197.プロローグ:極寒の魔女はお熱いのが嫌い ~魔女様の独立宣言はまたいらんやつを刺激してしまったようです~
私の手が冷たいのには理由があったのだ。
それに気づいたのはスキルを与えられた、その日のことだった。
私に与えられたスキルは、クーラーという聞いたことのないものだった。
そのクラスは極寒。
最初のうち、私はそのスキルを何かを凍らせる程度の技だろうと思っていた。
だから、村のみんなにもバカにされたし、両親にも溜息をつかれた。
しかし、このスキルは違った。
私が触れば、文字通り、命の脈動さえも凍らせてしまうスキルだった。
狩りに出れば、自分よりも大きなモンスターを凍死させることができた。
そして、冬の寒ささえももろともしない体を私に与えた。
私は村で一番の狩人になったし、家族からも尊敬された。
ある日のことだ。
調子に乗った私は広範囲にスキルを仕掛けて、友達に怪我をさせてしまう。
それもひどい怪我を。
もちろん、狙ったわけじゃない。
運悪くおきた事故だった。
命はとりとめたものの彼女の足は麻痺してしまい、それっきり動かなくなった。
泣きながら謝る私に、彼女は大丈夫、心配しないでと言ってくれたけれど、私は押しつぶされた。
そして村を出た私は冒険者として生き始める。
過去を捨て、家族を捨て、誰かとのつながりを捨てて、向こう見ずな戦いに出かけていった。
どこかで自分の死に場を探していたのかもしれない。
そんなときだった。
ある日、私は空を見上げた。
そこには隣国のサジタリアスを襲った魔族が撃退される光景が映し出されていた。
人々はその光景に見とれ、大声で応援していた。
最後に戦っているのは一人の少女だった。
髪の毛がときおり赤く点滅する不思議な女の子だった。
そして、彼女は魔族を下し、新しい国の成立を宣言する。
映像の中にいる彼女はたくさんの仲間たちに囲まれて楽しそうだった。
心の底からの笑顔。
それは私がどこかへ置いてけぼりにしてきたものだった。
私は自分のなくしたものを少しだけ思い出す。
胸の内側にちくりちくりと突き刺さる感覚も久しぶりだった。
そして、あの赤髪の女の子のことを腹立たしく思ってしまうのだった。
私と同じような能力を持っている彼女が、あぁやって仲間に囲まれていることが。
捨てたと思った感情がむくりと沸き起こり、私の心を締め付ける。
その痛みは、女の子への嫉妬と憎しみとなって膨らみ始めていた。
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