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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第12章 魔女様の温泉ダンジョン大攻略! ドレスの王位継承権をめぐって、ダンジョンで素材集めにいそしみます!
230/352

230.魔女様、素材戦から帰還し、カルラを無事にKO。ついでに精霊に名前をつけることにしました

「やっと着いたぁああ!」


 ダンジョンの入り口に走りこみ、ぎりぎりのところで間に合った私たちなのである。

 途中で私がユア・タリーのスペア用のかつらをかぶったりして、ちょっと時間がかかったのには焦った。


 あとは素材戦で得られたアイテムの鑑定結果によって、ドレスとイリーナのどちらが勝者か決まるとのこと。

 そんなわけで、袋に入れた素材をすべてドワーフの鑑定士たちに提出する。



「あんたには負けないからねっ! 言っておくけど、七彩晶以外にもお宝はあったからね」

 

 イリーナはドレスをびしっと指さすと、取り巻きの方に歩いていく。

 彼女はいい子だったから、彼女が一位でもいいのかもしれない。

 とはいえ、ドレスにはすんなり村に来てほしいしなぁ。



「ルドルフさまぁああああ!」


「レオパルさまぁああああ!」


 無事に生還したのは2組だけである。

 途中でリタイアしたルドルフとレオパルの二人の側近たちは、わぁわぁ泣きわめていた。

 自信満々だったくせに負けてしまったのが悔しいのだろう。


「ドレス、負けたよ。でも、スッキリしたよ。ありがとう」


 私たちと衝突したユリウスもやってきて、殊勝な言葉をかけてくる。

 戦った時とは打って変わって、つきものが落ちたような顔色だった。


「お、お兄様も……ありがとうございまひた」

 

「いえいえ、いい勝負だったよ」


 彼は私にも手を差し出してきたので、がっちり握手をする。

 色々あったけど、素材戦が終わったらノーサイドってやつだよね。

 爽やかでとてもいいと思う、こういうの。


「お、お兄様ぁぁあ……!!」


 目をうるうるとさせて私の両手をがっちりと握るユリウス。

 美少年にお兄様と慕われるのは嬉しいんだか、悲しいんだかではあるけど。

 

 彼は何か言いたげだったけど、そのまま戦闘人形に連れられていなくなってしまった。




「ユア様、お疲れ様でした」


「おっつかれぇえ〜! ドレスから聞いたでぇ、めちゃくちゃやったって」


 そして、ララとメテオの二人が現れる。

 素材戦の運営も残すところは、結果発表のみとなり暇ができたという。

 私はダンジョンでのすごい発見、特にキラキラ輝く温泉について教えてあげるのだった。


「ふむ、こちらの方は……」


 私の話がひと段落したところで、ララは私の後ろにいる人物について尋ねてくる。

 実をいうと、私がダンジョンに出るころから、ずーっとカルラが後ろにいるのだ。

 おそらくは私を守ってくれているのだろうけれど。


 彼女は基本的に静かだから、そばにいることを忘れてしまっていた。

 

「えぇっとね、こちらはカルラっていうの。ダンジョンの内側で友達になったんだ。いい子だから仲良くしてあげてね」


 とりあえずカルラを紹介する私である。

 本当はイリーナの陣営なんだけど、契約はもう終わったということらしい。


「…………わ、私がと、ともだぴ、いい子、ぎぃ」


「カルラ!?」


 しかし、何が起こったのかカルラは突然失神してしまう。

 さっきまで元気だったはずなのに、緊張の糸が切れてしまったのだろうか。

 あわわ、とりあえずエリクサーの救護室に運んでもらうことにした。



「ほんで、その肩に乗ってる虹色のは何やねん? なんか目が一つしかあらへんけど」


 さすがはメテオである。

 私の異変にすぐ気づいてくれた。

 まぁ、肩にでっかい虹色の一つ目がいたら誰でも気づくかもだけど。


「あぁ、えっとね、この子は虹の精霊かな。名前はまだついてないけど、燃え吉みたいにうちの村で飼う……じゃなくて、働いてもらうことになったから」


「に、虹の精霊……なのですわ?」


「虹の精霊、七色だからね」


 とりあえず、一つ目玉の精霊について紹介する私である。

 罪の精霊とかって、ちょっと痛いし、思い切って虹の精霊にジョブチェンジすることにした。

 虹の精霊が作るアクセサリー、これだけでも売れそうな気がする。

 

