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18.猫耳商人は奇跡の温泉の夢を見る




「まさか消えてなくなるとはなぁ……。これ、魔族の呪いなんやけどなぁ」

 

 温泉に入ったあと、自室に案内されたメテオはまじまじと鏡を覗き込む。

 右頬にあった赤紫の傷がなくなってしまったのがいまだに信じられないのだ。


 彼女が商人になると志して、様々なアイテムの鑑定を学び始めたのは子供のころだった。


 <<商い>>のスキルを持っていた彼女はすぐに要領を覚え、才覚を発揮し始める。


 だが、ある日のこと、運悪く魔族絡みの呪いのアイテムに出会ってしまう。

 呪いが巧妙に隠蔽されており、まだ未熟な彼女では見抜くことができなかったのだ。

 一命をとりとめたものの、彼女の顔には呪いの傷が浮かび上がってしまう。



『メテオの鑑定眼はあてにならない』


『その証拠があの呪いの傷だ』


 この呪いの傷はどんな魔法やアイテムを通じても消えることがなかった。

 大都市の著名なヒーラーであっても治すことができなかった。


『半端者のメテオ』


 その傷はいつしか商人仲間からもバカにされる不名誉なものになってしまっていた。



「こうなったら鑑定をもっともっと磨いてぎゃふんと言わせたる!」


 メテオは呪いの傷に奮起し、より一層、商売に励んだ。

 誰よりも能力を磨き、誰よりもリスクをとって資産を増やそうとした。

 そして、自分の呪いの傷を癒やしてくれる何かを絶対に見つけ出すと決意した。


 冒険商人という危険と隣り合わせの仕事についているのも、そのためだった。


 しかし、気丈にふるまってはいたが強いコンプレックスを抱いていた。

 それがまさか辺境の村落にある「おんせん」なるものの中に入っただけで治ってしまうとは夢にも思わなかった。


 それ以外にも怪我を治したり、塩も採れたりするとのこと。


 温泉をもたらしたのは、黒髪のユオと名乗る少女だった。

 リース王国を勘当されて領主をやっているという。

 一見、かれんな少女にさえ思えるが、不思議な力でキャッスルイーターと呼ばれる巨大なスライムを蒸発させてしまった。


 通常なら、大都市の騎士団総出で対応する相手のはずだ。

 冒険者なら数十人必要だろう。

 それをなんの苦もなく、一人で、文字通り跡形もなく片付けてしまう。

 

 ユオは尋常ならざる力を持っていたが、不思議と怖くはなかった。

 彼女は人当たりも良く、親切だった。


 そして、彼女からは領地を発展させたいという強い意志が感じられた。


 メテオは思う。


 この温泉を広めることで、自分のように悩んでいる人を救えるのではないかと。

 あの不思議な女領主、ユオと組むことでそれができるのではないかと。

 メテオはユオとの出会いに感謝しながら、鏡を覗き込んでにへにへするのだった。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「案外、シリアスキャラやったんかい!!」


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