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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第8章 魔女様の冒険者ギルド誘致! 村の近所にダンジョンが見つかり、魔女様は14日ぶり8回目の大暴れ
112/352

112.魔女様、アリシアに「この領主の像、胸を盛りすぎ?」と感づかれるが、持ち前のプラス思考で乗り切る

「こんにちは、冒険者ギルド本部のアリシアと申します。こちらはコラートさんです」


 村に現れたのは、メガネを掛けた女性と初老の男の人だった。

 女の人は淡い銀色のロングヘアで、いかにも大人の女性って感じ。


 だけど、メテオと同い年と聞いてびっくりしてしまう。

 へぇ〜、大人っぽいなぁ。


 初老の男の人は目つきがするどくて、いかにも剣士って感じの雰囲気だった。

 きっと腕の立つ人なんだろう。



 私達は二人を村に案内する。


 とにかく、今するべきことは時間稼ぎだ。

 できるだけ引き延ばして、準備のための時間を確保しないといけない。


 もう夕方に近いし、今日はゆっくり休んでもらえばいいよね?

 ふふふ、温泉に沈んでもらえれば、うちの村の良さが骨の髄まで分かるはず。


 四の五の言わずに温泉に入るのよ、アリシアさん!

 

 ほくそ笑んでいたら、まさかの事態。



「駄目よ。時間がないの。審査はすぐに始めるわ」


 二人はこれから審査を開始するなんて言い出したのだ。


 うっそぉおおお、ぜんぜん、準備が整ってないんだけど!


 内心叫び出したい私。


 だけど、混乱しているところを見せるわけにはいかない。

 ぐぅううっと奥歯を噛んでなんとか耐える。


 それか私達は戦々恐々としながら村を案内するのだった。

 


 まずは私の立像のところに到着する。

 村の中心にあるおかげで、どうしても避けて通れなかったのは非常に痛い。 


 やっぱりさっき爆破しておけばよかった。

 とはいえ、この場で爆破するわけにもいかないし……。

 いや、いっそのこと蒸発させちゃえばいいんじゃないかな。



「ふふっ」


 そんな折のこと、私はある光景を目撃する。


 アリシアさんが私の像を見て小さな笑いを漏らしたのだ!


 しかも、その後、私の胸元にすこーしだけ視線を合わせてくるし!?


 多分絶対、 私の胸部分を盛っているのに気づいてるよね?


 うわぁああああー。

 穴があったら入りたいレベル。



「今、笑われたんだけどぉおおおお!?」


 ぶつけようのない悲しみと恥ずかしみ。

 とりあえずメテオとドレスにパントマイムで怒りを伝える。

 この二人、明日はおやつ抜きにしよう、そうしよう。



「そ、それじゃあ、訓練所に行きましょうっ! 冒険者ギルドもそこに入ってもらいますのでっ!」


 とはいえ今は笑顔だ。


 私はひきつった顔をどうにか笑顔に変える。

 別に私の像の胸部分が盛ってあるからといって、不利になるなんてことはないよね?


 多分絶対に見栄っ張りな領主だって思われてるだろうなぁ。

 本当は謙虚で奥ゆかしくて内気な人物なんだけどなぁ。



「立派ですね、すごいです!」


「なかなかのものです」


 訓練場に案内すると二人は殊の外感心してくれた。

 ふふん、ドレスの自信作だもんね。


 しかし、アリシアさんはとんでもないことに気づく。


 訓練所の看板が出しっぱなしだったのだ。

 そこにはご多分に漏れず、例の文字が書かれているわけで。


「『偉大なる魔女様の冒険者訓練所』って、もしかして、ユオ様、魔女様って呼ばれているんですか?」


 このギルド職員、勘ぐりが鋭どすぎる。


「……魔女っていうのは、その場のノリ的な感じですかね? 魔力ゼロの女、略して魔女みたいなぁ!? さぁ、そんなことは置いといて、内側も見てください! どーぞ、どーぞ!」


 私はその質問を勢いではぐらかす。

 だって、私が魔女かどうかなんてどうでもいいことだし。


 ギルドの報告書に、「この村は自称・魔女が治めている。ぷぷ」なんて書かれたら最悪だ。



「おおっ、これはまたすごい!」


 内側を案内すると二人はさらに驚く。

 まだ完全に出来上がってはいないけど、どこに出しても恥ずかしくない空間だと思う。

 訓練所は広いし、ぜったいに快適だと思う。


 ドレスもこういうのだけ作ってくれたらいいのに。



「この建物はどなたが設計したんですか?」


 話の流れで設計者について尋ねられる。


「設計はこちらのドレス・ドレスデンが担当しています。私が言うのもなんですがものすごく優秀な大工なんです」


「いひひ、ユオ様にそう言われると照れちまうぜ」


 私がドレスを紹介すると、二人は眉間にしわを寄せてぽかんとしている。

 あれ? 紹介の仕方がまずかったかな?


