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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第11章 魔女様の独立国家の作り方! 悪い魔族をふっ飛ばして、もののはずみで独立宣言しちゃいます
173/352

173.魔女様、村人をさくさく解放するけれど、あいつは案の定、つかまってしまう(放置プレイ決定)


「大変なのじゃあああああ! 猫耳が捕まったのじゃ!」


「な、なんですって!?」


 小一時間後、偵察からエリクサーが戻ってくる。

 開口一番に彼女はメテオが敵に捕まったことを教えてくれる。


 あんのバカ猫、慎重に行けって言ったのに。

 どうせ敵に見つかったエリクサーをかばって、「私はここに残る、お前は先に行け」とかかっこいいことしようとしたんでしょ。



「いや、ちょっと違うのだぞ。村の一角に『立ち入り禁止』と書かれた小屋があってのぉ、猫耳はその中に果敢にも忍び込んだのじゃ。お宝じゃなくて、陰謀のにおいがするで、などと言ってのぉ」


「そ、それで?」


「猫耳は見張りの後ろにくっついて入っていったのじゃ。見張りは出てきたのじゃが、あやつはなかなか出てこない。そうこうするうちに、外から鍵をかけられたのじゃ」


 ……あんのバカメテオ!


 ぜんぜん、かっこよくない。


 よりにもよって、非常に間抜けな方法で捕まってるじゃないの。

 もっと熱い展開なのかと期待した私がバカだった。


 とはいえ、無事っぽいので一安心だ。

 軽率すぎる行動にお灸をすえる意味でも、ちょっと放置しといてやろう。


 その後、エリクサーは偵察で得られた情報について教えてくれる。

 彼女の村を襲った人間の少女と魔族のコンビはいなかったとのこと。


 隣の村の魔族たちが見張りとして歩き回っているものの、とりたてて強い魔族ではないそうだ。

 エリクサーが言うには隣の村の魔族は、他の強い魔族に脅されているのではないかという話だ。



「ふむ、好機到来ってわけね」


 襲ってきた魔族にお説教をかますのが今回の動機ではあったけど、目的はあくまでも村の解放だ。

 エリクサーが言うには、村人たちは一か所に集められているとのことで、話が早い。

 

「それじゃ、見張りをどんどんやっつけちまって、村人を解放すれば一丁上がりだぜ。メテオの奴はその後だな」


 ドレスが村解放作戦の一定の手順を説明する。

 することはなんのことはない、見張りをやっつけろ、ということだけだ。


「しかし、多勢に無勢というのもあるし、お前たちは目立ちすぎると思うぞ。人間などわしの村に来たことさえないのだから」


 私たちの作戦に微妙な顔のエリクサー。

 確かに人間が平然と歩いていたら変な感じだよね。


 でも大丈夫、私たちだって色々考えているのだ。



「じゃじゃん! これを見てよ」


「……な、なんじゃこれは!?」


 私があるもの差し出すと、エリクサーはますます困惑する。

 しかし、私がそれを頭につけると…


「おぉっ、まるでわしらの角が生えたみたいじゃの!」


 そう、私たちが用意したのは魔族っぽい角のついたカチューシャなのだ。

 エリクサーたちを待っている間、暇だったので私の錬金術で作ってみた。

 細かいところはドレスが細工した。


 これをつけると魔族っぽい角が生えているように見えるという寸法なのだ。

 ふふふ、結構かわいい。


「ドレスも似合うじゃん! かわいいよ」


「ふひひ、照れるぜ。あっしはこういうガラじゃないんだけどなぁ」


 普段は男の子っぽい雰囲気を出しているドレスだけど、かわいいカチューシャにまんざらでもない様子。

 顔を赤くして照れている様子は普通にかわいい女の子だ。


 魔族のカチューシャ、けっこうかわいいと思う。

 これを村で流行らせたらどうだろうか。



「お前たちといると、なんだか調子が狂うのぉ」


 笑い合っている私たちを見てエリクサーは首をかしげている。

 いいじゃん、どんな時でも楽しむのが私たちのルールなんだから。



 かくして、村人解放作戦の狼煙があがるのだった。

 待っていてね、村の人たち、ついでにメテオ!





