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138/352

138.アクト商会、突然のビビッド商会の攻勢に手も足も出ません。だけど、一発逆転の奇策を思いつきました!

「何をやってるんだ! 貴族どもに金をばらまいて、販売禁止にさせろ!」


 あ、あ、ありえないことが起きている。


 あの悪名高きビビッド商会が特効薬に参戦してきたのだ。


 しかも、著しく安い値段で。

 

 このままでは高値でさばいていたものが売れなくなる。

 僕の儲けが吹っ飛んでしまう。

 僕の連合国首相への道が遠ざかってしまう。


 僕は各地域の権力者に連絡を入れて、販売を止めるように強く伝える。


 いくらビビッド商会が悪辣な手を使っても、所詮はぽっと出の成り上がり商会だ。


 アクト商会は先祖代々、各地の貴族と商売をしてきた。

 有力者からの信用は遥かに上だ。

 案の定、数日もしないうちに奴らの販売はストップする。

 ふくく、これが信用の力というものだ。



「ブルーノ様、冒険者ギルドがやつらの薬を本物と認定しましたぁああ!」


 しかし、奴らの卑怯な攻撃は止まらない。


 ビビッド商会は冒険者ギルドとつながって、『本物』と保証を受けてしまう。

 くそっ、冒険者ギルドめ、なんて恩知らずな奴らだ。

 これまでいくら金をばらまいてやったと思っている。


 ついこの間も、冒険者ギルドに上がってきた『禁断の大地に聖域草の群生地がある』というデマ情報を握りつぶしてやったというのに。



「ブルーノ様、各地域からぞくぞくと離脱が出ております!」


 冒険者ギルドが裏切ったおかげで、貴族の中には僕の指示を聞かない連中も出始める。

 

 大局の読めない愚か者どもめ!

 この騒ぎが収まったら、ぶっ潰してやるからな!

 


「ゆ、許せない……!! 僕をコケにしやがって! 銀魔の10人にやつらの荷馬車を襲わせろ! 徹底的にやれ!」


 こうなったら本領発揮だ。


 商会の子飼いの裏工作軍団である銀魔の10人にビビッド商会の荷馬車を襲わせるのだ。

 連中はこれまでにも沢山の表では言えない仕事をしてきた。


 犠牲者の第一号は首都に向かってやってきた荷馬車だ。


 その馬車には、「造れ! 送れ! 撃て! とっこうやく販売中!」とのぼりがつけられていた。

 まるで狙ってくださいと言っているようなものだ。


 くくく、愚かなやつらだ。


 ビビッド商会には影の十人という凄腕がいるのは知ってる。

 だが、うちの銀魔の10人は実際には47人もいる。

 

 戦いは数だ。

 うちの銀魔が負けるはずはない。


 あわよくば、ビビッド商会の特効薬を奪うのもいいアイデアだろう。

 そうだ、ビビッド商会の在庫を全部奪ってしまえばいい。


 さすが、僕、ブルーノ・アクトは天才だ!




「ブルーノ様ぁあああ、銀魔の連中が全員、やられましたぁあ!」


「はぁああああ!? 影の10人にやられたのか!?」


「いいえ、鬼のように強い金髪の少女一人に蹴散らされたそうです!」


「な、なんだそれはぁああ!?」


「笑いながら戦う悪鬼のような少女の前に失神したそうです!」


「ぬぉがぁあああ!?」


 執務室でほくそ笑んでいると、部下が血相を変えて飛び込んでくる。


 僕の銀魔の10人が商会に担ぎ込まれたというのだ。

 命に別状はなかったものの、トラウマのためにもはや戦えない状況だと言う。


 どうして、50人近い猛者たちが一人の少女にやられるのだ!?

 くそっ、ビビッド商会め、化け物でも飼っているというのか!?

 



「ブルーノ様、私達の商館が平民どもに囲まれております! ものすごい数です!」


 さらに事態は悪い方向へと加速する。


 これまで僕が薬を売ってやってきた連中が「金を返せ」だの「インチキ野郎」だの抗議にやってきたのだ。

 涙を流すほど感謝して買っていったくせに、何を言ってるんだ、こいつらは。

 


「ええい、黄金の騎士団を出して蹴散らしてしまえ!」


 イライラが募った僕は商会の私兵団である<<黄金の悪夢(ゴールデンナイトメア)>>を投入する。

 各国の騎士団から凄腕たちを引き抜いてきたオールスター軍団。


 もちろん武器も防具も一級品。

 どんな相手でも踏み潰す、強靭な騎士団なのだ。

 はっきり言って、ザスーラ首都の騎士団よりも強力に違いない。


 いくら数が多くても、所詮、相手は平民。

 身の程知らずの平民など、簡単に追い返せるはず。

 多少、殺してしまってもしょうがないだろう。


 獅子に歯向かった報いをうけるがいい!


 これで少しは僕のうさも晴れるというものだ。




「ブルーノ様ぁぁあああ、黄金の悪夢が全員、やられましたぁああああ! 半殺しです!」


「んがぎぃ?」


 騎士団を投入して十数分後、部下は真っ青な顔をして飛び込んでくる。


 なんと、僕の黄金の騎士団が壊滅させられたのだ。

 さっき送り出したばかりだぞ。

 ほとんど瞬殺されているじゃないか。


「そ、それが素手の相手にこてんぱんにやられた模様です! 身ぐるみ剥がされて縛り上げられています! 半裸です!」


「な、な、な、何が起こってるんだぁ!?」


 もはや現実が信じられないほどの状況だ。

 

 僕の騎士団が素手の庶民にやられただと!?


 脚が震え、喉の奥が乾き、頭がくらくらしてくる。


 騎士団を壊滅させた平民共は商館をぐるりと囲い、わぁわぁと声をあげる。

 やばいぞ、このままじゃ火でもつけられかねない。


 僕の商会が終わってしまうぅううううう!?




「平民共は『姉を返せ』と『許すまじ、アクト商会』などと世迷い言を叫んでいます! どういうことですか、これは!?」


 部下は恐怖の張り付いた顔でそんなことを言う。


 うぅう、姉を返せ?


 どういうことだ!?



 ……も、もしかしたら、あの牢屋にいる猫人のことか!?


 ええい、あの女め、とんだ疫病神になってくれたな!


 僕は商会が壊滅するのをなんとか回避すべく、ビビッド商会に急いで伝令を送る。


 あの猫人を返却してやると伝えるのだ。



「くそっ! くそっ! くそがあああああぁぁぁっ!」


 僕のはらわたは煮えくり返っていた。


 僕を罠にはめて、特効薬の商売を滅茶苦茶にしてくれたことに。

 さらには平民どもを操り、僕の商館を襲ってくれたことに。


 僕らはただ正直でまっとうな商売をしているだけなのに。


 ビビッド商会はなんて最低最悪の集団なのだろうか。


 このまま邪悪な奴らを放っておくことが許されるだろうか?

 答えはノーだ。

 天誅を加えなければならない! この僕が!




「……くくく、あの猫人を迎えに来たら、そいつらを人質にしてやろう」


 僕の脳裏に最高のアイデアが浮かぶ。


 よぉし、この策略でフレアを震え上がらせてやる。


 僕たちの戦いは始まったばかりだ!


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「くそっ、何周してもブルーノの破滅を止められない!?」


と思ったら


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― 新着の感想 ―
[一言] 魔女様を人質に?破滅確定!
[一言] あー、そういう魂胆か・・・。 まだ奥の手の、元剣聖とかいるんかなぁ・・・
[一言] きっと(物理的に)熱い展開になるんやろなぁー
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