけど、やっぱりいい子だった。 

 

「…………私、残る」


 そして、うちの村には頼もしい仲間が増えたのだ。

 それはS級冒険者のカルラ。

 イリーナのチームとしてやってきた彼女であるが、うちの村で働くとのこと。


 温泉には弱いみたいだけど、命に別状はなく元気らしい。

 うちの村を気に入ってもらえたのは嬉しいよ。



「ユオ様、それじゃ、ついにあの街づくりだな!」


 そして、私たちにはいよいよ大仕事に入るのだ。

 あの古文書にあるような、へんてこな街を作り出すという仕事に!


「資金は手に入ったし、がんがん攻めてくぞっ!」


「おおーっ!」


 私と仲間たちは青空向かって、大きな声をあげるのだった。




◇ カルラさん視点



「……あ、あう」


 裸になってお湯に入ると言われた時、心底驚いた。

 しかも、そのお湯にすでにユオ様が入っているなんて、なおさら。

 お湯が真っ白でユオ様の体型はわからない。

 だけど、鎖骨は見える。ふひひ、や、やばい。倒れそう。



「…………ふ、ひ、ひ、へひ」


 お湯に入った瞬間、私の体に温泉の熱が一気に入ってきた。

 それはとても意外な体験。

 これまでどんな熱湯を触っても、熱いなんて感じたことがなかったのに。


 これって、つまり、ユオ様の熱ってこと!?

 今、私、お湯を通じてユオ様とつながってるってこと!?


 そんなアイデアが頭に浮かんだ瞬間、私の意識はバーストした。

 頭の中が真っ白になって、真っ白なお湯の中に沈んでいったのだ。




◇ 一方、その頃、リース王国の女王陛下は?



「国庫の使い込みをしたのはお前だな。よし、ヤバスのガガンのもとに追放してやろう! 思う存分、その才覚を活かすがよい!」


「ひぃいいいい!?」


 ここはリース王国。

 その頂点に君臨する、ハーフエルフの女王は今日も楽しく仕事をしていた。

 


「なぁっ、ドワーフ王国があの禁断の大地と手を組むだと!?」


 そんな時である、彼女は緊急の知らせに耳を疑った。


 あのプライドの高い、ドワーフ王ドレープが新興国である、禁断の大地の勢力と同盟を結ぶという知らせが入ってきたからだ。


 禁断の大地にできた帝国は、女王の宿敵ともいえる第一魔王とも友好関係にある国である。

 どうしたものかと考えていたものだ。


(かくなる上はわらわが出向いてみるか……)


 彼女は城のバルコニーに出ると、にやりと邪悪な笑みを浮かべる。

 その視線の先には禁断の大地の方角があった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「カルラさん……」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークやいいねもいただけると本当にうれしいです。


作者から活動報告にて、お知らせがあります。


何卒よろしくお願いいたします。

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メイドさんの活躍する新連載スタートです! 下のURLをクリックしたら見られます

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪の総帥の様な女王様が笑えるw
[良い点] 人材確保&国交樹立と大成功! [一言] 国庫の使い込みの才能って米蔵のネズミも同然かな
[一言] 割烹見れない人達へ。作品サブタイトル一番下広告のちょい下に作者マイページから割烹見れるよ試して。
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