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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第10章 魔女様の街道工事! デスマウンテンに乗りこんだら神話の魔物みたいなことになっちゃいました
162/352

162.魔女様、村人の娘さんに加えて、のじゃロリを発見する、あわわ 



「ひきゃぁあああ!?」


 デスマウンテンは瘴気に覆われた不気味な山だった。

 骸骨に似た樹木が続き、とにもかくにも悪趣味なのだ。


 獣道を歩くのはクレイモア、ハンナ、リリ、ララ、そして、私にシュガーショックだ。

 村のハンターさんたちはデスマウンテンのふもとを周回し、辺りを見回してくれることになった。


 現れるのは毒々しいアンデッドモンスターたち。

 人間や動物の形をした生ける屍がどんどん現れ、リリはひときわ高い声を出して私にしがみつく。



「あははは、ここの敵、切っても切っても死ななくて面白いです! とりあえず、小間切れにします!」


「切ってだめなら、潰せばいいって昔の偉い人も言ったのだ!」


 見た目も恐ろしく、さらに物理攻撃も効かないとされているモンスターたち。

 しかし、こっちのモンスターたちはさらにもう一つ上を行く。


 敵を再生できないように細切れにしたり、潰したりして、どんどん進んでいく。


 ぐろい。


 これはこれで悲鳴を上げたくなる。

 というか、小間切れなのにうごめいてるのとか見たくない。うん。



「シュガーショック、頑張ってね」


 行方不明になった女の子の匂いを感知して道案内をするのはシュガーショックの役目だ。

 匂いは弱いらしくて、探索のスピードをあげることはできない。

 


「ふーむ、ここで二手に分かれなきゃいけないみたい」


 ある程度、歩いていくと目の前に二つの道が現れる。

 シュガーショックはその前でふらふらとして道に迷っているような素振りを見せる。


 山全体に漂う濃い瘴気のおかげで、匂いがわかりづらくなっているようだ。

 迷っている時間もないし、ここは早急に二組に分かれなければならない。




「ご主人様は熱探知が使えますよね? でしたら、シュガーショックとご主人様で二つのグループを作りましょう」


 ララが的確なアドバイスをしてくれる。

 できればシュガーショックと一緒にいたいけれど、こればっかりはしょうがない。


 能力を鑑みて、私の班はララとハンナ、シュガーショックの班はリリとクレイモアというグループになった。



「私は魔女様と一緒がいいですぅ!」


 リリが半泣きの状態でしがみついてくるけれど、いざとなったらシュガーショックの中に隠れてていいと言ってなんとかなだめる。


 正直、物理攻撃の効く相手だけだったらクレイモアだけで十二分だと思うけれど。

 

 さぁ、探索再開!

 




「こっちの方に何かあるわ」


 熱探知の能力は便利だ。

 精神を集中させると、かろうじて山の奥の方に何かの熱を感じることができた。

 以前のミニビアさんじゃなくて、シルビアさんの余興を通じて、私の熱探知の能力も進化しているらしい。


「ご主人様、すごいです! まるで蛇みたいですね!」


「魔女様はますます人間離れされますね!」


 ララとハンナに妙な角度から褒められるけど例えが悪すぎて嬉しくない。

 蛇とか、人間離れとか、褒め言葉じゃない。

 人助けのために役立つのは誇るべきことだけど、正直、私は温泉でまったりしている方が好きなのだ。


 私が最前線で頑張るのもいいことだけど、こういう用件を片付ける面々を村でも揃えなきゃいけないかもしれない。


 例えば、騎士団とか自警団とか、そういう役割を作らなきゃいけないのかも。




「ご主人様! あちらに誰かが見えますよ!」


 考え事をしながら進んでいくと、ララが大きな声を出す。

 指し示した方向に女の子の姿が見えるではないか!


 まるで地獄みたいなデスマウンテンの中でよくぞ無事にいてくれたとその幸運を喜ぶ。

 私達は彼女のもとに駆け寄るのだった。




 ……だが、困ったことが起きていた。



「だから、この石は私が見つけたの!」


「何を言うとるんじゃ! わしが見つけたんじゃ!」


 どういうわけなのかさっぱりだが、10歳前後の女の子が二人いるのだ。


 しかも、彼女たちは近づいてきた私たちに気が付くこともなく、なんだか石をめぐってケンカをしているようなのだ。


 一人の女の子は村娘の服装をしていて、おそらくはアイラっていう女の子だと思う。

 もう一人の女の子は真っ黒い生地に煌びやかな刺繍の入った服を着ていて、はっきり言って正体不明。

 ここいらの地域には珍しい美しい黒髪の女の子だった。

 いや、よぉく見てみると、彼女の髪の毛は紫がかっていて私の黒髪とも違うようだ。


 ふぅむ、こんな髪の毛、生まれて初めて見た。

 すっごくきれい。

 