「ドレス・ドレスデンってあの、神匠のドレスさんですか? どうしてこんな所にいるんです? 王侯貴族があなたのこと、血眼で探してますよ!?」


 アリシアさんはドレスの肩をもってがくがくと揺らす。


「ひ、ひえぇえ!? 焦りすぎだろぉお!?」


 うろたえてしまうドレスなのである。

 聞けば、ドレスはかなりの有名人だとのこと。

 彼女が住んでいてくれることに鼻高々な私なのである。



「取り乱して申し訳ございません。いやぁ、ドレスさんが村にいるのは高評価ですね。それじゃ冒険者たちが訓練する様子をお見せ願えますか?」


 続いての審査は冒険者たちの訓練についてだ。


「はい、はーい! 私達の出番ですね!」


 ここで現れたのがハンナだった。

 彼女はこの訓練場で冒険者たちを訓練する立場にある。

 よぉし、ハンナ、いつものとおりハツラツと訓練よろしくね! 


 笑顔の素敵な彼女ならば、きっと好印象を与えてくれるだろう。



「よっし、みんな出ておいで!」


「おうっ!」


 ハンナの掛け声とともに、ぞろぞろと冒険者たちが現れる。

 そして、私はポカンと口を開けるのだ。


 だって連中は、揃いも揃って『あの服』を着て現れたんだもの!



「な、な、なんで、その服着てるのよ!?」


「ひ、ひえぇえ、だって『様』に書き換える時間がなかったんですものぉ」


 思わず詰め寄ってしまう私なのである。

 振り返って、ギルド職員のふたりを見てみると訳のわからないような顔をしている。


 そうだよね、別に不思議なことはないかもしれない。


 ただちょっと背中に『魔』って入ってるだけだものね!

 そうよ、これは全然、おかしくない!

 全然セーフ!

 

 私はブルンブルンと頭を振って、内側にわいたネガティブなイメージをかき消す。


 そして、ハンナと冒険者の皆さんに訓練を始めてもらうのだった。


 彼らはそつなく訓練をこなし、訓練所の使いやすさをアピールする。

 ハンナは明らかに手を抜いている感じだったけど、それはそれで良かったと思う。

 冒険者を半殺しにしちゃったら、多分一発でアウトだろうし。



「すごい迫力ですね。訓練も訓練所もしっかりしているということはよくわかりました」


「そうですね。ハンナさんの指導も素晴らしかったです」


 アリシアさんもこのコラートさんも、訓練の内容に満足してもらえたようだ。

 よかった。


 肩の荷が下りたような気分になる私である。



「それにしても皆さん、変わったデザインの服を着てらっしゃいますよね。特に背中に書かれた『魔』の文字はいったいなんなんですか?」


「ぐ……」


 肩の荷が降りた瞬間、背中に衝撃が走る。

 アリシアさんから非常に鋭いツッコミが入ったのだ。

 

「それ審査に関係あります!?」


「え、いや、気になるといいますか。まさか魔女の『魔』とかですか?」


「な、なんでしょうねぇ〜? 私もよくわからないんですぅ〜」


 審査に関係ないなら聞かないでよ!


 と、逆ギレしたくなる気持ちをなんとか抑えて、私はとしらを切るのだった。


 そもそもだよ「魔女の魔なんですぅ」なんて言ったら、自己顕示欲の塊だって思われちゃうじゃん!


 

「アリシア、そろそろ暗くなってきたで? これ以上の審査は明日に持ち越しにしとこ」


 メテオがここで起死回生の一言を口にする。


 空を見るとすっかり赤くなっていた。

 確かにこれ以上の審査はもう難しいだろう。


 やぁっと終わったぁあああ!


 長い長い一日の終りに、ほっと胸をなでおろす私なのである。


 後は温泉にでも入ってゆっくり休んで欲しい。


 ……そうだよ!


 私にはまだ温泉があるんだった!

 温泉に入っちゃえばこっちのもんだった!


 さっきは断られたけど、今からでも挽回できるじゃん!


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「もはや温泉に沈めるしか解決策がない……!?」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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― 新着の感想 ―
[良い点] おぉ~。銀髪メガネのお姉さん。♪ロ、ロング。? [気になる点] 温泉に沈める気満々の魔女様。 [一言] メガネのお姉さんキャラ出してくれてありがとう。♪ く、この作者何処まで、私のツボをつ…
2021/12/15 00:15 通りすがりの人
[一言] 来た時点で沈めるのは確定だと思ってた(笑)
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