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141.魔女様、メテオの髪を洗いながら色々考える。一方、その頃、ドワーフのドレスはマッド大工になる

「っていうか、メテオ、お母さんと仲悪いんじゃなかったの?」



 フレアさんの所に戻った後、メテオは軽食を済ませる。

 メテオとクエイクは「あるときー」「ないとき」などと大いに盛り上がる。

 それから大きな桶にお湯を張ってもらい、即席温泉をつくるのだった。


 クエイクが例の白い粉をお湯にいれるだけで、素晴らしい香りと手触りのお湯ができる。

 完全に再現しているわけじゃないけど、すごいよ、これ、ばんばん売り出したい。


 ハンナは先に村に帰ってしまったので、3人での入浴だ。 


 メテオの髪の毛を洗ってあげることにした。

 私の髪質とは違って柔らかくて楽しい。

 それに猫耳がかわいい。はぁはぁ。



 そんなこんなで、私は彼女にあれこれ尋ねるのだった。



「……悪いと言えば、悪いねん。でも、それとこれとは別やし……」


 メテオは少し照れたような表情でそんなことを言う。


 と、いうのも、無事に戻ったとき、こんな一幕があったからなのだ。



 まず、泣き崩れたのはフレアさんだった。

 口ではアホメテオとか言っていたけど、内心、とても心配していたんだろう。


 それに対して、メテオは


「本当に迷惑かけて、ごめん。それと、ありがとう。ユオ様に協力してくれて……。ほんまにありがとう」


 と頭を下げた。


 強がるのかなって思っていたのに、意外や意外。

 言葉の後半はほとんど声がかすれていた。


 その素直さにじぃんっと来てしまって、私はもう一度、メテオを抱きしめたのだった。


 仲が悪いと言っていたけど、今回の事件で少しは関係性が変わってくれるのだろうか。




「ふふふ、お姉ちゃん、おかあちゃんに似てるって言われるのをめっちゃ気にしてんねん」


 三人でお湯に浸かりながら、クエイクが口を挟んでくる。


「なぁっ!? そんなことないわい。うちはあんな業突く張りと一緒にしないでほしいわ」


 メテオは口を尖らせる。

 だけど、図星だったのだろう。

 早口になってまくしたてる様子がかわいくて、私達はメテオをからかうのだった。




「誰が美人のママやねん!?」


 私たち三人がわぁきゃあ言っていると、部屋の扉をがらっと開く人がいる。


 もちろん、フレアさんだ。


 この人、本当にルール無用だな。



「って、ガールズトーク中やぞ!? なんで入ってくんねん!?」


「ふふふ、ええやん? 親しき仲にも礼儀ありやん?」


「使い方間違ってるから、それ!」


 彼女は素っ裸でも恥じらいなく、すたすたと入ってくる。

 ふぅむ、すらりとしたラインはすっごくきれい。

 メテオたちほど大きくはないけれど、私とは明らかに質量が違う。


 っていうか、猫人族って年をとらない種族なんだろうか。

 

 


「って、これが温泉いうもんなん!? うわぁ、地獄みたいな匂いがするなぁ!」


 フレアさんは聞く耳などもたないらしく、クエイクから入浴方法を学ぶと、ざぶんと入っていく。

 どんな反応をしてくれるんだろうか。

 私はその様子を注視するのだった。



「素敵やん……。浮かぶやん……」


 フレアさんはそう言うとぷかぷかとお湯に浮かぼうとする。

 いくら大きな桶とは言え、そこまではできないわけで思いっきりクエイクに足があたりそうだ。


「これだから嫌やねん、ほんまに!」


「うわぁ、邪魔やぁああ! 子供か、あんたは!」


 メテオとクエイクは心底迷惑そうに叫び声を上げる。

 それから彼女はフレアさんを小さくまとめるのだった。



「えぇえええ、メテオ、顔の痣、なくなってるやん!?」


「……気づくのおっそいねん」


「びっくりやわ、どうしたん? お腹がすいて食べたん?」


「食べるわけないやん! 自分の顔を食べるとか、どうなってん」


 その後、フレアさんとメテオはいつまでも口喧嘩をしていた。

 仲良さそうで何より。


 そんな様子を見ていると、私も自分のお母さんのことが気になってくるものだ。

 まぁ、顔も覚えていないんだけど。


「そういえばユオ様、うちの首相のじいさんが会いたいって言ってたで」


「首相!? それって、この国の首相さんですか?」


「せやで。お礼が言いたいとかなんとか」


 寝耳に水とはこのことで、なかなかびっくりなことをフレアさんは言う。

 首相さんってかなり偉い人だよね。

 ちょっと不安だけど、うちの温泉を売り込むいいチャンスかもしれない。

 くふふ、頑張るぞ。



◇ 一方、その頃、ドレスちゃんはマッド大工になる





「ふふふ、これはすげぇぞ……」


 特効薬づくりを一段落させたドワーフのドレスは相変わらず村の工房にこもっていた。

 彼女はある素材を眺めながら、口元に笑みを浮かべている。



「親方、今日のノルマは終わりやんした!」


 声をかけたのは炎の精霊、燃えキチだ。

 彼(彼女かもしれない)は村の領主の言いつけで、ドレスの所で働いているのだった。



「おぅ、お疲れ! ふふふ、燃えキチ、これ、覚えてるか?」


 ドレスはそう言うと、工房の広い床に無造作に転がる、あるものを指差す。


「こ、これは……!!」


 それを見た燃えキチは微妙な表情をする。

 それはこの精霊にとって、とても馴染み深いものだったからだ。



「あそこから拾っていたのさ。これは結構すげぇ素材なんだぜ?」


「お、親方、これをどうしようっていうんですかい?」


「まぁ、あるものを作ろうって思ってな。今夜は眠れないぜ!」

 

「ひぃいいいい。ちゃんと寝てくださいよぉおお」


「大丈夫。あっしは今、燃えてるぜ! おぉし、みんな、話を聞いてくれ!」


 ドレスはにやりと笑うと、工房の仲間たちに新たな企みについて話し始めるのだった。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「ドレス、その素材はぁあああああ!?」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 大丈夫?おじいさんも試しを求めてしまわないかな?
[一言] 次に魔女様の犠牲になる?人はこの国の首相さんか...(^o^;)
2021/12/30 00:19 通りすがりの人
[一言] 魔女様に関わる者は皆、大なり小なり変わるから仕方が無い けど変わり過ぎだとオジサン思うのよね(苦笑)
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