「な、なんだ、貴様は、どこの村のものだ、はうっ」


「この村は立ち入り禁止だぞ! おい、ひぶっ」


 結論、熱失神のスキルは魔族の皆さんにも有効。


 村に入って歩いていくと、やっぱり見張りの人に見つかる私である。

 魔族の角はそこまで役に立たなかった。

 翼もあればよかったのかな。


 しかしまぁ、先手をうって熱失神の技を連発。

 簡単に言えば、私の半径10メートルぐらいに高温の波をプレゼント。


 不意を突かれた魔族の皆さんはぐっすりスヤスヤお眠りになるのだった。



「ひぃいい、死んでおるのか!? 死屍累々じゃああ」


「んなわけないじゃない! 私はそういうの無理だから」


 見張りの魔族の人が来るたびに失神させていたので、気づいた時にはかなりの人数になっていた。

 もちろん、皆、命に別状はない。

 あくまで失神しているだけだからね。


「よぉし、これで一丁上がり」


 私が失神させると、ドレスはすばやく手足をしばり、即席の牢屋に入れていく。

 さすがは神の匠、こういう時にも頼りになる。



「ば、化け物めぇ! 喰らえ、ギガファイアー!」


 振り返ると、私の身長ぐらいある特大の炎の玉が飛んでくる。

 なるほど、魔族の人も魔法を使うんだなぁと感心する私。

 とはいえ、これまでに沢山の炎を見てきた私はもはやひるむことはない。


 結果。


 私に炎は直撃するものの、それは頬をなでる春のそよ風みたいなものだった。

 なんていうんだろうか、ちょっと気持ちいい。

 ふふ、炎って気持ちいいものなんだ。



「ひぃいいい、何だ、その髪はぁあああ!? ひぶぅ」


 魔法を撃った魔族の人は私の髪の毛が焦げていないことに驚いている。

 変な部分に驚く人だなぁ。

 髪どころか服だって無傷だっていうのに。


 とはいえ、相手をしててもしょうがないので、速攻で熱失神をかます。

 おやすみなさい。


「さすがはユオ様、えげつねぇぜ。炎と戯れると髪が燃えるのか……?」


「ぐむむ、わしはとんだ化け物を村に呼び込んでおるような気がするのぉ」


 私があんまりにも熱失神をかますので、ドレスもエリクサーもちょっと怖がっている。

 確かにこの技、相手を選ぶことができないんだよなぁ。

 とはいえ、熱視線だと胴体が二つに分かれちゃうわけで。


「まぁ、よしとしよう。ユオ殿、そろそろ皆のところへ行くのじゃ!」


 今の人で最後だったらしく、見張りの魔族はもういなくなってしまった。

 私はエリクサーとともに、村人たちが捕まっている場所へと急ぐ。

 あと少しで目標達成だ、エリクサーも家族と会える!


 あれ、どなたか解放するのを忘れている気もするけど、ま、いいか……。



「ちぃっ、やべぇぞこれ魔法鍵じゃないか」


 牢獄として使われている部屋に到着すると、ドレスが困惑した表情。

 どうやら特殊な鍵で扉が守られていて、開けることが難しいということだ。

 確かに扉には魔法陣が描かれていて、なんだかすごく物々しい。


「こいつを作ったやつは中々の腕前だぜ。ごりごりの魔法回路じゃねぇか」


 ドレスは魔法鍵とやらをまじまじと見つめる。

 彼女が言うにはこれを解くには最低でも1日以上はかかりそうだとのこと。


 ふぅむ、そんな悠長なことを言ってられないなぁ。

 サジタリアスも心配だし、うちの村だって心配だし。


「要は壊せばいいんだよね?」


「ユオ様!? んなことできるはずがないぜ? これは高度な魔法によって構築されていて、ユオ様の熱だからって、いくらなんでも」


 そういうわけで、私は扉の前に手をかざす。

 ドレスは驚いた顔をするけど、まぁ、ものは試しだよね。


「えいっ!」


 普通の扉だったら、すぐに燃え尽きるほどの出力を入れる。

 さすがは魔法鍵、何の反応もない。

 

 しかし、それならこれはどうだ!

 私はさらに出力をあげる。

 熱の筋をもっと細くして、魔法陣の文字や図形一つ一つを焦がしていくイメージをしながら。


「あ、青く光ってるぜ!?」


「やばい光じゃのぉ」



 ぼかぁああああああん!!!



 強烈な爆発音と共に扉が消し飛んでしまった。

 うわっちゃあ、魔法鍵を無理やり開けると爆発するのね。


 中の人は無事なのかしら。

 


「皆の衆、助けに来たぞ!」


 扉が無くなると同時にエリクサーは牢屋の中に駆け込んでいく。

 そこはホールのような構造になっていて、かなりの人数が収容されていた。

 みんな爆発のせいなのか、顔色がわるい。

 うぅう、ごめんなさい。



「エリクサー様! よくぞ、ご無事で!」


「巫女様、今の爆発で死ぬかと思いましたよ!」


 村の魔族の人たちは泣きそうな顔でエリクサーを抱きしめている。

 みんな、顔はやつれているけれど、それ以上に再会が嬉しいのだろう。


 村人の一部はエリクサーのことを巫女と呼んでいる。

 ふむ、魔族なのに、巫女ね。


「うぅう、待たせて悪かったのぉ」


 エリクサーはというと、これまた泣きそうな顔。

 よかった、よかった。

 めでたし、めでたし。



「よぉし、これで万事解決じゃ!」


「あ、あのぉ、エリクサー様、世界樹の方に行かれましたか? 世界樹が大変なことになっているのです!」


「なんじゃと、世界樹が!?」

 

 しかし、村人の一言で再会のおめでたムードは一気に霧散する。

 まぁわかってたけどね、これで解決なんて早すぎるって。



【魔女様の手に入れたもの】

魔族っぽくなるカチューシャ:魔女様のお得意の錬金術で作ったもの。魔族の角っぽいものが生えたようになるが、近くに寄って見れば作りものと分かる。人間にとって魔族は忌避の象徴だが、魔女様は案外、かわいいと考えているようだ。防御力も攻撃力も上がらない。


魔法熱破壊:魔女様の発する熱によって魔法陣を崩壊させるスキル。魔法陣を構築する文字や図形を熱操作によって崩壊させる。あまりにも無理やりに魔法に関与すると、今回のように爆発することもある。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「魔族カチューシャ、これは流行る……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公がはちゃめちゃやっていて好きです [一言] 赤熱 白熱 を通り越しついに青の領域ですね
[一言] メテオ・・・ ×危険地帯に踏み込む事に慣れている ○危険地帯で更なるトラブルを起こす事に慣れている 足手纏いつーか連れて行ったは行けない阿呆つーか・・・w
[一言] 皆さん、お気づきですか? メテオさんが扉の向こう側に、いないことを。 ま、どうせろくでもないことになってる(或いはしてる)んだろうなぁ(笑)
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