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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第12章 魔女様の温泉ダンジョン大攻略! ドレスの王位継承権をめぐって、ダンジョンで素材集めにいそしみます!
209/352

209.魔女様、イヤイヤ言うものの温泉に釣られて一大決心をする。相変わらずチョロい


「それじゃあ、誰が素材戦に参加するか決めるよ! ちなみに、私は参加しないからね!」


 後日、ララが回復したので、一番大切なことを決める会議を開く。


 ダンジョンの中にはモンスターもいるし、そいつらとの戦闘は避けられない。

 それに加えて、参加者同士の戦闘が行われる可能性も高い。


 そして、何より暗くて、じめじめして虫がいそうなのである。

 当然、私はパスである、誰が何と言おうと領主特権である。



「でぇええ、ユオ様、参加しねぇのかぁ!? こりゃあ辛いなぁ」


 ドレスはそう言うけれど、ノープロブレム。

 うちの村には三度のご飯と同じぐらい、戦うのが好きな連中がいるのだ。

 騎士ユア・タリーの演技はちょっと無理があったし、ここいらで引退でいいだろう。


「ほな、ハンナちゃんとクレイモア、行けるか?」


「もぉっちろん! ジャマする奴は斬ります!」


「とぉぜんなのだっ! ふくく、とにかく、ぎったぎたにしてやるのだ」


 握りこぶしを作って、大興奮の二人。

 パーティは最大4人までって言われたけど、戦い慣れているのはこの二人ぐらいだ。

 あとは基本的に穏健派だし、私を筆頭に。

 


「本当に、本当に私は行く必要ないんですね!?」


「な、ないから安心して! 大丈夫だから!」


「よかったですぅぅう!!」


 リリは涙を流して喜ぶ。

 今までさんざん巻き込まれてきた彼女だけど、今回は短期決戦だし少数精鋭で大丈夫だろう。


 彼女のあの聖なる光は凄いんだけど、あれって街を守るのに使うものらしいし。

 

「ユオ様が加われば最強の布陣やったんやけどなぁ」


 メテオはずるい顔をして「惜しいなぁ」なんて言うけど、そうも行かない。


 そこで、私は代わりに燃え吉を推薦しておく。

 あの子って、そもそもダンジョンで眠っていたわけだし内側に詳しいはずでしょ。


「ひえぇえ、それがあっしはぶち抜いて昇ってきただけで、そこまでダンジョンに詳しくないんでやんすぅ」


 ドレスの肩の上に乗った燃え吉は自信なさげな声を出す。

 ちぃっ、内側のことはあんまりわからないらしい。


 それにしても、燃え吉はちょっとオドオドし過ぎている気がする。

 まるで目の前に怖いものがいるみたいに恐縮している感じなのだ。

 ひょっとしたら、クレイモアとかハンナが怖いのかもしれない。


「うふふ、気分がいいよ、まったく!」


 とはいえ、非常に機嫌がいい私なのである。

 仲間たちに戦闘を任せて自分だけ高みの見物をするって、なんて素敵なんだろう。


 私は接待のための名物料理を試食したりして楽しむことにしよう。うひひ。

 



「それにしても、あのダンジョンのお宝ってなんなんやろな? 前にクレイモアたちが潜った時も何も見つかってないし、心当たりゼロやで」


「せやなぁ、お姉ちゃんが泥棒猫に入るかと思ってんけど、冒険者ギルドに先手打たれて封鎖されたからな」


「アリシアのせいやで、それ。ホンマに腹立つわぁ」


 メテオとクエイクが言うように、どんなお宝が眠っているのかは気になるところだ。

 クレイモアたちはお宝の収集はせずに、戦うためだけに潜ったらしい。

 当然、地図も作ってないとのこと。


 せめて村長さんがいれば、内側のことが大体分かるって思うんだけど。

 あぁ、やっぱり村長さんはうちの村に必要だよ。



「何か面白いものとか、不思議なものとかなかった?」


 少しでも情報を引き出せないかと、私はハンナとクレイモアに尋ねる。


「不思議なもの? あ、そう言えば床が7色に光ってるとこがあったのだ」


「ありましたね! その上を歩くと光の波紋みたいなのが広がるところが!」


 ふと、クレイモアが思い出したかのように不思議な空間について教えてくれる。

 ダンジョンみたいなジメジメしてそうな場所にそんなのあるのだろうか。


「ほんとかい!? それって七彩晶かもしれないな……」


「でぇええ、うっそやろ?」


 ドレスは何か心当たりがあるようで、七彩晶なんて言葉を口にする。

 メテオもその言葉に心当たりがあるようだ。

 