「お二人ともよろしいですか?」


 とはいえ。


 子供のけんかをぼんやりと眺めているわけにもいかない。

 さくっと回収して村に戻るのが今回の目的なのだ。

 ララが絶妙なタイミングで二人に割って入る。


「あっ! 魔女様! 怖かったぁ!」


 私たちに気づいた女の子はすぐにこちらに駆け寄ってきて、私にしがみつく。

 山の中に取り残されて怖かったのだろう。

 よしよしと頭をなでてあげる。



「えーと、あなたはどちら様かしら? 他の地域から来たのかな? もう安心だからね」


 もう一人の女の子にも声をかける。

 おそらくは彼女も偶然遭難した一人なのだろう。

 そうでなきゃデスマウンテンに10歳ぐらいの女の子がいるなんておかしすぎる。



「ふむ、他の地域から来たのは間違いないが、子供扱いされるのは好かんな。まずは名前を名乗っておこうではないか、わしの名はエリクサーじゃ」


「エリクサー??」


「わしのご先祖から頂いた偉大な名前じゃぞ。とある理由で家名は秘密なのじゃ」


「秘密なのね。ええと、私はユオよ。はじめまして、どうぞよろしく」


「ふむ。よろしく頼むぞ」


 女の子は私の手をとってぶんぶん握手する。


 彼女の口調はなんというか年寄りじみていて、明らかに何かの役を演じている感じだ。


 あぁ、なるほどと私は気づくのだ。


 人間には伝説の霊薬を名乗ってみたらかっこいいだろうとか、年寄りくさい口調になったらかっこよさそうとか、そういう時期がある。

 こういうのは男の子が多いものだけど、女の子だって確かにあるのだ。



「ご主人様が自分のことを炎の番人とか火炎の申し子とか言っていたのと同じですね」


「ぬわっ!?」


 ララが笑顔でとんでもないツッコミをしてくれる。

 ええい、ここでそんな恥ずかしいことを蒸し返すな!

 私だって忘れかけていたのにぃ!



「……で、えーと、エリクサーちゃんも一緒に村に帰ろうか。おうちの人とはぐれたんでしょ?」


「ふふん、甘く見てもらっては困るな。わしぐらいの上級ともなれば、デスマウンテンなど散歩するようなものよ」


 にっこり笑って手を差し伸べるのだが、エリクサーは強がって腕を組んでしまう。

 しかも、つーんとそっぽを向く。

 うわぁ、かわいい。


 いやいやいやいや、ありえないでしょ。

 子供がこんなところに入っちゃいけないんだよなどと諭すも、彼女はつーんとしたままだ。


 上級とか自分のことを呼んでいるって言うことは貴族の子供なんだろうか。

 服装の趣味は変わっているけれど、高級品のようにも見える。



「多少、背丈が大きいからと言って、わしを子ども扱いするでない! 聞いて驚け、わしは泣く子も黙る、第三まぉ」


 エリクサーは格好をつけて名乗りを上げようとするも、彼女のお腹の方は正直だった。

 「ぐりゅるるるう」とすごい音とともに、彼女のお腹の虫が暴れるのだった。



「ふふーん、とりあえず何か食べようか? ほら、パンとお茶があるから」


 ララがささっとサンドイッチとお茶を出して、アイラとエリクサーに分け与える。

 今日のサンドイッチはララとクレイモアが協力して開発したハニーサンド。

 森はちみつをふんだんに使った栄養豊富な甘い一品だ。


 疲れた体に甘さが染み渡るはず。



「美味しい!」


「う、うまぁっ! わしはこんなにうまいものを食べたのは初めてじゃぞ! 美味しいのぉ」


「魔女様、ララさん、ありがとう!」


「ふくく、こればかりは礼を言わねばならんなぁ」


 当然、美味しいわけで、エリクサーは素をさらして満面の笑みを浮かべる。

 やっぱり子供はこうでなくっちゃね。うん。


 よぉし、村に帰るよ!



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「のじゃ、のじゃ、のじゃ……!?」


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― 新着の感想 ―
[一言] のじゃろりとか何そのご褒美、俗に言う合法的なやつ? 後 斬って刻んですり潰せ〜♪ とか言うフレーズだけを覚えてるんだけどなんだったかな……
[良い点] のじゃ...もうお腹いっぱい(@@; [気になる点] 黒髪に近い紫... [一言] オオムラサキが思い浮かんだまさか...暗k...c..!?
[一言] サブタイで出てくる人が予想でk・・・ おや?誰か来たようですね
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