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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第10章 魔女様の街道工事! デスマウンテンに乗りこんだら神話の魔物みたいなことになっちゃいました
153/352

153.魔女様、シルビアさんをもふもふで釣る。私情を捨てる姿はまさにリーダーの鏡



「シルビアさんがいない?」


「えぇ、温泉に入ってほしかったんですが……」


 辺境伯たちを待っていると、温泉のスタッフからそんな報告が入る。

 彼女が言うには、シルビアさんの姿が見えないとのこと。

 

 温泉に入ってもらって、感想をいただきたかったのにちょっと残念。

 

 手持ち無沙汰でもあったのでリゾートの外に出てみると、すぐに彼女を発見する。




「にゃはははは、あんたいい子ねぇ、ふひひひひひ」

 

 それは私の知らないシルビアさんだった。


 彼女はシュガーショックとめちゃくちゃ戯れていたのだ。


 彼女の普段の印象はつっけんどんそのもの。

 目つきがきつく、言葉もキツい。

 それがどうだろう、今の彼女はほとんど子供状態。


 動物を前にすると性格が変わる人がいるけど、彼女もその一人だろうか。



「ふふふ、ここが気持ちいいのぉ? しっぽの付け根がいいのぉ? あらあら、ふわふわぁあ」 


 しかも、である。


 彼女は姿を消したまま戯れていた。

 可愛がっている様子を誰かに見られるのが恥ずかしいのだろうか。


 私は熱探知のスキルで彼女の表情さえなんとなく分かる気がするけれど。


 何も知らない人がみたら、かなり異様な光景だろうな。

 シュガーショックが空気と嬉しそうにじゃれあっているっていう感じだからね。



「お手! おかわり! えらぁい!」


 それにしてもシュガーショックは透明人間相手でも普通に遊べるらしい。

 はっふはっふ言いながら、お手やおかわりを披露する。

 

 自分の犬ではあるけれど、他の人に褒められる様子はとても嬉しいものだ。

 飼い主の知らない飼い犬の側面を見られる気もするし。


 

「ふふふ、ぎゅーってしてあげる」


 しかし、ここで事件が起こる。


 この犬、あろうことかシルビアさんの胸に顔をうずめて、ふがふが嬉しそうにしているのだ。


 シルビアさんのお胸はとても大きいので包容力がありそうだ。

 シュガーショックの表情は幸せそうで、とろけそうに目を細めている。



 あ、あのぉ、私、こんなのされたことないんですけど。

 

 私の胸に顔をうずめてうっとりなんて一度もしてくれたことがないんですけど。


 私の場合、ごはんやおやつの時に狂喜するとか、そういうのばっかり。



 こいつ、私のご飯だけが目当てだったわけ!?


 やはり犬でも大きいほうがいいってわけ!?


 こ、この浮気者……!



 自分の中に淀んだ感情がメラメラと湧き起こるのを感じる。


 シュガーショックは犬だし、よこしまな気持ちがないことは分かる。

 

 だけど、そりゃあ、大きいほうが色々といいだろうよ! このバカ犬!


 ひょんなことから知りたくもなかった側面を知ることになっちゃったよ!




 ……おおっといけない、私としたことが。


 私情に振り回されちゃだめよ、冷静になるのよ、ユオ。

 逆恨みして私憤を晴らしたってしょうがない。


 シルビアさんの胸にはなんの罪もないんだし。

 そもそも彼女を温泉に沈めるという崇高な使命が私にはあるのだから。



 よぉし、それならシュガーショックをだしに使ってやろうじゃないの。

 


「シルビアさぁん!」


 私は心を押し殺し、明るく声をかける。


 しかし、彼女はこちらに全然気づいていない。

 誰からも見られていないと安心しきっているようだ。


「あのぉ」


 しょうがないので、シルビアさんの脇腹をつつく。

 熱探知もだいぶ板についたらしく、今では鮮明に見えるようになっていた。



「にひゃああ!?」


 私の指先がクリティカルヒットして、シルビアさんは魔法を解除。

 さらにそのままシュガーショックにつんのめる。


 ふわっふわの毛に受け止められたので、ケガはなかった。よかった。



「な、な、な!?」


 シルビアさんはこちらに気づいて口をぱくぱくさせる。

 いつものクールビューティが信じられないぐらいの慌てようだ。


 胸の奥のわだかまりがすぅっと消えるのを感じる。

 

 うん、すっきりした。


 ……いや、別に悔しくて脇腹をつついたわけじゃないからね?


 いくら声をかけても気づいてもらえなかったし、しょうがなくだからね?



「な、何よ!? 私とやろうってわけ!?」


 シルビアさんは相変わらずの目つきに戻って、私に喧嘩腰で抗議してくる。


 しかし、私は知っているのだ。


 この陰険な目つきの裏には、動物好きの顔があることを!

 シルビアさんをさくっと攻略しちゃうよ!



「シュガーショック、お貸しましょうか?」


「へ?」


「今度、ペット同伴の施設をリゾートに作ったらという計画がありまして」


「す、素晴らしい計画ね……」


「今日はシュガーショックと泊まることもできますけど?」


「……あんたとは気が合うと思っていたわ」

 

 シルビアさんはがちっと私の手をとって握手してくる。

 動物好きとしての譲れない思いがそこにはあった。



 その後、私はシルビアさんを温泉へと案内する。

 うふふ、初めて温泉に入る人を見るのが私は大好きなのだ。





「ひにゃあぁああああ!?」


 だが、楽しい温泉タイムのはずなのに、ひと悶着が発生するのだった。



【魔女様の手に入れたもの】

シュガーショック:羊犬形態になると、もはや聖獣のおもかげもない。性別は不明。そもそも、性別なるものがあるのかも不明。大きいのがお好きかどうかも不明。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「シュガーショック、貴様、許さん……」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[一言] 目指せ!バター犬? 違った?世界初のバター狼!
[一言] 名前がシュガーショックなだけに大きい胸に顔埋めてるシュガーショックに甘いショックを覚えてる
[一言] 魔女様の気のせいじゃ無いかな?たぶんだけど…
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