「七彩晶っていうのは、魔力回路を作るのに有用な鉱物の一種さ。いろんな場面で使える希少な素材なんだけど、最近、取れるのが減ってきたんだわ」


「かなり値上がりしてるんやで。床が一面いうたら、そりゃあ、えげつない価値やろうな。ひょっとしたら、七彩魔晶もあったりして」


「あったら歴史的発見だな。100年は見つかってない幻の素材って言われてるわけだし」


 ドレスとメテオは素材の話をしながら、二人でうんうんとうなずく。

 彼女たちの話からすると、どうやらその七彩晶というのはたいへん貴重なものらしい。


「そういえばそこに温泉みたいな場所もあったのだ。床が七色にキラキラしてて、お湯が溜まってたのだ」


「ありましたね! おじいちゃんが足湯して、いいお湯じゃぞぉと言ってました!」


 そして、とんでもない情報が二人の口から飛び出す。

 その七彩晶とかいう鉱物があるところに、温泉があったという。

 しかも、村長さんはそれに入ったらしい。

 おのれ村長さん、抜け駆けするとはなんて羨ましい。


「床がキラキラしている温泉!? なにそれすごい!」


 私の頭の中に広がる、未知の温泉の景色。

 これまでの私の常識を覆す、七色の光の温泉。


 たぶんきっと幻想的な世界が広がるのだろう。

 うわっはぁ、入ってみたい。

 ぜったいかわいいはず。



「あっれぇえ? でも、ひょっとしたら、その温泉、めっためたに破壊されるかも知れへんよなぁ? 誰かさんが温泉に入らないんじゃ、ライバルに素材として持ってかれるんとちゃうん?」


 メテオが相変わらずのズルい顔をする。

 確かに彼女の言うとおり、その温泉が貴重な素材でできているのだとすると破壊される可能性がある。


 ぐむぅ、これは究極の選択肢を突き付けられたぞ。

 ダンジョンに潜るか、潜らないか、それこそが問題だ。



「……わかったわよ! 燃え吉とチェンジで、私も行くわ!」


 これは苦渋の決断だった。


 しかし、温泉ハンターたるもの、ぼんやりと成り行きを眺めているわけにもいかない。

 他の参加者に破壊されないように私が守ってあげなきゃいけないのだ。


 それに、クレイモアもハンナも道順をなんとなく覚えているだろうし大丈夫だよね。

 戦闘は二人に任せておけばいいんだし、私は内側でおとなしくしておこう。


 ふふふ、待っててね、私の洞窟温泉ちゃん!


「ご主人様、開会式と王族へのご挨拶はおねがいしますよ、くれぐれも」


「わかってるってば!」


 あんまり浮かれていたので、ララに釘を刺されてしまったけど、大丈夫。

 そこらへんはしっかりやらせてもいますとも、温泉を売り込むためにも!




◇ ドレスのライバルその3:ルドルフ



「よいか! 今こそ、イリーナとユリウスを叩き潰す時だ!」


「おぉっ! 最新の魔導兵器も最高ですぞ!」


 ここはドワーフ王国の王都。

 王位継承権第3位のルドルフは野望に燃えていた。

 今こそ三番手に甘んじていた自分の地位を頂点まで押し上げる絶好の機会だからだ。 


「そして、我が愚弟のレオパルに、兄より優れた弟など存在しないということを教えてやろう!」


 ルドルフはそう言うと、ぐははと豪快に笑う。


 継承権第4位のレオパルは彼の弟であり、幼いころから比較されて育ってきた。

 ルドルフは何でも要領よくこなすレオパルに嫉妬と憎悪の感情を抱いていたのだ。


 その屈折した感情をついに晴らすことができると、彼は息巻いていた。


「我らこそが最強だ!」


 彼は工房に並んだ、沢山の武器と防具をながめてほくそ笑む。

 彼の率いる工房は、ドワーフの技術と、外部から取り込んだ魔力回路の知識をもとに、これまでにない武器と防具を作り上げたのだ。


 その魔力回路の知識はドワーフの国では禁忌とされるものだった。

 だが、ルドルフは自分の野望達成のためにそれを秘密裏に入手したのだった。


「うふふ、ルドルフ様、毎度ありがとうございますぅ。今後ともごひいきにぃ!」


 ルドルフの傍らには邪悪な目つきの女が現れ、彼の背中に手を回す。

 

「誰の手を借りても、勝てばいいのだ、なに使おうが、勝ち残れば!! いざ、禁断の大地へ向かうぞ!」


 彼はヘルメット状の兜をかぶる。

 そして、鼻息荒く、禁断の大地へと出発するのだった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「ダンジョンが壊れないか心配……」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 効能は果たしてどんな代物か… [一言] このメンバー…確実なストッパーがいない!?
[気になる点] 七色星・・・もとい温泉ですか。楽しみだ。 [一言] >基本的に穏健派だし、私を筆頭に 性格的には穏健派だけど、戦力的には過激派という言葉が霞んで見えるくらい、アブナイんだよねえW
[気になる点] まぁ魔女様は領地(独立宣言したから国)の最高責任者何だから、ドワーフの王族関係者を迎え入れる場に居ないのは不味いでしょ。ダンジョンに入りたく無い理由にもなるよね。入っちゃうみたいだけど…
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