「ほわぁ、燃え吉と一緒の類いかぁ〜。順調にうちの村がカオスになってきてんなぁ」


「さすがはご主人様、目の付け所が違いますね。こんなの私なら潰してますよ」


 私は二人にこの子の特技について教えることにした。

 七彩晶の毒を処理して、安全に加工できることも含めて。

 非常に有用な人材であることを。


「えぇっ、それホンマなん!? もうちょっと詳しく教えてぇな!!」


 これにはメテオもびっくり。

 そういえば、素材戦の前も七彩晶について、やたらと盛り上がってたよね。

 私はこの精霊に七彩晶のアクセサリー職人になってもらうことを合わせて伝える。


「ふふふ、いけるやん! 一つ目ちゃん、うちと組んだらええでぇ。うち、見た目の通り、正直・誠実・安心がモットーやねん。損はさせへんから、な? な?」


「ひぃいいいい、この怪しい猫人、怖いですわぁあああ!?」


 メテオの瞳はお金のマークへと様変わりし、ペラペラと待遇について話し始める。

 正直・誠実・安心じゃなくて、偽り・詭弁・危険の間違いではないだろうか。


 案の定、やたらと怯えた声を出す精霊。


 ふぅむ、いいコンビが出来上がりそうだ。



「とはいえ、名前を付けなければいけませんね。ふむ、毒を吸い込む虹色の一つ目精霊ですから、”毒目玉”はいかがでしょうか? 思い切って”毒マシマシ”でもいいですが」


 ララは相変わらずクールな顔をして、とんでもない名前を提案してくる。

 どこの世界に毒目玉の作ったアクセサリーをつけたい女の子がいるだろうか。


 「毒マシマシ」に至っては、もはや悪口である。

 いくら毒を吸い込むからって、増さなくていいよ、そんなもの。


 この精霊は毒からは身を洗って、まっとうな道を歩み始めているのだ。

 あえてそれを前面に出す必要はないだろう。



「よっし、それじゃ、あんたは虹ぃにょね」


「に、虹ぃにょ……で、ありますわっ!?」


 私の命名にびっくりした様子の精霊。

 とはいえ、今はこれ以外に考えられない。

 なんていうか、にょるっとしたフォルムだし。


 明日になったら変わってるかもしれないけど。


「分かりましたっ! そこまでおっしゃるなら100歩譲って、虹邪眼に譲歩しましょう!」


 ララはいまだに食い下がるも、却下なのである。

 なんていうか、虹に紛れていたずらする魔物みたいに思えるし。


「そんでなっ! うちがお店たてるさかい、取り分は6:4でどないや? え、わかった、5:5でええで?」


「ひぃいい、必死過ぎて怖いですわ!」


 その後、虹ぃにょはメテオに執拗に迫られるのだった。

 ふぅむ、いいコンビネーション。





「よぉっしゃ、それでは結果発表やでぇ!!」


 ダンジョン前の仮設会場にメテオの声が響く。

 ドワーフの鑑定士の人々が必死に作業を終え、ついに結果が出たとのことだ。


 ドワーフ王国の未来が決まる、わくわく、どきどきの場面なのである。

 願わくば、ドレスが勝利して欲しいところであるが。



 ゴロゴロゴロゴロ……


 ついにこれから発表というところで、いきなり雲行きが怪しくなってきた。

 先ほどまでは晴天だったというのについてない。


 しかし、それはただの曇り空ではなかった。

 


「くはははは! 素材戦などという茶番をいまだにやっているのか!」


 突如として、分厚い雲の下に大きな絵が現れたのだ。

 しかも、その絵は動いており、美人だけど性格の悪そうな女の人が映し出されていた。


「ドワーフども、貴様らの国はもう終わりだっ!」


 映像の中の彼女は嬉しそうに叫ぶ。


 な、何が始まるっていうの!?


 私は突然の出来事に胸がどきどきとするのだった。



◇ エリクサーの救護室にて


「と、ともだぴ、わ、私がユオしゃまのともだぴで、いい子でぐひひ……」


 エリクサーは救護室に運ばれてきた水色髪の少女に眉間を寄せる。

 彼女は一度は目を覚ますも、うわごとを言いながら、再び失神してしまったのである。


 しかも、彼女は鼻血を出していた。

 理由はさっぱりわからないが、エリクサーは大慌てで処置をする。


「ふぅむ、ともだぴとは何なのじゃ……新手の毒かのぉ?」

 

 エリクサーは腕組みをしながら、その哀れな少女を見つめるのだった。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「罪の精霊、当初は自分のことを「ミー」と呼んで、語尾は「ざんす」だったらしいぜ……」


「カルラさん、なぜ鼻血を……」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[一言] え?黒幕さん現場(ドワーフ国)にいなくていいの?現場監督なんだからちゃんと現場にいないと、トラブルが起きた時に直ぐに対応できないじゃん。
[一言] カルラちゃん良い子過ぎ
[一言] 正直・誠実・安心とは真逆の偽り・詭弁・危険とは中々上手い訂正で
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